ミャンマー
観光
他民族国家ミャンマーは宗教も多種多様。

ミャンマーのマニアックな宗教施設を拝観してみない?

「敬虔な仏教国」というイメージが強いミャンマー。でも、ミャンマーのことに詳しい方なら、ヒンズー教徒やイスラム教徒も一定数いることをご存知のはず。でも、それだけじゃないんです。ほかにも、バラエティに富む様々な宗教を信仰する人びとが暮らしているんです。そんな、ちょっと変り種の宗教施設を、ミャンマーの最大都市ヤンゴンで探してみましょう。

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ジャイナ教寺院はダウンタウンの隠れ名建築
シュリ・ジャイン・シュエタンバー・プルティプジャク寺院

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ジャイナ教は仏教とほぼ同じ頃に成立したとされる古い宗教で、開祖のマハーヴィーラは身分や出身地が釈迦と極めて似通っているため、同一人物説もあるのだとか。不殺生を信条としているため、信者は漁業や農業ではなく商業を生業とする人が多く、特にダイヤ商人として知られています。

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インドに400万から500万人ほどの信者がいますが、ヤンゴンには数家族しか残っておらず、1914年建造のコロニアルな外観を残す寺院は、いつ行ってもがらんとしています。御神体を祀る祭壇も興味深いですが、パステルカラーのステンドグラスと床のモザイクタイルがレトロでなかなかフォトジェニック。個人的には外壁のキッチュな女神像がツボです。

シュリ・ジャイン・シュエタンバー・プルティプジャク寺院

住所 74-78 29th Rd., Pabedan Tsp., Yangon
拝観時間 随時
拝観料 門番の老人の気分次第
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ヤンゴン最古の教会建築はアルメニア正教
アルメニア・アポストリック教会

ヤンゴンのダウンタウンに建つアルメニア教会は、現存する中ではヤンゴンでもっとも古い教会といわれています。1766年に最初に建てた教会が消失し、1863年に建て替えたのが現在のものです。

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ヤンゴンにおけるアルメニア人の歴史は古く、17世紀頃に中東からアジアにかけての絹貿易で活躍したアルメニア商人たちが、ヤンゴンに大きなコミュニティを築いていました。シンガポールのラッフルズホテルやマレーシア・ペナン島のイースタン&オリエンタルホテル、そしてヤンゴンのストランドホテルを建てた、東南アジアのホテル王・サーキーズ兄弟もアルメニア人です。
今ではヤンゴンのアルメニア正教の信者は片手に余るほどに減っていますが、歴史遺産の指定を受けたこの教会は、観光客の人気を集めています。

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アルメニア・アポストリック教会

住所 66 Bo Aung Kyaw St, Botahtaung Tsp., Yangon/td>
拝観時間 9:00~18:00
拝観料 無料
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かつて栄えたコミュニティ名残りのユダヤ教会
モーゼ・ヨシュア・シナゴーグ

19世紀には、ヤンゴンにも数多くのユダヤ人が住んでおり、その名残りが1896年に建設されたこのシナゴーグです。最盛期には2000人を超えたユダヤ人も、第2次世界大戦で半減。その後のビルマ式社会主義政権による事業の強制的な国営化などでさらに多くが他国へ逃れ、現在ではわずか8家族のみ。しかし、在留ユダヤ人の中には創設者の子孫もおり、シナゴーグを大切に守り続けているそうです。

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現在のシナゴーグは、今はもうない1854年に建てられたものに継ぐ2つめ。1893年建て始め、1896年に完成しました。当初は木造でしたが、1896年にレンガ造りに改装しています。

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モーゼ・ヨシュア・シナゴーグ

住所 Corner of 26th Rd. & Maha Bandula Rd., Pabedan Tsp., Yangon
拝観時間 9:30~14:00(日曜休み)
拝観料 無料
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ムガール帝国最後の皇帝の墓がヤンゴンに
バハードゥル・シャー2世の墓所

ヤンゴンにはモスクがたくさんありますが、歴史好きならぜひ訪れておきたいのがここ。ムガール帝国最後の皇帝であるバハードゥル・シャー2世は、イギリスによって家族と共にヤンゴンへ追放されて幽閉された末、1862年に亡くなりました。

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墓地に埋葬後も、ムガール帝国の残党たちに政治利用されることを避けたかったイギリス殖民政府の意向で墓所は打ち捨てられていましたが、後にヤンゴンのイスラム教徒たちがおおよその場所に霊廟を建設。1991年になって正確な墓が判明し、現在は地下に位置する本当の墓所を上から拝むという変わった構造になっています。

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バハードゥル・シャー2世の墓所

住所 Zi Wa Ka Rd., Dagon Tsp., Yangon
拝観時間 4:00~6:00 / 12:00~13:30 / 16:00~20:00
拝観料 無料
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仏教とヒンズー教が融合する不思議スポット
マハペインネー・パゴダ

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ダウンタウン中心部にあるこのパゴダ、「パゴダ」と表記しますが、ミャンマー人はヒンズー寺院と認識しているようです。

境内に入るとリンガ(ヒンズー教で崇拝の対象となる男根をかたどった石)や仏塔、菩提樹が散らばるように建っています。堂内にはヒンズー教の祭壇と仏像が仲良く並び、中華系が信奉する布袋像や観音像まであります。そして壁際にはミャンマーで広く信仰を集めるウェイザー(超能力者)・ボーミンガウンを祀る祠があり、その隣には、あのサイババの祠も。超能力を駆使して信者を集めたという点で、確かにボーミンガウンとサイババは似ています。このまま、ミャンマーで土着神として浸透していくのでしょうか!?

この「パゴダ」は実にカオスな、そしてまさにミャンマーを象徴するスポットとなっています。

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マハペインネー・パゴダ

住所 Corner of Pansodan Rd. & Maha Bandula Rd., Kyauktada Tsp., Yangon
拝観時間 24時間
拝観料 無料
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日程に余裕のある方は仏教パゴダだけでなく、こうしたちょっとばかりマニアックな宗教施施設も拝観してみて、ミャンマー文化の豊かな多様性にも触れてみてください。ミャンマーの見方もきっと変わると思います。

(text & photo : 板坂 真季)

 

【連載】隅から隅まで!魅惑のミャンマー探検



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