インドネシア
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ボロブドゥールにバリ島!

遺跡もリゾートも楽しみ尽くす! インドネシアの世界遺産の旅

バリ島のタマン・アユン寺院 photo:世界遺産イェーイ!

海外旅行を楽しめる日までは少し時間がかかりそうですが、次の旅行先を考えている方も多いのではないでしょうか。今回の記事では次に訪れたいインドネシアの世界遺産3件、ボロブドゥールにプランバナン、そしてバリ島をご紹介。ボロブドゥールとプランバナンがあるジャワ島とバリ島は飛行機で約1時間なので、セットで訪れて頂きたいところ。遺跡にビーチリゾートと多彩に楽しめるのも、インドネシアの世界遺産をまわる旅の魅力です。

 

ボロブドゥールの仏教寺院群


photo:世界遺産イェーイ!

インドネシアのジャワ島にある、世界最大級の仏教遺跡。釣り鐘型のストゥーパから露出した仏像や、朝焼けの美しさでも知られていますが、建物そのものが大乗仏教の宇宙観を表していることにも注目してみましょう。


photo:世界遺産イェーイ!

ボロブドゥールは、下から基壇、方形壇、円形壇の3層に分かれており、大乗仏教の宇宙観である3種類の世界「三界」を表しているとされます。

・基壇(欲界) ⇒ 煩悩に満ちた世界
・方形壇(色界) ⇒ 欲望はなくなったがまだ肉体が存在する世界
・円形壇(無色界) ⇒ 肉体を離れ精神だけの世界

このように上に行くほど仏教の悟りに近づくことができると言われています。基壇から入り、円形壇のある中心に近づきながら観光していくと、まるで自分の精神まで安定していくような、そんな気持ちになります。


photo:世界遺産イェーイ!

7世紀後半から8世紀にかけて仏教を信仰するシャイレンドラ朝によって築かれたボロブドゥール。なんと1871年に発見されるまで約1,000年間もの間、密林の中に埋もれていたのです。1000年も忘れ去られていたため、遺跡の状態は悪かったのですが、1973年から1983年にかけて日本を始め世界中から援助を受けてユネスコ主導で大規模な修復工事を行い、現在のような姿になりました。


現在も寺院のまわりはジャングルで覆われている photo:世界遺産イェーイ!

もとからあった山に土を盛ってその上に石を積み上げて作られているので、内部に入れないのが最大の特徴。内部に、お祈りする空間がない寺院というのは、世界でも大変珍しいものです。


photo:世界遺産イェーイ!

基壇を抜けて2層目の方形壇へ進むと、回廊に見事なレリーフが。釈迦の生涯が刻まれたレリーフは、仏教美術の最高傑作とも言われています。


釈迦誕生の場面 photo:世界遺産イェーイ!

こちらは有名な釈迦誕生のレリーフ。真ん中にあるのが沙羅双樹の木で、その右側に立つのが釈迦の母である摩耶夫人(まやぶにん)。ちょっとレリーフの状態が悪くてわかりにくいのですが、左側にれんげの上を歩いている釈迦の姿が見えます。釈迦は、生まれてすぐに7歩ほど歩き「天上天下唯我独尊」と唱えたとされます。

方形壇から階段を登り、ボロブドゥールのハイライトとも言える円形壇に進みます。円形壇は、3層になっており下から32、24、16と合計72個の釣り鐘型のストゥーパが並び、それぞれに仏像が入っています。


photo:世界遺産イェーイ!

ここで見て頂きたいのがストゥーパの窓。正面に見える仏像が露出したストゥーパの窓はひし形で、人々の不安定な心を表しています。その次の段にあるストゥーパの窓は正方形で、安定した賢者の心を表現しています。そして一番上の大ストゥーパには窓がありません。これは「無の世界」ということで、ここまで登ると、仏教の真理へ到達したことになるのです。


photo:世界遺産イェーイ!

インドネシア観光のハイライトとも言える、絶対に訪れたい世界遺産ボロブドゥール。海外旅行に行くことができない今のうちに、少し知識を蓄えておくと、次に訪れた時にもっと楽しめるかと思います。

 

ボロブドゥールの仏教寺院群

登録 1991年
登録基準 「①人間がつくった傑作」「②文化交流」、「⑥出来事や宗教、芸術」
アクセス 日本から首都ジャカルタ、またはバリ島のデンパサールまで直行便で約7時間。ジャカルタ、またはデンパサールからジョグジャカルタまで飛行機で約1時間。ジョグジャカルタからバスで約1時間半

 

プランバナンの寺院群


photo:世界遺産イェーイ!

