タイ
グルメ
バンコクの食通が通う郊外の名店

バンコクからわざわざ訪れる価値がある! 100年市場内の絶品食堂

街中や繁華街ではなく、少しアクセスしにくい場所にこそ本当の名店が隠れているのは、日本もタイも同じなのかもしれない。そんな風に思わせてくれるのが、今回ご紹介する「ペー ポチャナー」です。

バンコクから車で約1時間半、パトゥムターニー県にある小さな食堂にもかかわらず、バンコクからわざわざ訪れる人も少なくない名店として知られています。近くに派手な観光地があるわけでもなければ、目立つ看板を置いているわけでもない。そんな小さな食堂を遠路はるばる目指す人たちの目的はたったひとつ、丁寧に作られたここでしか味わえない料理の数々です!

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豚足を煮込んだトムヤムスープは一度食べたら忘れられないおいしさ!
「ペー ポチャナー」

赤い看板が目印  著者撮影

「ペー ポチャナー」があるのは、「ラヘーン マーケット」と呼ばれる100年市場のなか。100年市場とは昔ながらのタイの風景を感じられるレトロなマーケットのこと。タイ各地に多数存在していますが、一大観光地となっている100年市場もある一方で、ここは特別なものは何もない静かなマーケットです。それだけにマーケット内に人はあまりいませんが、その中で唯一賑わいを見せているのがここ、「ペー ポチャナー」です。

トムヤムカームー 120THB 著者撮影

甲乙をつけ難いほどにどの料理も味わい深く印象的ですが、毎回絶対に食べたい!と思うほど気に入っているのがこれ。カームー(豚足)を入れたトムヤムスープです。グリルした後でさらに45分ほどかけてじっくりと火を通したカームーは、柔らかく臭みも一切なし! 酸味と辛さのなかに豚足の甘みがぎゅーっと凝縮されたスープは、まさに絶品です。個人的にトムヤムカームーはタイ料理のなかでも好きな料理のひとつでメニューにあれば必ずオーダーするのですが、今まで食べた中ではここのトムヤムカームーが1番! トムヤムといえばクン(エビ)でしょ、と思っている方にこそ、ぜひ味わってみてほしい逸品です。

クントートガティアム200THB 著者撮影

トムヤムカームーと同じくらい強くおすすめしたいのが、クントートガティアム(エビのニンニク炒め)と、ムーソンクルアン(豚ひき肉の湯葉巻き)。ニンニクの香りを存分にまとったエビはぷりっぷりの仕上がりで、タイ米との相性も抜群! エビの旨味とニンニクの香りが食欲をそそり、思わず2皿目を追加したくなるほどのおいしさです。

ムーソンクルアン(ムージョー)120THB  著者撮影

豚ひき肉の湯葉巻き揚げは、餡に加えたクワイの実の食感が小気味のいいアクセントに。サックサクの湯葉とジューシーな豚肉、そしてシャクシャクとしたクワイの実のバランスが絶妙で、ひとつ食べたが最後、なかなかつまむ手を止められないほど。冷めてもおいしくいただけるので、夜のビールのお供にお持ち帰り分をオーダーするのもいいかも。

優しい笑顔で迎えてくれる店主のペーさん 著者撮影

ほかにもプラーチョンの揚げ物やつみれのパッキーマオ炒め、モツと漬け物の炒めものなど、おすすめ料理はたくさん! 自ら厨房に立つオーナーのペーさん自身が74歳ということもあり、メニューに並ぶのはバンコクの食堂でも食べられるベーシックなタイ料理が中心です。にもかかわらず、わざわざバンコクから訪れる人が絶えないのはここにしかない味があるからにほかなりません。

ペーさんと一緒に厨房を切り盛りするおばあちゃん  著者撮影

食べればその鮮度の高さが分かる肉や魚介、食感と味、香りが生きた野菜やハーブから感じられるのは食材選びへの確かなこだわり。さらに驚かされるのは、次から次へと提供される料理がどれもカチッと決まった迷いのない味に仕上がっていること。長い時間をかけて丁寧に、繰り返し作られる中でたどり着いた最高の味であろうことを料理自身が物語っている。パキッとクリアな味わいの中にどこか優しさを感じる「ペー ポチャナー」の料理の数々からは、そんな印象が感じられます。タクシーなどをチャーターしないと行けないので少々ハードルは上がりますが、昔ながらのおいしいタイ食堂に興味がある方ならきっと満足できる一軒ですよ!


著者撮影
著者撮影


著者撮影
著者撮影

日曜日の「ラヘーン マーケット」。伝統菓子を売る屋台やドリンク屋台などが数店営業している程度。観光地としては物足りないけれど、本当の意味でのローカル市場を体験したい方にはありかも。

 
(text & photo : 白石路以)

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