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- 工芸品好きにおすすめしたいミャンマーの工房村巡り
マンダレーの金箔工房。金の粒をひたすらハンマーで叩いて伸ばす 著者撮影
東南アジアはどの国もそうですが、ミャンマーも工芸が盛んです。長い軍事政権下で経済が停滞したことは伝統工芸にとってはプラスに働き、様々な手作り工芸品が各地に残り、住民の多くが何かひとつの工芸品に特化して従事する“工芸村”もたくさん存在します。
ミャンマーを多少ともご存知の方なら、工芸村(町)ときいてまず思い浮かべるのは、マンダレーの金箔工房、バガンの漆工房、アマラプラの織物工房でしょう。これらの地域を訪れるパッケージツアーであれば、数ある工房のどこかを必ず見学すると思います。
もう少しコアに旅行される方なら、パテインの傘工房、インレー湖の銀細工工房、トワンテーの陶器工房もご存知かもしれません。
ミャンマーを代表する工芸品のひとつ、パテイン傘の工房 著者撮影
でも、TRIPPING!を訪れる読者なら、もっとコアな情報をお求めなのではないでしょうか。今回は、そんな工芸村(町)のなかでも少々マニアックなところをご紹介します。
行きやすくなった工芸村の島・ビルー
ミャンマーには、工芸村巡りを観光の目玉にしている島もあります。それは2017年に対岸のモーラミャインから橋が架かり、ぐっと行きやすくなったビルー島です。「ビルー」はビルマ語で鬼という意味なので、直訳すると鬼が島です。
石版村の入り口には、石版を模した大きな看板が 著者撮影
モーラミャインはミャンマー南部モン州の州都。ベトナムのダナンからインドシナ半島を横断する東西経済回廊のミャンマー側出口です。そのモーラミャインから沖合い約2kmにある、佐渡島の半分ほど大きさの島がビルー島です。これまでのアクセスの悪さから工業製品に飲み込まれることなく工芸村が多数生き残ってきました。
石版村の工房。村のすぐ背後の山で、石版にする石が採れる 著者撮影
なかでも有名なのが石版村。ミャンマーの小学校では近年まで勉強に石版を使っていました。ビルー島はその産地なのです。今は田舎でもノートとペンに取って代わられ、現在は建材としての需要が主な収入源だそうです。
輪ゴム村の工房。筒状の棒をゴム液につけて引き上げ、乾燥後に輪切りにする 著者撮影
こちらは輪ゴム村。モン州はゴムの一大産地ですが、ゴム工場でできるクズゴムを使った輪ゴム工房が集まる村があるのです。輪ゴムの製造過程はとても興味深いので、ぜひ見学を。
こちらはパイプ村の目抜き通り。ロータリーにはパイプのオブジェが 著者撮影
ほかにもパイプ、葉巻、すげ笠の形状の竹傘、織物などを作る工芸村が島内に散らばります。こうした工芸村巡りは、モーラミャインのホテルや旅行会社で車かバイクタクシーを手配してもらい、一気に回るのが一般的です。
ビルー島
陶器村ならここがおすすめ度ナンバー1・チャウミャウン
ミャンマーには陶器村がたくさんあります。ヤンゴン郊外のトワンテーも有名ですが、私のおすすめはマグウェ地方のチャウミャウン村。州都のシュエボーから東へ30kmほどですが、マンダレーからも片道100kmなのでぎりぎり日帰りが可能かもしれません。
水瓶の並ぶ光景は、インスタ映え狙いなら興奮モノ 著者撮影
ここがほかの陶器村と違うのは、ともかく規模が大きいこと。作っている陶器も大物が多く、乾燥中の大きな水瓶が、村中にずらーっと並んでいます。
チャウミャウン村
バガンから日帰りできる工芸の街・パゴック
パゴックはインドとの交易の要衝として古くから栄えたマグウェイ地方の町。遺跡で有名なバガンから車で1時間ほどで行けます。ミャンマー人が「毛布」と呼ぶ分厚いパゴック織りやサンダルの生産で有名ですが、おすすめは葉巻工房。
大勢の職人さんたちが、ひとつひとつ手で葉巻を巻く光景には、一種荘厳な雰囲気さえ漂う 著者撮影
田舎のお年寄りには男女ともに葉巻愛好者が多いのですが、そういったローカル向け葉巻を作る工房が多いのです。車をチャーターして回ると楽ですが、バイクが平気な人ならバイクタクシーでも案内してくれます。
パゴック
染織の町アマラプラは自分の足で散策を・アマラプラ
アマラプラはパッケージツアーでもよく訪れる街で、ツアーでは機織りの機械をずらっと並べた大型工房へ案内されると思います。
観光客向けの大型工房なら、織ったばかりの最新流行柄の布も併設店で買える 著者撮影
でもアマラプラは、ぜひ自分の足で歩いてみてほしい町です。町民の多くが染織関連の仕事に就いていて、バッタンバッタンと大きな音がする民家を入口からのぞくと、部屋いっぱいに大きな糸巻き機が鎮座していたり、空地に染め終えたばかりの糸が干してあったり。
こうした光景が広がるのは染織の町ならでは 著者撮影
かと思えば通りがかった家の庭先ではロンジーに手描きで模様を施していることも。工芸好きにはたまらない町です。
アマラプラ
ヤンゴン近郊から日帰りできるゴザの村・パンタノー
次はちょっとマイナーが過ぎるかもしれませんが、ヤンゴンから日帰り圏内の工芸村、エーヤワディ地方のパンタノーです。ヤンゴンから車で約2時間半で行けます。
外からはわかりにくいが、大型のゴザを編んでいる工房がたくさんある 著者撮影
住宅街のあちこちに竹などでゴザを作る工房が散在しています。広場やパゴダの境内にも、これら工芸に使う材料が干してあってとってもフォトジェニックです。
パゴダの境内にずらっと並べて籐材が干してあった 著者撮影
パンタノー
ここで紹介した工芸品を買うだけなら、わざわざその町や村まで行かなくともヤンゴンのボージョーアウンサン市場などで買えます。でも製作過程を見てからなら、その工芸品にひとしお感慨も深まるというもの。興味のある方は工房巡りも楽しんでみてください。
(text & photo : 板坂 真季)
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