タイ
グルメ
家族への愛が詰まった食卓

おばあちゃんの味を堪能できるバンコクの旨カワ食堂

今回ご紹介するのは「子どもの頃に毎日食べていた懐かしい味を思い出させる!」と、タイ人の間で話題の小さな食堂です。何もない静かな路地裏にひっそりと建つ木造の小さな家は、まさに隠れ家と呼ぶのにふさわしい佇まい。便利とは言い難い場所にあり、知らなければ通りすぎてしまいそうな外観にもかかわらず、お昼時になるとどこからともなくたくさんの人が!

本文を読む

みんなのお目当てはこの店のシェフであるおばあちゃんが、家族や近所の人のために作っていた料理をそのまま再現しているという、昔ながらのバンコクの家庭の味。今では「要事前予約店」のひとつに仲間入りするほど高い人気を誇る秘密は、優しく奥深い「おばあちゃんの味」にあるのです。

 

特別なものは何もない普通の家庭の味で大人気!
「Baan Tarunag」

著者撮影

海外で修行を積んできた若手シェフが作るイノベーティブなタイ料理が話題になっている一方で、ここ数年バンコクの若い人たちから人気を集めているのが、おばあちゃんやお母さんが作ってくれたような、素朴な家庭の味を売りにしたレストランです。こちらもそんな料理を味わえる場所のひとつですが、今までにあった家庭料理のレストランと違うのは、実際にレシピを作った本人であるおばあちゃんが自ら市場に出向き材料を選んで、その日のメニューを決めているという点。決まったメニューがあるレストランとは違い、まさに家庭のお母さんたちがそうするように、その日に手に入った食材を見てから提供する料理を決めているのだそう。


上から右回りにゲーンムー、ゲーンキアオワーン、クントートソースマカーム(写真は2人分) 著者撮影

この日のメニューはナンムーと呼ばれる豚の皮を入れたスープとグリーンカレー、エビのタマリンド炒め。スープは豚の臭みがなく、甘味だけが引き出されたすっきりとした上品な味わい。甘さと辛さのバランスがいいグリーンカレーやエビの旨みをぎゅっと閉じ込めたタマリンド炒めなど、どれもそれぞれの食材の長所を生かした絶妙な味わいで、ごはんとの相性が抜群! しつこさや油っこさがなく、毎日でも安心して食べられるヘルシーなバランスからは、おばあちゃんの家族への愛が感じられます。味はもちろんですが、昔からタイの家庭で使われていたホーローのかわいい食器でサーブしてくれるのもポイント。おいしい上にインスタ映えも抜群なんて、人気が出るのも納得ですね!


ナムプリックガピ 著者撮影

そして、この店のメニューのなかでもとくに好評なのが、このナムプリックガピ。ナムプリックとは野菜や魚介、ごはんなどにかけて食べるタイのディップのことで、屋台から高級レストランまで、タイ料理を扱う店ならどこでも食べられるまさに定番中の定番です。ガピやニンニク、唐辛子などタイ食材の旨みを凝縮した濃厚な味わいのおばあちゃんのナムプリックは、辛さと酸味、塩気のバランスがよく、止まらないおいしさ! 添えられた茹で野菜やハーブ、魚を満遍なく食べることで栄養バランスが整うのも嬉しい点。「油や砂糖が多い」「太る」などと言われがちなタイ料理ですが、こういう昔ながらの家庭料理を知ることで、実は体に優しく、ヘルシーな料理であることを学べるのも、外国人には嬉しい点かもしれません。


カオニャオマムアン 60THBとマンチュアム 22THB 著者撮影
ドリンク各 55THB 著者撮影

料理はその日のおすすめコース(この日は2名分で380THB)ですが、デザートはいくつか用意されているものからお好みで選べます。もちろん、どちらもお店で丁寧に手作りされているもの。また、ドリンクもアールグレイにレモングラスを合わせたものやタイの梅を使ったものなど、個性的なオリジナルが充実していて楽しい!


友人宅に遊びに来たような、オープンエアの気持ちのいい食堂 著者撮影

家族の写真がたくさん飾られた店内は、木のぬくもりが感じられるホッと落ちつける空間。昔ながらの料理はもちろん、フレンドリーなサービスや空間からも、古き良きバンコクの空気感が感じられるので、ぜひ少しレトロなタイを満喫しにお出かけしてみてくださいね。電話のほか、Facebookのメッセージからも予約ができるので、訪れる前には必ず予約をするのがおすすめです。

 
(text & photo : 白石路以)

【連載】タイ料理ライターイチオシ! バンコク絶品食堂案内

 



何をむ?

国名・都市名、ジャンルを選ぶと、読みたい記事を絞りこみできます

RECOMMEND COLUMN
連載コラム

RECOMMEND
COLUMN
連載コラム