インドネシア
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インドネシアの歴史を世界遺産で追う

ボロブドゥール   photo:世界遺産イェーイ!

ボロブドゥール遺跡を有するジャワ島に、世界を代表するリゾートバリ島など、インドネシアには毎年多くの日本人観光客が訪れます。インドネシアが現在の国土になったのは第二次世界大戦以降で、それ以前はさまざまな王国が興亡する時代や、オランダによる植民地時代などが続いていました。

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この記事では、ジャワ島とバリ島にある文化遺産4件にスポットを当てて、インドネシアの歴史を簡単に見ていきたいと思います。ジャワ島は、古代から今日まで政治経済の中心地であり数々の王国文化が花開いた地。現在の首都ジャカルタもジャワ島にあります。またアジアを代表するリゾートアイランド、バリ島はバリ・ヒンドゥー教に基づいた伝統文化に触れることができる島。9割がイスラム教徒のインドネシアにおいて、ヒンドゥー教徒が多く住むバリ島は少し異色な存在でもあります。

 

先史時代
人類化石出土のサンギラン遺跡

さて最初にご紹介する世界遺産は、ジャワ島中部にあるジャワ原人など初期人類の化石が発見されたサンギラン遺跡です。

photo:ひさほ ゆう

19世紀オランダ植民地時代にオランダ人医師によって、ジャワ原人の頭蓋骨が発見されました。こちらでは今までに50件ほど人類の化石が発見されており、世界で発見された人類化石のおよそ半分を占めるほど。

photo:ひさほ ゆう

出土した化石の一部やジャワ原人のジオラマがサンギラン博物館に収められています。博物館に行くには、ソロという街に滞在すると便利。ボロブドゥール遺跡の拠点となるジョグジャカルタから車で2時間程度なので、足を延ばしてインドネシアの先史時代に触れてみましょう。

人類化石出土のサンギラン遺跡 (文化遺産)
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・登録:1996年
・登録基準:「文明の証拠」、「出来事や宗教、芸術」
・アクセス
日本から首都ジャカルタ、またはバリ島のデンパサールまで直行便で約7時間。ジャカルタ、またはデンパサールからジョグジャカルタまで飛行機で約1時間。ジョグジャカルタからソロまでバスで約2時間。ソロからタクシーチャーターで約30分。

 

シャイレンドラ朝(8世紀~9世紀)
ボロブドゥールの仏教寺院群

2番目にご紹介するのは、ジャワ島にあるボロブドゥール。密林に埋もれていた世界最大級の仏教遺跡は、インドネシア観光のハイライトでもあります。

photo:世界遺産イェーイ!

ジャワ原人の時代から長い時が過ぎ、インドネシアの島々にはマレー人が移り住むようになり、仏教やヒンドゥー教が伝わりました。それぞれの島で小さい国が興亡する中、ジャワ島中部に大乗仏教を信仰する「シャイレンドラ朝」が誕生。そのシャイレンドラ朝によって8世紀~9世紀に約50年かけて作られたのがボロブドゥールです。

大乗仏教の宇宙感を表す構造   photo:ひさほ ゆう

ボロブドゥール完成後にジャワ島では大乗仏教よりも、ヒンドゥー教が信仰されるようになりました。そのため1871年にイギリスのラッフルズに発見されるまで約1,000年間も密林の中に眠り、歴史上から姿を消していたのです!

精密なレリーフにも注目!   photo:世界遺産イェーイ!

ちなみにイギリスのラッフルズは、シンガポールを自由港として創設したことでも有名です。シンガポール以前19世紀ナポレオン戦争時代、ジャワ島へ副知事として赴任した時にボロブドゥールを発見しました。

ボロブドゥールの仏教寺院群 (文化遺産)
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・登録:1991年
・登録基準:「人間がつくった傑作」「文化交流」、「出来事や宗教、芸術」
・アクセス:ジョグジャカルタからバスで約1時間半

 

マタラム朝
プランバナンの寺院群

ボロブドゥールに続いてご紹介するのは、同じくジャワ島にあるプランバナンの寺院群です。こちらは、仏教寺院とヒンドゥー寺院が混在しているのが特徴です。

photo:ひさほ ゆう

ボロブドゥールを築いたシャイレンドラ朝と同じくらいの9世紀頃、ジャワ島には、マタラム王国というヒンドゥー教を中心に信仰していた国が栄えていました(諸説あります)。マタラム王国の代表的なヒンドゥー寺院がプランバナン寺院です。

回廊のレリーフ「ラーマヤナ」   photo:ひさほ ゆう

世界遺産として登録されている中に仏教寺院のセウ寺院もあります。ボロブドゥールを築いたシャイレンドラ朝とプランバナンを築いたマタラム朝は王族同氏の結婚により縁戚関係にありました。宗教の違いを超えて良い関係を築いていたことを遺跡から感じ取ることができます。

仏教寺院のセウ寺院   photo:世界遺産イェーイ!

