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イスラム版カオマンガイ!?

タイのビリヤニ、カオモックガイの名店巡り

著者撮影

日本で年々人気が高まっているビリヤニですが、実はタイにもビリヤニによく似た料理があるのをご存知ですか? それが、今回ご紹介するカオモックガイです。もともとタイで食べられていた料理というわけではなくタイ南部を中心に多く暮らすイスラム系タイ人が広めた料理ですが、現在はタイ全土に専門店があり、イスラム系に限らず多くのタイ人たちに愛されています。

ライスとチキンを組み合わせたタイ料理といえば、日本では圧倒的にカオマンガイが人気ですが、現地ではカオモックガイも一般的なメニューのひとつ。カオマンガイが中華系タイ料理を代表するチキン料理だとすれば、カオモックガイはイスラム系タイ料理を代表するもので、フードコートやスーパーマーケットのお惣菜コーナーなどでも売られているほど、よく食べてられているメニューです。それだけにバンコク内だけでも有名店がたくさんありますが、今回は近くにモスクがあり、イスラム系料理店が点在していることで知られるジャルンクルン通りで食べ比べてみました!

 

1日約2時間、平日しか営業していない 知る人ぞ知る幻のカオモックガイ店へ!
『ラーンジウ カオモックガイ』

とても名店とは思えない、素朴すぎる食堂  著者撮影

おいしいカオモックガイの店を探していた時にたまたまネットで写真を見かけて、「これは絶対においしいに違いない……!」と確信したのがこの店。もちろんすぐに食べに行こうと思ったのですが、営業時間が1日わずか2時間、しかも売り切れじまいで土日は休みとあり、なかなか食べられなかった自分の中の幻の1軒です。ネットでもタイ人たちが「10時に行ったらまだ売っておらず、11時に行ったら売り切れ……」などと書き込んでいるほどレア度の高い店とあり、期待感も高まります!

店先では、大量のお持ち帰り注文に対応中  著者撮影

わたしも初めての時はドキドキしながら訪れたのですが、実際に見てみると拍子抜けするほどに小さくて素朴な店構え。店先にはカオモックガイやほかのおかずの仕込みをしているインド系のご主人と優しいタイ人のおばちゃんが忙しく働き、店の中ではおそらく親族だと思われるやはりインド系のおばあちゃんたちが座っていて、想像していたよりずっと家庭的でのんびりとした雰囲気でした。

カオモックガイ 55B  著者撮影

そしていよいよ、念願のカオモックガイがテーブルに! 友人とふたり、思わず「うわぁーっ!」と声を上げてしまうくらい、存在感のあるカオモックガイに感動! タイのカオモックガイを食べたことのある方ならわかると思うのですが、たいていの場合はチキンがライスの中に隠れているのに、ここのはライスの上にチキンがどーん! さらにチキンを煮込んだスープが上からかけられているので、スパイスの香りがふわ〜っと鮮やかに立ち込めて、食欲をそそられます!

チキンはスプーンで軽く触れただけで、ほろっと崩れるくらいの柔らかさ。ライスは一般的なカオモックガイに比べるとしっとりと柔らかく、スパイスの香りは控えめ。きゅうりが添えられたソースも他店に比べると甘さが抑えられスッキリとした香りで、ライスもタレも、あくまで濃厚なスパイスの香りをまとったチキンを引き立てるために存在している、という印象。タレをかけたチキンをライスとともに口に運ぶと、すべての味わいが渾然一体となって広がり、その後でチキンの旨みがふわりと余韻を残します。まさに止まらないおいしさで、この日はランチをハシゴしていて2軒目だったのにもかかわらず、気づけば大きなチキンもライスも、あっという間に完食してしまったほど。もし、「何度食べてもカオモックガイの魅力がわからない」なんて人がいたら、ぜひこちらで試してほしい!と思うくらい、味わい深い逸品です。

