ミャンマー
グルメ
さっぱり味で日本人に人気!

ミャンマー料理の名脇役アトゥは、日本人好みの和え物料理

日本人には珍しく感じるタマリンドの葉のアトゥ 著者撮影

ちょっとしたミャンマー料理レストランでセットメニューを頼むと、ご飯やスープとともに、英語メニューに「カレー」と「サラダ」と書かれている料理が出てきます。今回は「カレー」の影に隠れがちだけれども、実は日本人旅行者の多くが「ミャンマーで一番おいしかった料理」であげることが多い、この「サラダ」の方についてご紹介します。

サラダというより和え物

ミャンマー料理レストランの「サラダ」は、細かくカットした野菜を砕いたピーナッツや玉ねぎスライス、豆粉、その他スパイスなどと混ぜてあり、日本人には「和え物」と言った方がしっくりくる料理です。アトゥの「トゥ」は「混ぜる」、「ア」は動詞が名詞になるときに頭につく接頭辞なのでまさに「混ぜたもの」、日本の和え物です。おそらく英領時代に、和え物料理文化があまりないイギリス人が「サラダ」と訳し、そのまま定着したのではないでしょうか。


レストランのミャンマー料理セット。奥が長豆のアトゥ 著者撮影

「サラダ」と聞くと日本人は生野菜料理が浮かぶでしょうが、ミャンマーにはご飯のアトゥも麺のアトゥもあります。それら混ぜる料理は基本的にすべてアトゥなのです。今回はレストランでヒンとともに出てくる、野菜のアトゥに特化してご紹介します。
 

日本人人気ナンバー1はトマトのアトゥ


トマトのアトゥ 著者撮影

脂っこい料理が苦手な日本人は、冒頭にも書いたようにアトゥを好みます。なかでも人気の高いのがトマトのアトゥで、ミャンマーで最もポピュラーなアトゥのひとつです。緑のトマトを使ったアトゥもあり、こちらはインレー湖の名物料理となっています。
レシピは作り手によって異なりますが、薄細長く切ったトマト、千切りキャベツ、玉ねぎスライス、ライムの絞り汁、魚醤、生唐辛子の輪切り、コリアンダーのみじん切り、砕いたピーナッツ、干しエビ粉、ゴマ、揚げ玉ねぎなどを混ぜます。
 

代表的なアトゥいろいろ

そのほかの、代表的なアトゥをあげてみます。


ツボクサのアトゥ 著者撮影
ツボクサや馬蹄草と呼ばれる、青汁などにも入っている栄養満点の葉野菜のみじん切りがメインのアトゥで、その他の具材やスパイスはトマトのアトゥとほぼ同様。噛み締めるほどにビタミンがからだに染み渡るような、ほどよい苦味が個人的に大好物です。
 

シャウッティのアトゥ 著者撮影
トマトやツボクサのアトゥと並び、一般的なのがシャウッティのアトゥ。シャウッティとはレモンとザボンの間のような柑橘系の果物。爽やかそうな見た目に反し、魚の発酵ソースや干しエビ粉などをかなり入れるため、魚料理に分類したい風味に仕上がります。
 

レース豆のアトゥ 著者撮影
サヤインゲンを細長く伸ばしたような長豆や、さやにフリルのようなひらひらがついた四角豆など、フレッシュな豆を使ったアトゥもミャンマーではとてもポピュラーです。
 

茶葉の漬物のアトゥ 著者撮影
ミャンマーでは茶葉を漬物にして、油やニンニクなどと和えてとてもよく食べますが、これにさらにトマトやキャベツ、コーンなどを混ぜる茶葉の漬物のアトゥなんてものもあります。
 

パパイヤのアトゥ。左がヤカイン風、右がビルマ風 著者撮影
パパイヤサラダにはビルマ風とヤカイン(ミャンマー西部の州)風があり、前者は豆粉を混ぜ込んであるためどろっとした仕上がりで、後者は生青唐辛子の強烈な辛味が特徴です。
 

アトゥを食べるには

アトゥはあくまでヒンの添え物として出すレストランが多いため、屋台を除いて専門店というものに私はまだお目にかかったことがありません。ミャンマー料理店ならたいてい、いくつもの種類のアトゥをおいています。その中でも、アトゥを食べるのにおすすめの2店を紹介します。

ブーティ

最近ダウンタウンにできたばかりで、ミャンマーの伝統的な家庭料理をカジュアルな雰囲気で楽しめます。アトゥは全部で6種類。すべて500チャット(約40円)とお手頃価格です。

Buthee

住所 116 Bogalayzay Rd., Botahtaung Tsp., Yangon
電話番号 (+95)9-8941-20277
営業時間 7:00~20:30
地図 Googleマップで確認する

 

ダヌピュードーソーイ・アウンゼイヤー通り店

ヤンゴンでチェーン展開する大衆食堂ですが、アウンゼーヤー店は他店より高級路線で外国人でも行きやすいお店です。調理前のアトゥの具材を皿に並べてくれており、指差しで注文できます。

Danuphyu Daw Saw Yee – Aungzayar Branch

住所 19 Aungzayyar Rd., Yankin Tsp., Yangon
電話番号 (+95)1-578800 / (+95)9-4040-10100 / (+95)9-4040-10200
営業時間 8:30~21:00
地図 Googleマップで確認する

近いうちにアトゥ専門店も?

アトゥ専門店はないと書きましたが、ヤンゴンではこの数年、健康志向が高まっています。そう遠くない将来、アトゥの専門店もできるのではないかと予想しています。きっと日本人にも受けると思うのですが。

 
(text & photo : 板坂 真季)



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