この後も様々な国家が興亡する時代が続きます。13世紀頃にイスラム教がジャワ島に伝来。ヒンドゥー教からイスラム教に改宗する人が増え、ヒンドゥー教徒はバリ島へ移住していきます。その後17世紀にオランダ東インド会社がジャワ島に進出し、300年に渡るオランダ統治時代が始まります。日本による統治時代、第二次世界大戦を経て、1950年に現在のインドネシア共和国が発足しました。

プランバナンの寺院群 (文化遺産)
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・登録:1991年
・登録基準:「人間がつくった傑作」、「建築技術」
・アクセス
プランバナン寺院は、ジョグジャカルタから車で約45分。プランバナン寺院以外のセウ寺院などをまわる場合は、タクシーチャーターが便利。

 

バリの文化的景観:バリ・ヒンドゥー哲学トリ・ヒタ・カラナを表す水利システム「スバック」

最後にご紹介するのはバリ島の世界遺産です。ジャワ島にイスラム教徒が増え、ヒンドゥー教徒がバリ島に追いやられます。そこからバリ・ヒンドゥー文化が栄えていきます。

棚田の景観が世界遺産   photo:ひさほ ゆう

バリ島は先史時代からお隣にあるジャワ島の影響を受けており、ヒンドゥー教や仏教もジャワ島を通じて伝わりました。しばらくの間ジャワ島の支配下にあったようですが、10世紀頃バリ島で独自のワルマデワ王朝が興ります。

14世紀にジャワ島最後のヒンドゥー教王国マジャパイト朝にバリ島は征服されワルマデワ王朝は滅びます。マジャパイト朝の影響力が強いゲルゲル朝が誕生。バリ島は再びジャワ島の間接的な支配下におかれます。

photo:ひさほ ゆう

その後マジャパイト朝は、イスラム勢力により衰退。ヒンドゥー教を信仰する王国の貴族、僧侶、工芸士などがジャワ島からバリ島に移住してきたことにより、バリ・ヒンドゥー教が盛んになります。

そのバリ・ヒンドゥー教に基づいた灌漑システムに関連した施設が、世界遺産として登録されているのです!バリ・ヒンドゥー教の哲学「トリ・ヒタ・カラナ」は、神と人、自然の調和を意味します。その概念に基づいて「スバック」という水を分け合うシステムが9世紀頃に作られました。

温泉も楽しめるバトゥール湖   photo:ひさほ ゆう

世界遺産に登録されているのは「トリ・ヒタ・カラナ」に基づく棚田の景観や灌漑施設、水利システム「スバック」を司る寺院です。バリ・ヒンドゥー教では水は神様として祀られています。神格化された水を扱うので、寺院が管理したり宗教行事を行ったりしているのです。

タマン・アユン寺院   photo:ひさほ ゆう

見事な棚田の景観は、バリ島を訪れたら一度は見てみたい光景。棚田の眺めが良いレストランなどもあるので、のんびり訪れてみるのも一考です。世界遺産に登録されている棚田や寺院をめぐるツアーなどもあるので、ビーチアクティビティの合間に世界遺産にも行ってみましょう!

テラス・パディ・カフェ   photo:TRIPPING!

さて、バリ・ヒンドゥー教が盛んになった後のバリ島ですが、マジャパイト朝が衰退したため、ゲルゲル朝がバリ島独自の王朝となりました。その後、各地の豪族が独自の王国を乱立した9王国時代を経て、ジャワ島と同じくオランダ統治時代に入り、第二次世界大戦後、1950年にインドネシア共和国に編入しました。

バリの文化的景観:バリ・ヒンドゥー哲学トリ・ヒタ・カラナを表す水利システム「スバック」 (文化遺産)
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・登録:2012年
・登録基準:「文化交流」、「文明の証拠」、「伝統的集落」、「出来事や宗教、芸術」
・アクセス
日本からバリ島のデンパサールまで直行便で約7時間。デンパサール空港からウブドまで車で約1時間。世界遺産は点在しているので、ウブドからツアーかタクシーチャーターが便利。

 
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