プランバナン寺院(別名ロロ・ジョングラン寺院)は、マタラム王国のピカタン王によって9世紀に建造されました。ヒンドゥー教の遺跡としてはインドネシア最大規模を誇ります。


photo:世界遺産イェーイ!

目を引くのは炎のような形をした3つの建物。ヒンドゥー教の3大神「シヴァ神」、「ヴィシュヌ神」、「ブラフマー神」を祀ります。さらにそれぞれの神の祠堂の前には、その神の乗り物が祀られた小堂があります。中央にそびえるシヴァ堂は高さ47m。シヴァ神は、想像と破壊の神で、妻はドゥルガー。シヴァ堂にはシヴァやドゥルガーの像が置かれています。


ドゥルガー像 photo:世界遺産イェーイ!

プランバナン寺院は別名を「ロロ・ジョングラン」寺院と言います。美しい王女「ロロ・ジョングラン」が大男によって石像に変身させられたという伝説があるのですが、こちらのドゥルガー像が「ロロ・ジョングラン」ではないかと言われています。ドゥルガー像に触れると美しくなれるとのこと。


photo:世界遺産イェーイ!

シヴァ堂の正面の小さなお堂の中には、シヴァの乗り物である聖牛ナンディの像が納められています。ヒンドゥー教の神様について基本的な知識を身につけてから行くと、さらに楽しめる世界遺産です。回廊には、ヒンドゥ教の神話「ラーマヤナ」のレリーフも綺麗にのこされているので、こちらも必見です。


夜景もおすすめ photo:世界遺産イェーイ!

プランバナンの寺院群

登録 1992年
登録基準 「①人間がつくった傑作」、「④建築技術」
アクセス 日本から首都ジャカルタ、またはバリ島のデンパサールまで直行便で約7時間。ジャカルタ、またはデンパサールからジョグジャカルタまで飛行機で約1時間。プランバナン寺院は、ジョグジャカルタから車で約45分。

 

バリの文化的景観:
バリ・ヒンドゥー哲学トリ・ヒタ・カラナを表す水利システム「スバック」


タマン・アユン寺院 photo:世界遺産イェーイ!

現在バリ島では多くの方が、バリ土着の宗教とヒンドゥー教とが融合したバリ・ヒンドゥー教を信仰しています。バリ・ヒンドゥー教の哲学のひとつに「トリ・ヒタ・カラナ」という概念があります。「トリ・ヒタ・カラナ」とは、神と人、自然の調和を意味します。神から自然の恵みである水を受け取り、稲を耕してお米を作り、神にお供えし生活していくという生命の営みを表現しています。


ティルタ・ウンプル photo:世界遺産イェーイ!

「トリ・ヒタ・カラナ」に基づく棚田の景観や灌漑施設、9世紀から1,000年以上継承されてきた水利システム「スバック」を司る寺院など5つのエリアが、世界遺産に登録されています。


ティルタ・ウンプル photo:世界遺産イェーイ!

筆者のおすすめは「ティルタ・ウンプル」というペクサリン川の流域にある寺院。寺院の外側に聖なる泉から聖水を引いた沐浴場があり、現在も多くの人が聖水を浴びながら祈りを捧げています。1,000年以上にわたって、神と人間とが自然の調和を取りながら、大切な水を分け合って生きてきたことが感じられます。

川や泉を生み出した女神が住んでいると言われている「バトゥール湖」、バトゥール湖の女神を祀る「ウルン・ダヌ・バトゥール寺院」、また「タマン・アユン寺院」も世界遺産の構成資産です。

バリ島ならではの極上リゾートに泊まりながら、バリ・ヒンドゥー教の世界に触れるというのも素敵な過ごし方ではないでしょうか。

バリの文化的景観:バリ・ヒンドゥー哲学トリ・ヒタ・カラナを表す水利システム「スバック」

登録 1992年
登録基準 「②文化交流」、「③文明の証拠」、「⑤伝統的集落」、「⑥出来事や宗教、芸術」
アクセス 日本からまたはバリ島のデンパサールまで直行便で約7時間。デンパサール空港からウブドまで車で約1時間。世界遺産は点在しているので、ウブドからツアーかタクシーチャーターが便利。

(text : 鈴木かの子)

【連載】世界遺産のプロが教える! アジア イェーイな旅



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