スップガイ 50B  著者撮影

カオモックガイの店で、必ず一緒にオーダーするのがこのチキンスープ。見た目はイマイチですが、酸味があってピリッと辛くて、カオモックガイの箸休めにぴったりです。また、トマトや玉ねぎなどの野菜がたっぷり入っているのも魅力。基本はかなり辛いので、苦手な人は辛さ控えめと伝えるのを忘れると危険です。また、店によってはチキンの他にオックステール入りのスップハーンを用意しているところも多くあります。

看板はタイ語のみ 著者撮影

間口も小さく、驚くほど小さな店なので見落とさないように気をつけてくださいね。この鮮やかな紫の看板が目印です。ネット上では11時〜13時までと描かれていることが多いのですが、店員さんは9時半〜12時半まで、と言っていました。ただ、ネットの口コミを読む限り12時には売り切れていることも多いようなので、10時半くらいに行くのがいいのかな、と個人的には思います。


ラーンジウ カオモックガイ
・住所:786 Soi43 Charoen Krung Rd., Bangkok
・電話:(+66)84-640-5775
・時間:10:00-12:00くらい ※土曜・日曜定休

 

地元の人から外国人にまで愛される、メニュー豊富なイスラム系食堂
『ムスリム レストラン』

著者撮影

せっかくだから、カオモックガイ以外にもさまざまなイスラム系の料理を試してみたい、という方におすすめなのがこちら。『ムスリム レストラン』という店名の通り、広々とした店内でさまざまなイスラム系料理を楽しめます。

歴史の古さを感じさせる、レトロな店内 著者撮影

ここは有名店だけに、訪れる人の人種もさまざま。イスラム系の人たちだけでなく、ご近所に住んでいると思われる中華系のおじいちゃんやおばあちゃんから近くのOLさん、バックパッカー風の外国人観光客、インスタ映えを狙っている風のタイ人女子グループまで、みんな朝食、ランチ、お茶、と思い思いの楽しみ方をしているので、1人旅でふらりと訪れたい時にもぴったりです。

カオモックガイ 80B  著者撮影

こちらのカオモックガイは、一般的なタイのものと同じ、チキンが隠れているタイプ。小さめのお皿でライスもチキンも少なめですが、いろいろ試したい時には丁度いいサイズだと思います。

ライスの中からチキンがちょこんと 著者撮影

ライスをちょっと崩してみると、中からチキンが顔を出します。こちらのライスは他店に比べるとオレンジに近い濃い色味ですが、味わいはあっさりとしていてパラパラ食感。チキンがとにかく柔らかで絶品ながら、小さいのであっという間になくなってしまうのがちょっと残念かな(笑)。タレも甘さ控えめで薄味なので、優しい味わいが好きな方にはぴったりだと思います。チキン以外にマトンビリヤニ、フィッシュビリヤニもあるので、ビリヤニ食べ比べをしてみるのもいいかも!

チキンマッサマン 50B、グリーンビーフカレー 80B、ロティ 25B  著者撮影

マッサマンやグリーンカレーなど、日本でもおなじみのタイカレーも! ここでは、ライスより小さめのナンのようなロティと一緒に味わうのがおすすめ。サクサクでパイのような食感のロティと、甘さのあるタイカレーは相性抜群です。イスラム系の人は手を使って食べることもあるため、こういった食堂で出されるカレーなどはぬるめのものがほとんど。日本人の感覚からすると「熱々じゃないの!?」と驚くかもしれませんが、これもタイの食文化のひとつなのでそういう面も楽しんでみてくださいね。

『ムスリム レストラン』という店名ながら、どんな人でも受け入れてくれるタイらしい懐の深さも魅力。 著者撮影


ムスリム レストラン
・住所:1354-56 Soi42 Charoen Krung Rd., Bangkok
・電話:(+66)2-234-1876
・時間:月〜金 7:00〜17:00、土日7:00〜15:00 ※無休

 
(text & photo : 白石路以)

 
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