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一度は行きたい!

タイ人が行列する大人気トムヤムクン屋台2軒

著者撮影

日本で食べた時とタイで食べた時で、個人的にもっとも印象の違うタイ料理のひとつだと思っているのがトムヤムクンです。日本ではナムプリックパオとエバミルクを加えた「ナムコン」と呼ばれる濃厚でどろりとしたタイプのトムヤムクンを出している店が多いのに対し、タイではハーブの香りとエビの旨みを主役にした「ナムサイ」と呼ばれるすっきりとした味わいのものを出す店も多く、好みで「ナムサイ」か「ナムコン」を選ぶことも可能。それだけに、人によっては「ナムサイ」ならここ、「ナムコン」ならここ、というようにその日の気分によってお気に入りのトムヤムクンを出す店を選んで訪れることもあるほどです。

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そんなふうに実は奥が深いトムヤムクンの本当のおいしさを知るのなら、まずはタイ人も行列する現地の人気屋台を訪れてみてはいかがでしょうか!? 今まで日本で食べていたトムヤムクンって何だったんだろう……、と思わず考えてしまうくらいの、絶品トムヤムクンをぜひ現地で体験してみてください!

 

トムヤムクンの概念がひっくり返る!?行列の先にある世界で1番のトムヤムクン
「ラーン クンジム」

12時前から、店頭には行列ができる   著者撮影

「トムヤムクンがおいしい店」と聞いて、1番に浮かぶのがこの屋台。バンランプーという服の卸売り市場にほど近いエリアにある何の変哲もない店ながら、12時前にはいつも店頭に人垣が。まさに黒山の人だかり、と呼ぶのにふさわしい行列を超えた先に待っているのが、一度食べると忘れられないほどのおいしさを誇るトムヤムクンです。

鍋をいくつも並べ、スープを黙々と作るおじいちゃん   著者撮影

看板も何もないこの店の唯一の目印は、店先で黙々とスープを作り続けるこのおじいちゃん。店頭にはいかにも新鮮そうなピカピカの魚介や野菜が並んでいて、一見普通のこの屋台に貫かれているこだわりを感じさせてくれます。

それでなくとも食材の管理が難しい屋台ですが、野菜がクタッとしていたり魚介の色が悪いのはやっぱり考えもの。おいしいものを出してくれる屋台ほど食材の管理もしっかりしているものなので、食べる前に食材の鮮度を確認するのもいい店を見つける時の重要なポイントです。

トムヤムクン 120B   著者撮影

テーブルに運ばれたトムヤムクンをひとめ見ただけで、普通のトムヤムとの違いは明らか。唐辛子とエビの赤、エビみそのオレンジ、そしてハーブの緑と、きのことココナッツの新芽の白。余計な食材の色が入っていないピュアな印象の見ためと同様に、その味もどこまでも澄んでいます。ひと口食べて感じるのはグツグツと煮立たせたハーブの香りと、エビみそから出る甘いダシと奥深い旨み。そこに後から追いかけてくるライムの酸味、唐辛子の辛さが口の中で重なり合い、すべての味わいが混ざりあった瞬間に深く香りすっきりと抜けていきます。

今までにも有名シェフが作るものからお料理上手のタイ人ママが作ったもの、豪華レストランのもの、河辺の街の新鮮な川エビで作るものまで数えきれないほどのトムヤムクンを食べてきましたが、ここまでバランスが良く澄んだ味わいのスープは、一度も食べたことがありません。

クントートガティアム マンクン 200B   著者撮影

そしてトムヤムクンに負けず劣らずおいしいのが、こちらのエビのニンニク炒め。タイ語で「マンクン」というエビみそを加えるとさらにコクと旨みが増し、ごはんがとまらない味わいに! 日本から来た友人を案内したところ、「“旨み”という言葉を無理やり具現化したら、これになるんじゃないか……」と呟いていたほど。世界中のエビ好きに食べてほしい逸品です。

パットクイチャイプラムック   著者撮影

こちらは炒めものも上手なので、野菜炒めもおすすめ。中でもクイチャイ(花ニラ)はシャキシャキとした歯応えとすっきりとした味わいで、濃いめの料理の箸休めにもぴったり。合わせるものは好みで選べますが、イカとの相性が良くおすすめです。

ホイラーイパットプリック 100B   著者撮影

貝好きにおすすめしたいのが、アサリ炒め。ニンニクと唐辛子の黄金コンビにアサリの旨みが加わり、とにかく濃厚なひと皿。ホイラーイというタイのバジルの香りがアクセントになって、タイ米との相性が抜群です!

