ミャンマー
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大きいことはいいことだ!

ミャンマー全土の大仏スポットで御利益巡り

鎌倉と牛久(うしく)。

日本で行ってみたい場所をミャンマー人に聞くと、ほとんどといっていいほどあがる地名がこの2つです。彼らのお目当ては大仏。ミャンマー人はことのほか、大仏が大好きなのです。


 

大きければそれだけ功徳も大きい?

敬虔な上座部仏教を信仰するミャンマーの人びとは、輪廻転生を信じています。人は死んだ後に様々な生き物となって甦りますが、来世にどんな人生を送れるかは、現世で積んだ功徳によって決まるのです。そのため、人びとはふだんの暮らしで弱者に親切にしたり、野良犬に餌をやったりして功徳ポイントを積んでいきます。


エーヤワディ地方ピャーポンの大仏。これくらいなら、ミャンマーではしばしば見かける大きさ 著者撮影

特に大きく功徳が積めるのは、仏像や仏塔の寄進。寄進する仏塔や仏像の大きさに比例して功徳が大きいとは、仏陀は決して言ってはいないのですが、やはり大きければその分御利益がありそうな気がするのかもしれません。財力のある人たちは、こぞって大きな仏像や仏塔を造ろうとします。祈る方もまた、大きい仏像に祈る方が小さい仏像に祈るよりも功徳が大きいと思っているのか、大仏に殺到するのです。

こうしてミャンマーでは、建造技術が発展し経済力が増すにつれ、全国各地に大仏が建てられていきました。ここではそんなミャンマーの大仏スポットをご紹介します。

 

レイチュンサチャームニ仏@モンユワ


モンユワのレイチュンサンチャームニ。大きすぎて広角レンズ必須 著者撮影

高さの点で現在最も大きいのは、ザガイン地方モンユワ郊外にそびえるレーチョンサチャームニです。台座を含めて約129mは、高さでは世界で2番目。エレベーターと階段で28階建て相当の最上部まで昇れますが外を望める窓はなく、展望目当てなら昇らない方がいいです。


手前ガシュエターリャウン、後ろに見えるのがレイチュンサンチャームニ 著者撮影

なお、この仏像の近くには長さ約101mの寝釈迦仏があり、巨大な仏像2体を同時に写真に収めることができます。さらには近くに、これまた巨大な坐仏も建造中です。どれだけ大仏を建立すれば気がすむのか、問いただしたいところです。

Lay Kyun Sakyar Muni

住所 Bodhi Ta Htaung Village, Monywa, Sagaing Region
拝観時間 6:00~17:00
拝観料 無料
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ウィンセイントーヤー仏@ムドン


山肌に沿ったフォルムになっているムドンの寝釈迦仏 著者撮影

高さでなく長さで最も大きいとなると、間違いなくモン州ムドンのウィンセイントーヤ寝釈迦仏です。長さは約183m。内部に仏教説話のジオラマを建設中ですが、少なくともこの5年、工事はまったく進んでいません。にも関わらず、付近にはさらに別の巨大な寝釈迦と坐仏の建造が始まっています。もしかして、モンユワに対抗しているのでしょうか。

Win Sein Tawyar

住所 Kyauk Ta Lone Vilage, Mudon, Mon State
拝観時間 6:00~20:30
拝観料 無料
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シュエターリャウン仏@バゴー


数年ごとに塗り直しをするので真新しく見えるが、顔の造形はクラシック 著者撮影

全長約55mと大きさでは負けますが、由緒で負けていないのが、ヤンゴンから車で約2時間のバゴーにあるシュエターリャウンでしょう。建立は994年。ミャンマー人の大仏好きは1000年以上の筋金入りというわけです。長くジャングルに埋もれていましたが、19世紀末のイギリスによる鉄道敷設工事の際に発見されました。

Shwe Tha Lyaung

住所 Shwe Thar Lyaung Rd., Bago
拝観時間 6:00~20:30
拝観料 バゴー入域料(1万チャット)に含む
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ナウンドージーミャターリャウン仏@バゴー


モダンないでたちなのは、建立されてまだそれほどたっていないから 著者撮影

バゴーのシュエターリャウンの隣にも、もう1体、全長約76mの巨大な寝釈迦像が横たわります。こちらは2002年に造られたばかり。お顔も現代的で、ちょっと漫画っぽい雰囲気です。戸外にあるため、乾季の朱い夕日に照らされて輝く光景は一見の価値ありです。

Naung Taw Gyi Mya Tha Lyaung

住所 Shwe Thar Lyaung Rd., Bago
拝観時間 6:00~20:30
拝観料 無料
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アトゥラシュエターリャウン仏@ベイッ


写真を撮りたい人は、舟で島へ渡る際に船頭に頼んで、少し寝釈迦仏の近くを回ってもらおう 著者撮影

巨大寝釈迦仏で忘れてならないのは、タニンダーリ地方ベイッのパドーパデッ島にある寝釈迦仏。長さは66mあり、島の海岸で海に向かって横たわっているため、全身を写真に収めようとすれば船から撮るしかありません。内部に入れるのも、寝釈迦としては珍しい造りです。

Atula Shwe Thar Lyaung

住所 Pataw Padt Island, Myeik, Thanintharyi
拝観時間 5:00~21:00
拝観料 無料
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シュエターリャウンドームー仏@ダウェイ


ダウェイでの巡礼コースに組み込まれているシュエターリャウンドームー 著者撮影

タニンダーリ地方には、ダウェイにも巨大寝釈迦仏があります。全長74m、1931年の建立です。市街中心部から離れ、観光開発もさほど進んでいないため、とても静かに拝観できる大仏です。

Shwe Tha Lyaung Daw Mu

住所 Ah Lel Kone, Myeik Rd,(NH8), Dawei, Thanintharyi
拝観時間 6:00~18:00
拝観料 無料
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シュエピーエーパゴダ@ヤンゴン

イギリス植民地時代、ヤンゴンでは新しい建築技術を使って次々に大仏を造りました。その頃に建立した9つの大仏を巡る願掛けについて、以前、「ヤンゴンのパワースポット「9大“ジー”」参りで満願成就」でご紹介しました。


シュエピーエーパゴダ。上階に展望台があるので、ぜひ昇ってみて 著者撮影

ヤンゴンっ子たちの大仏建立の情熱は今も変わりません。ムドンやモンユワに負けじと、2017年、ヤンゴン・マンダレーハイウェイ脇に建立したのは、高さ約44mの大仏で、ヤンゴン最大。周囲は何もない荒地でしたが、わずかな間に参道に土産物市場や食堂街ができ、今ではすっかり人気の観光スポットです。土産物と言っても野菜しかないのがなんとも…ですが。

Shwe Pyi Aye Pagoda

住所 15.9 miles, Yangon^Mandalay High Way, Yangon
拝観時間 24時間
拝観料 無料
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まだまだ増える大仏たち

ここで紹介したのは有名な大仏たちですが、ミャンマーでは田舎道を走っていると高さが10mを超える大仏に出会うことは珍しくありません。20m級の建設中の大仏なんていうのも一度ならず見かけたことがあります。経済的に豊かになってきた今、大仏はさらに増え続けるに違いありません。

 
(text & photo : 板坂 真季)

 



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