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- ベトナムでお正月に食べるちまき・バインチュン(北部)とバインテト(南部)
ベトナム北部のちまき(左)と南部のちまき(右)著者撮影
こんにちは!ベトナムブロガーのグッチです。
今回はベトナム人がお正月などに食べる「ちまき」のお話をしたいと思います。
ベトナムにはお正月が2回あります。ベトナム人が1月1月より大切にしているのが旧正月・テト(Tết、漢字表記:節)。旧暦を用いて計算されるため、1月下旬~2月中旬頃と毎年日付けが変わり、2022年は2月1日(火)がテトとなります。
テトは一家団欒でご馳走を食べ、祖先にお礼を伝え、平和で幸せな新年を祈る一年のうちで最も大切な行事。食卓にはたくさんのご馳走が並びますが、その中で欠かせない料理が「ちまき」です。ベトナム風ちまきの主な原材料はもち米・緑豆・豚肉の3種類。それらの食材をゾンの葉(北部)またはバナナの葉(南部)で巻いて、長時間ゆでて作ります。長時間ゆでることにより、常温で長期間の保存に耐えられるようになるそうです。
ベトナム食材店で売られていた2種類のちまき 著者撮影
北部と南部、どちらも材料や作り方はほぼ同じですが、ちまきの形が異なります。北部の四角いバインチュンは「大地」を、南部の円筒型のバインテトは「天」を表しているそうです。
今回、筆者は名古屋のベトナム料理店兼料理教室「ダラット・マリムラ」さんで北部のちまき・バインチュン(Bánh chưng)、南部のちまき・バインテト(Bánh tét)作りに挑戦。料理教室のタオ先生にベトナムのちまきやお正月料理について教えていただきました。
北部のちまき・Bánh chưng(バインチュン)
著者撮影
こちらは北部のちまき、四角い形をしたバインチュン。
著者撮影
具材となるもち米と緑豆は、8時間ほど水につけておきます。水につけたあとの緑豆は、塩を加えて蒸してから、あらかじめすり潰しておきます。豚肉には塩やエシャロット(紫色をした小さな玉ねぎのような野菜)などで下味をつけ、1時間ほど時間をおきます。「豚肉は脂身の多い豚バラ肉を使うと美味しいです。緑豆にはフライドエシャロットを入れるとさらに美味しくなります」とタオ先生が教えてくれました。その後、枡のような正方形の「枠」を使い、パンダンリーフで緑色に色付けしたもち米を下にしきます。その中に緑豆ペースト・豚肉の順に入れ、フタをするように緑豆ペーストともち米をかぶせ、バナナの葉で巻いていきます。最後にタコ糸で網目状にしばったら、沸騰させたお湯に入れて数時間ゆでます。※圧力鍋で作ると90分ほどで仕上がります
著者撮影
ゆで上がったちまきは冷水に30分つけておきます。葉っぱの包みを外したら、ちまきを包んだひもを使って均等にカット。放射線状に切るときれいです。
著者撮影
出来上がったちまきは1週間ほど日持ちするのだとか。ちまきを手に持つとずっしりとした重みを感じ、実際に食べてみるともち米と豚肉でお腹がふくれます。ヌックマム(ベトナムの魚醤)ベースのたれをつけて食べると、さらに美味しく食べられました。「北部では豚肉の煮こごりやハムなどと一緒にちまきを食べるんですよ」とタオ先生。料理教室では豚足と豚ミミの煮こごり、豚肉のハムのほかに、エシャロットの漬物もいただきました。
南部のちまき・Bánh tét(バインテト)
著者撮影
南部のちまき、バインテトは筒状の形をしています。南部でも、北部から来ている方はバインチュンを好んで食べるのだとか。材料はバインチュンとほぼ同じですが、こちらは「枠」を使わずに巻くため、巻くときにコツが必要で、少し難しかったです。興味深かったのが、南部のちまきにはココナッツミルクを使ったこと。ココナッツミルクを使うのが南部らしいな、と思いました。
著者撮影
ゆであがったちまきは、水分を下に落とすために縦にし、4時間ほど時間をおきます。こうすることで、もち米がしっかりしてより美味しくなるのだそうです。「南部では日常的に豚の角煮を食べますが、お正月も食べるんですよ」と先生。この日は豚の角煮のほかに、さまざまな野菜を用いて作ったカラフルな漬物、牛肉のハム、豚タンのサラダもいただきました。
著者撮影
日持ちするちまきですが、お正月が終わったら、焼いたり揚げたりして食べるのだとか。揚げたちまきも美味しいと聞き、自宅で揚げ焼きしてみたのですが、外側がカリカリになり、そのまま食べるのとはまた違った美味しさでした!
機会があれば、みなさんもベトナムのちまきを食べてみてくださいね。
(text & photo:グッチ)
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