あまりのおいしさに「誰にも教えたくない!」と思ってブログやインスタ等にも書かず、何年も秘密にしていたこの屋台。2016年に『タイ行ったらこれ食べよう!』という本を出版させていただいた時に断腸の思いで(笑)掲載することにしたのですが、それ以降日本人のお客さまが増えてブログ等でも見かけるようになり掲載して良かったな、と思っています。

実はそれまでこの店には名前がなかったのですが、本に掲載するにあたり、スタッフの皆さんで考えて付けてくださったのが「ラーン クンジム」という店名なのです。そんな思い出もあり、自分の中ではいつでもここが世界で最高のトムヤムクンの店! ぜひ、タイに行ったら訪れてほしい名店のひとつです。


ラーン クンジム
・住所:Soi Kraisi, Chakrabongse Rd., Bangkok
・電話:(+66)86-883-7676
・時間:9:30-19:30くらい ※月曜定休

 

オープンと同時に満席! JJ ウィークエンドマーケットの人気屋台
「ラーン ヤムジェーウン」

著者撮影

短い旅の途中、ショッピングの合間などにサクッとおいしいトムヤムクンを食べてみたい、という方にはこちらがおすすめ。観光客にも人気の「チャトゥチャック ウィークエンドマーケット(以下、JJ)」の中にある、トムヤムクンがおいしいと評判の屋台です。JJと言えば、観光客にはパエリアの店やソムタム食堂、ヘルシー系タイ料理の店などが有名ですが、食通タイ人のインスタを賑わせているのは断然ここ! いつもオープンと同時に満席となる評判の味をぜひ堪能してみてください。

11:30のオープン直後にはこの賑わい   著者撮影

とても広く迷ってしまう人も多いJJですが、こちらはMRTガンペーンペット駅を出てすぐ、有名なアロマショップ『KARMAKAMET』の隣にあるので、旅行者の方でもすぐに見つけられるはず。ウィークエンドマーケット内にあるため土日しか営業していませんが、買えないものは何もないと言われるほどにさまざまなジャンルの店が揃うJJ内ということで、ショッピング前や合間の腹ごしらえにはぴったりの立地です。

トムヤムクン 150B   著者撮影

ほとんどすべてのテーブルでオーダーしているくらい人気なのが、トムヤムクン。大きなエビがたっぷり入った「ナムコン」タイプで、すっきりとした辛さの後にエビの深いコクが広がる濃厚な味わいが特徴です。トムヤムクンに欠かせないレモングラス、こぶみかんの葉、タイ生姜のハーブ類もたっぷり惜しげもなく使われているので、濃厚な中にもすっきりとした香りが広がり後を引くおいしさ。ごはんとの相性がいいのはもちろんですが、プラス30Bでトムヤムヌードルにも変更できるので、ちょっとジャンクな味わいを試してみたい方はぜひ挑戦してみてください。

クントートガティアムプラムック 150B   著者撮影

もっとエビを堪能したい!という方は、ぜひこちらのニンニク炒めもお試しを。ニンニクの香りが食欲をそそるひと皿。イカを追加することで、2種類の魚介の旨みと食感を味わえます。

トートマンプラー 50B   著者撮影

そして、忘れてはいけないのが店頭で揚げているタイのさつま揚げ、トートマンプラー。プラーグラーイという食感のいい魚を使っているため、プリプリと弾力のある仕上がり。実はこの店、料理が出てくるのがかなり遅いという欠点があるのですが、こちらをつまみながら待てば空腹も紛れてそんなにイライラせずに過ごせるはずです(笑)。タイの屋台にはありがちですが、営業時間はあくまで目安。準備ができたらオープンして食材がなくなればクローズしてしまうので、11時半前くらいには着くように行くことをおすすめします。

著者撮影


ラーン ヤムジェーウン
・住所:2 Kamphaeng Phed Rd., Chatuchak, Bangkok
・電話:(+66)83-343-2502
・時間:11:00-15:00くらい(売り切れ次第終了)※土日のみ営業

 
(text & photo : 白石路以)

 
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