タイ
カルチャー
すぐにチケットが売り切れるほど人気!

年に4回運行!バンコクを走る日本製SL列車の雄姿

写真1著者撮影   迫力あるSLの雄姿。

日本の各地でSLが復活運転されている。しかし、SLが運転されるのは多くの場合は地方都市で、東京や大阪などに住んでいると気軽にSL撮影に行くことはできない。

本文を読む

その点、タイ国鉄のSL列車は、年4回だけだが、首都バンコクから運転される。仕事の関係でバンコクに赴任している「鉄ちゃん駐在員」にとって、手軽にSL撮影ができるこのチャンスは何よりの「鉄分補給」となっている。

 

タイ国鉄のSL運転日は?

写真2著者撮影   バンコク・ドゥシット宮殿駅を通過するSL列車。

SLの運転日は、3月26日の鉄道の日、8月12日のシリキット王妃様の誕生日(母の日)、10月23日のチュラロンコン大王記念日、そして12月5日のプミポン国王陛下の誕生日(父の日)の年4回。このうち3月の鉄道の日は祝日ではないので、平日の運行となる場合がある。残り3日は祝日のため、「鉄ちゃん駐在員」も堂々と会社を休んで撮影に出かけることができる。

写真3著者撮影   王室専用の駅舎があるバンパイン駅に到着。

余談だが、タイの都市鉄道などの開業日は、8月12日のシリキット王妃様の誕生日か、12月5日のプミポン国王陛下の誕生日に設定される場合が多い。「新線の開業が12月に間に合いそうもないので、開業日は8月に延期」というような話も聞くことがある。

 

気になる運行区間をチェック

写真4著者撮影  途中駅でSLも人も小休止。

SL列車の運行区間はバンコク・ファランポーン駅からアユタヤまでの往復が多いが、最近はバンコクの東、チェチェンサーオへ運行されたり、逆に西のナコンパトムへ運転されることもある。いずれも朝8時にバンコクを出て、夕方にバンコクに戻ってくる1往復の運転。

乗車するための切符はタイ国鉄窓口での予約販売となるが、SL列車の人気は高く、すぐに売り切れになるようである。通常、1両か2両はバンコクにある日系旅行社が買い上げ、観光とセットで販売している。少々値段は高くなるが、どうしても乗りたいのであれば、こちらの方が切符は確保しやすい。

写真6著者撮影  アユタヤ手前のカーブは前方のSLがよく見える。

現在タイ国鉄は、運行に使用できるSLを3両保有しており、そのうち状態のよい2両を用いて運転される。いずれも戦後に輸出された日本製のSLである。日本製のSLというと戦時中にタイ、ミャンマー間に建設された泰緬鉄道用に輸出されたものと混同されることがあるが、これは別のものである。泰緬鉄道に使用されたSL、C56型は、列車の運行には使用されないが、毎年11月末に開催されるカンチャナブリでの「クウェー川鉄橋週間」のイベントには、煙を出して登場する。

写真7著者撮影  アユタヤ駅ではSLをじっくり見ることができる。

 
さて、「鉄分補給」活動のSL撮影であるが、日本での撮影とは異なる難しさもある。特に難しいのが、バンコクとアユタヤの間は、複線にさらに単線が追加された3線区間となっていて、列車がどの線路を走って来るか予想できないことである。タイ国鉄は日本の鉄道と同じように通常は左側通行であるが、この区間ではどの線路を走行するか決まっていない。SLの「のろし」(煙突の煙)の場所を見て、素早く撮影する角度を決めなくてはならない。

写真5著者撮影  バンコク、アユタヤ間では右側通行で運行されることもある。

切符が確保しにくいSL列車は、日本からバンコクを訪れる観光客には、なかなか縁が遠い存在かもしれない。でも、もしバンコク滞在日がSLの運転日に重なっていたら、朝少し早起きをして、ファランポーン駅に日本製SLの雄姿をぜひ見に行って欲しい。客車9両を連結したSL列車は日本でも運行されていない。その迫力ある出発の様子を見るだけでも十分な価値がある。

写真8著者撮影   SL列車は後ろ姿も美しい。

 

(text & photo : 井上毅)

 
バンコクから見る、東南アジア鉄道の楽しみ方
その他の記事はこちら>

 
こちらも合わせてCheck!
バンコク中央駅(ファランポーン駅)に残る日本の足跡

何をむ?

国名・都市名、ジャンルを選ぶと、読みたい記事を絞りこみできます

RECOMMEND COLUMN
連載コラム

RECOMMEND
COLUMN
連載コラム