ミャンマー
買い物
壮麗なコロニアル建築は見応え十分

ビルマ史に残る建造物が、文化・ショッピングセンターになってオープン

「廃墟」だった頃の旧ビルマ政庁 著者撮影

去年まで、7月19日にヤンゴンにいる機会に恵まれた観光客には「ぜひ、旧ビルマ政庁へ行ってみて」とすすめていました。ヤンゴンのコロニアル建築を代表する壮麗な建造物ですが、ふだんは立ち入り禁止になっており、年に1回、7月19日にだけ一般公開していたからです。

その旧ビルマ政庁がこの12月から、イベントスペース&ショッピングセンターとして、誰でも入れるようになりました。

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ミャンマー人にとって特別な場所

旧ビルマ政庁は、イギリス植民地時代に政府オフィスとして、ヤンゴンのダウンタウン中心部に建てられました。1889年に建設が始まり、1902年に一部が、そして1905に全体が完成。約6万5000㎡と、東京ドームの約1.4倍と広さの敷地に、コの字型になった赤いビクトリア様式のビルが建っています。

こちらも改装前の玄関ホール。ビクトリア様式の鋼の階段装飾が美麗だ著者撮影

旧ビルマ政庁は、ミャンマー人にとって特別な思い入れがある場所です。というのも1947年7月19日にここで、ミャンマー人が敬愛してやまない独立の父・アウンサン将軍が8人の閣僚や護衛兵たちとともに暗殺されたからです。アウンサン将軍はアウンサンスーチーさんのお父さんでもあった人。1948年の独立前夜のことでした。

 

市民の反対で進まなかった商業利用

独立後もこの建物はミャンマー政府が内閣府として活用していたのですが、2006年に首都がヤンゴンからネーピードーへ移ると閉鎖。長く放置するうちに荒廃が進んでしまいました。

政府は当初、ホテルへの転用を前提に外資系企業への委託を進めましたが、国民の大反対で断念。その後、紆余曲折あって2012年、暗殺現場などをの一部を博物館とした上で他のエリアを文化&ショッピングセンターにすることで、地元企業となんとか合意。開発を進めてきたのです。

イベント会場としても利用でき、その際は広い芝生部分にもブースなどを設置できる著者撮影

計画の開始からほぼ8年たった2019年12月、ついに「セクリタリアット・ヤンゴン」としてオープンしました。

 

まずは3店がオープンの飲食店

オープンしたといっても、東南アジアにはよくありがちな“見切り発車開業”なので、半分近くのエリアは工事中で、営業している店舗もまだそれほどありません。それだけに、今ならゆっくりと建物のあちこちを見てまわれ、壮大な建築を背景にSNS映えする写真も撮りやすいので、行き時といえそうです。

トムントムズカフェ6前の階段ホールは絶好のインスタ映えポイント著者撮影

飲食店でオープンしているのは、正面入口から入ってすぐのトムントムズコーヒーと、別棟にあるケンタッキーフライドチキンおよびクリスピークリームドーナツ。別棟の2軒は、正面ゲートが閉まった後もアノーヤター通り側の入口から入れ、夜10時まで営業しています。

 

土産物店はなかなかの逸品ぞろい

ショップは現在、複数店が営業。どこもミャンマーらしさ全開なので、土産品を買うのにもよさそうです。
まず、公式土産物ショップ「ザ・セクレタリアット・スーベニアショップ」。旧ビルマ政庁の建築をあしらったマグカップやトートバッグ、帽子、ポーチなどを扱っています。
正面入口から入って左手奥の「アーティザン」は、チン族の織模様をあしらったコットン製リネンやナガ族の刺繍タペストリーなど、高品質の雑貨が揃い。

伝統的なミャンマーの自然派化粧品タナカクリームなども扱うアーティザン著者撮影

右手奥には複数のショップがあり、ロンジー布のパンプスやカチン族の織模様の傘など、市中であまり見ないユニークな商品が並びます。

リズミカルでカラフルなひし形がわかいい、カチン族模様の傘著者撮影

   

歴史に興味があるなら参加したいガイド付きツアー

セクレタリアット・ヤンゴンでは、アウンサン将軍が暗殺された現場や当時の国会議事堂など、一般公開していないエリアも、ガイド付きツアーに参加すれば見学することができます。週末以外は予約不要となっていますが、前日までに予約しておいた方が確実です。

かつての国会議事堂。ガイド付きツアーでのみ見学できる場所のひとつ。著者撮影

開催時間 9:30、10:30、11:30、13:30、14:30、15:30、16:30
ツアー料金 大人10US$、子ども5US$ (カメラ代不要)
予約電話 (+95)9-4272-73 018 / (+95)1-8398420
予約メール rsv.asiatoursmyr@gmail.com

※確実に見学したい人は、前日までの予約がおすすめ

 

ミャンマー人にとっての聖地なので気遣いを

セクレタリアット・ヤンゴンがオープンする直前、ちょっとした騒動がありました。実が豪華スパが入ることになっていて、オープニングパーティの様子がSNSなどで広まると、市民の批判が運営オフィスに殺到したのです。
「神聖な場所にスパはなんてけしからん!」ということのようです。外国人の感覚だと、心も体も癒してくれるスパのなにが問題なのか今ひとつピンと来ませんが、ミャンマー人にとっては、多少ともふしだらなイメージがあるようです。また、レストラン棟に入居予定の高級レストランがワインなどのアルコールを出そうとしていることがわかり、それも現在問題視されています。

使い方によっては、とてもイベントが映える会場となりそうだが…著者撮影

2階以上はイベントスペースになっており、展覧会や各種イベントを行えます。しかしここも、ワインやチーズなどを出すイベントを欧米系の団体が企画したところ、市民の大反対で中止に追い込まれました。日本人の方で何らかのイベントを計画される方もおられるかもしれませんが、十分な注意が必要そうです。

 
(text & photo : 板坂 真季)

 

【連載】隅から隅まで!魅惑のミャンマー探検



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