- TRIPPING! トップ
- 東南アジアトップ
- ミャンマー
- ヤンゴン
- ヤンゴンのグルメ
- 露店のスナックにだって歴史がある! スナック天国ミャンマーの食の楽しみ方
別の国に暮らし始めた時、初めて口にするその国の食べ物が昔からずっと同じスタイルで食べられてきたと思ってしまいがちなのは私だけでしょうか? 当たり前ですが、伝統的に見える食べ物にだって流行り廃りがあるのです。
今回は、街角で食べられる甘くないスナックの流行について考えてみます。スイーツについてはまたの機会に。
ミャンマーはおやつの種類が豊富
ミャンマーの街を歩くと、スナックを売る屋台をよく見かけます。外食の習慣があまりなく、周辺の東南アジアに比べて食事の屋台が少なめのミャンマーですが、スナックは種類が豊富で、数も多く感じます。確かなことはわかりませんが、かつては1日2食が普通で、食事と食事の間に間食をよくとったためにおやつ文化が発展したという説が有力です。
ヤンゴン中心部の歩道にたつスナック屋台 著者撮影
こうしたスナックは百年一日のごとく同じ味、見た目だったわけではなく、時代に即してその姿を刻々と変えてきました。
歴史ある茶葉の漬物もモダンに変化
たとえば「ラペットゥ」と呼ばれる、ミャンマーを代表するお茶請けがあります。
王朝時代まで歴史を遡れるスナック、ラペットゥ 著者撮影
茶葉を発酵させたのちに油であえ、揚げ豆やニンニクスライス、干し海老などをトッピングして食べるのが従来の食べ方でしたが、5年ほど前にトマトスライスや茹でトウモロコシでボリュームアップして食べさせる屋台が、若者を中心に流行りました。
ニュータイプのラペットゥ 著者撮影
現在、このスタイルのラペットゥ屋台にはかつてほどの勢いはないものの、盛り場に行けば1軒は見つけることができる程度には定着しています。流行の盛衰を知らなければ、王朝時代からこの食べ方をしていたと思ってしまう人もいるのではないでしょうか。
流行の始まりは学生街から
ほかにも、豚ホルモンを串に刺して並べ鍋をくぐらせながら食べる「ワッタードゥートゥ」やティラピアを丸ごと炭焼きにしてグループでつつく料理など、この20年ほどの間に新しく生まれて流行し、その後下火になるとともに定着していったスナックはたくさんあります。
見た目もユニークなワッタードゥートゥ 著者撮影
こうしたスナックの流行は、ヤンゴン市街西寄りの地域レーダンから始まることが多いようです。レーダンにはヤンゴン大学があり、昔から若者の町として知られてきました。日本でいえば、原宿か渋谷といったところでしょうか。
ヒョウタンの天ぷらがお洒落!?
ヤンゴン大学の北隣に位置するインヤー湖畔の公園にはヒョウタンの天ぷらを売る屋台がずらりと並びます。現在50歳代の人たちが学生時代に、ヒョウタン天ぷらが学生たちに大ヒットし、この公園にたくさんの屋台がたったことの名残なのだとか。ヒョウタンの天ぷら自体は昔から食べていたそうですが、スナックとして学生たちがデートや仲間うちのおしゃべりのお供にするようになったのはその頃からと彼らは言います。
今でもヒョウタン天ぷらの屋台が並ぶインヤー湖畔の公園 著者撮影
ミャンマーのヒョウタンはとても大きく、それを縦長に切って衣をつけて揚げ、客に出す際にはひと口大に切り、チリソースを添えます。豆や海老などの天ぷらに比べて友達と分け合って食べやすく、「柔らかくて薄黄緑色に透き通った切り口が当時はお洒落に感じたものです」と、ヤンゴン大学の寮で青春を過ごした女性は語ってくれました。
日本のものより長細いものが多いミャンマーのヒョウタン 著者撮影
先述したニュータイプ・ラペットゥの流行発信源もレーダンでしたから、今も昔も流行の担い手は大学生なのかもしれません。
新たなる流行の始まり?
ミャンマーには見た目がユニークなスナックもいろいろありますが、私のおすすめは一見、稲荷寿司に見える「ペービャーアサットゥ」。厚揚げの中に辛く味付けしたキャベツの千切りを入れたものです。
豆腐とキャベツを組み合わせたヘルシーおやつ、ペーピャーアサットゥ 著者撮影
さらに、タコ焼きを半分に切ったような「モンリンマヤー」もぜひ食べてほしいスナックです。米粉を水で溶いて具材を入れ、タコ焼き器のような鍋で半球状に焼きあげます。
ウズラの卵入りのモンリンマヤー 著者撮影
最近、モンリンマヤーにニュータイプがお目見えしました。中に入れる具材はウズラの卵が一般的だったのですが、キャベツとトマトをカレー味に仕立てて入れたタイプがじわじわ人気を集めてきています。
見た目は悪いが、カレー風味が日本人好みの新しいモンリンマヤー 著者撮影
実は以前から、米粉をクレープのように焼いてキャベツなどをのせて焼くカレー味の「キーマ」というスナックがあったのですが、これをモンリンマヤーに応用したということのようです。まだ流行っているというところまではいっていませんが、今後流行、そして定着していくかもしれません。
こちらはキーマ 著者撮影
ユニークなスナックが他にもいろいろ
ほかにも、塩味の米粉パンケーキとでもいうべき「モンピャータレッ」、これまた塩味で茹で豆が入った米粉クレープ「イエモン」、もち米にココナッツやバナナ、豆などを入れて蒸した「カウニンキン」など、あげ始めればキリがないほどバラエティに富むスナックがミャンマーにはたくさんあります。
ココナッツ入りのカウニンキン 著者撮影
ミャンマーで街歩きをする際は、路傍の屋台にも目を留めてみてください。ここであげたスナックも、すでに形や味を変えて人びとに愛されているかもしれません。
(text & photo : 板坂 真季)
隅から隅まで!魅惑のミャンマー探検
他の記事を読む>
何を読む?
国名・都市名、ジャンルを選ぶと、読みたい記事を絞りこみできます