タイ
グルメ
バンコク随一の通好みな隠れ家食堂

バンコクのビル2階にある味な食堂「ハンポチャナー」

著者撮影

目立つ看板がなかったり、地元の人以外、絶対に足を踏み入れなそうな薄暗い路地の先でひっそりと営業していたり……。バンコクには「隠れ家」と言われる食堂が数多くありますが、その中でも隠れ家度数がずば抜けて高いのがここ、「ハンポチャナー」です。

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お世辞にもキレイとは言えない住宅が集まるエリアの一角にある、ローカル度満点の建物の2階の薄暗い廊下を進んだ先にこの食堂はあります。1階に看板があるわけでもなく、外からみて食堂だとわかるわけでもないため、通りすがりに入店することはほぼ不可能。日常使いの地味な食堂にもかかわらず、ウォークイン客をまったく見込めないどころか、近所の人すら気づかないのでは、と思えるロケーションで勝負しているある意味パンクな一軒です。
 

絶品エビのニンニク炒めを目指し、バンコクの食通たちが殺到中!
「ハンポチャナー」

まるで誰かの自宅のような、飾り気のない食堂 著者撮影

店がある建物の周囲もそうですが、店舗も一切の飾り気はなし。まるで誰かの(片付いているとは決して言えない)アパートを訪れたような質素な空間に、小さなキッチンとテーブルが3つ並んでいるだけで、タイを初めて訪れた人なら『本当にここがお店なの?』と不安になるかも。そんな環境にありながら、実はセレブな食通たちも次々と訪れ、絶賛している人気店なのです。

クンガティアムプリックタイ 著者撮影

ここに来たらはずせないのが、このエビのニンニク炒め! 店のご主人曰く、『化学調味料を使わず、ニンニクとコショウ、ほんの少しの調味料を入れて炒めているだけ』なのに、びっくりするくらいエビの旨みが凝縮されていて感動! 噛みしめるほどに深い旨みと甘みが口の中に広がり、エビのおいしさを再発見できるひと皿です。こちらのメニューは基本どれも1皿80THBで量もそんなにないので、このメニューは1人1皿オーダーするのがおすすめ! ちょっとお行儀は悪いのですが、半分くらい食べたところでライスを混ぜるとまた違ったおいしさを楽しめます。

プラーパットガパオ 著者撮影

魚のガパオ炒めも人気メニューのひとつ。お皿に汁がまったくないことからもわかるように、こちらも調味料は必要最低限、たっぷりと入ったガパオとニンニクの香り、そして唐辛子の辛味が柔らかな白身のおいしさを引き立たせているシンプルで家庭的な仕上がりです。魚の火入れも絶妙で、臭みは一切なくサクッ&ふわっとした食感を楽しめます。

パッガートカオパットムーサップ 著者撮影

ご主人に野菜メニューをリクエストしたところ、作ってくれたのが白菜の豚ひき肉炒め。こちらもあっさりとした中に野菜の甘みが生きていて、タイ米との相性が抜群。白菜のシャキシャキとした食感も小気味よく、ほっとするおいしさです。メニューは少なめながら、ほかにもミークロープやニガウリ炒めなど、ここを訪れたらぜひ試しておきたい料理がいろいろ。ひと皿が少なめなので、3〜4人で行ってもたくさん種類を味わえるのも嬉しい点です。

ひとりで店を切り盛りするご主人 著者撮影

この場所で20年以上この食堂を続けているというご主人がオーダーから調理、サーブ、会計まですべてをたったひとりで担当。そのため混雑時にはドリンクなどはセルフサービスで行うなど、お客さんたちもご主人をお手伝いするという家庭的な雰囲気も魅力です。

小さな空間に3卓のテーブルが並ぶ 著者撮影

どの料理にも化学調味料は使わず、調味料も必要最低限でシンプルに仕上げることにこだわるご主人の料理は、どれも食材の味わいを生かした優しい味わい。例えば有名店のプーパッポンカリーやパッタイのようなインパクトはありませんが、日本の家庭料理にも通ずる滋味深さが魅力です。

すべてが絶品というよりも、この店を紹介してくれたタイ人が言った『昔から華僑の家で食べられていたような、普通のごはんがおいしいんだ』という言葉の通り、お母さんの味を懐かしむように時々通いたくなる場所。

薄暗い建物の2階でひっそりと、20年以上店を守り続けてきたご主人の優しい笑顔を見ていると『いい店ってこういうことなんだろうな』と、素直に感じられます。もし個人的「バンコクいい店 味な店」ランキングを作るとしたら上位に食い込むことは間違いない、いろんな意味で味わい深い隠れ家食堂です。

このビルの2階。1階の警備員に「ハンポチャナーに行く」と伝えれば、エレベーターの場所を教えてくれます 著者撮影

(text & photo : 白石路以)

【連載】タイ料理ライターイチオシ! バンコク絶品食堂案内

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