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今のうちにアンコール・ワットを予習!

訪れる前に知っておきたい!世界遺産「アンコールの遺跡群」

photo:世界遺産イェーイ!

人生で一度は見てみたいのがカンボジアの世界遺産「アンコール・ワット」。今回の記事では、アンコール・ワットを中心とした世界遺産「アンコールの遺跡群」をご紹介。いざ行くことが決まってしまうと、慌ただしく準備に追われてしまい「そういえばアンコール・ワットってどんな遺跡だっけ??」となってしまう方も多いのでは?そこで今のうちに「アンコール・ワット」の歴史や背景、見どころを勉強しておいて、実際に行ける時に、もっと楽しめるように準備をしておくのはいかがでしょうか?Googleストリートビューで予習する方法もご紹介します。

 

アンコールの遺跡群とは


photo:世界遺産イェーイ!

カンボジアの世界遺産「アンコールの遺跡群」は、9~15世紀にかけてインドシナ半島のほとんどを支配していたクメール人の王国、クメール王朝(アンコール王朝)の遺跡群で、その最高傑作がアンコール・ワットです。世界遺産の登録範囲は400平方km!この広大な敷地に600を超える石造りの遺跡が残されています。どうしてもアンコール・ワットのイメージが強いのですが、アンコール・ワットだけではなく、アンコール・トムなど数多くの遺跡が世界遺産として登録されています。


アンコール・トム photo:世界遺産イェーイ!

この素晴らしい遺跡の数々を作り上げたクメール王朝は、9世紀から15世紀まで東南アジアに存在していた王朝です。12世紀の最盛期には現在のカンボジアを中心にタイ、ラオス、ベトナムの一部など、インドネシア半島のかなり広い範囲を治めていました。


ラオスの世界遺産「ワット・プー」もクメール王朝の遺跡 photo:ひさほ ゆう

そのため、クメール王朝の遺跡は、カンボジアだけではなく、ラオスやタイにも残されており、そのいくつかは世界遺産にも登録されています。詳しくは「クメール王朝の歴史を世界遺産で追う」の記事をご覧下さい。

 
現在カンボジアには世界遺産が3件あります。

・サンボー・プレイ・クックの寺院地区と古代イーシャナプラの考古遺跡
・アンコールの遺跡群
・プレア・ヴィヘア寺院


サンボー・プレイ・クック photo:世界遺産イェーイ!

この中で「サンボー・プレイ・クック」は、プレ・クメール(アンコール)時代の7世紀頃につくられたもので、サンボー・プレイ・クックの建築様式が、後のアンコール・ワットに代表されるクメール様式の礎となりました。アンコールの遺跡群とプレア・ヴィヘア寺院は、クメール時代のものなので、カンボジアの世界遺産は3件とも全てクメール王朝と関係があるということになります。こちらも詳しくは「カンボジアの歴史を世界遺産で追う」の記事をご覧下さい。

 
それでは世界遺産「アンコールの遺跡群」の中から、絶対に外せない遺跡5件をご紹介していきます!

 

1.アンコール・ワット

まずご紹介するのは、アンコールの遺跡群の中でも最大規模を誇るアンコール・ワット。拠点となるシェムリアップの街からアンコール・ワットまでは車で約15分です。アンコール・ワットは12世紀後半クメール王朝のスールヤヴァルマン2世によって約30年かけて造営されたビシュヌ神を祀るヒンドゥー教の寺院。クメール語で「アンコール」は「街」を「ワット」は「寺院」を表します。アンコール・ワットは、ヒンドゥー教の宇宙観を元に建てられており、構成は以下のようになっています。

・お堀
・東西南北の門
・東西の参道
・経蔵
・聖池
・第1回廊
・十字回廊
・第2回廊
・第3回廊
・中央塔を含む5つの尖塔

「中央塔」は世界の中心とされる伝説の山、須弥山(しゅみせん:メール山)を象徴し、中央に行くに従って高くなる3重の回廊は「山脈」や「大陸」を表し、お堀は「大海原」を表しています。


photo:世界遺産イェーイ!

まずは中央の参道を通ってアンコール・ワットへ入場し、聖池へすすみます。この聖池が日の出撮影のスポットとして有名なところです。そして第1回廊に進み、壁面のレリーフ(浮き彫り)を堪能しましょう。

実は、今のうちにぜひ見てしておいて欲しいのがGoogleのストリートビュー。特設サイトが用意されており、実際に歩いて観光しているかのように見ることができます。特設サイトは見どころスポットにクリックひとつで飛べるように作られているので、迷うことなく目的地に行くことができます。


photo:世界遺産イェーイ!

こちらは、東側の南面に掘られている有名なレリーフ、乳海攪拌(にゅうかいかくはん)。

ヒンドゥー教の天地創造神話を描いた「乳海攪拌」は、神々と魔人が協力して大蛇の尾を綱引きのように引っ張り、乳海の底から不老不死の妙薬(アムリタ)を湧き出させるというお話です。こちらの写真はまさに大蛇の尾を引っ張っているところ!「乳海攪拌」など有名なレリーフは、ストリートビューで見ることができます。第一回廊は東西215m、南北187mと巨大で実際に全て歩くと大変なので、ストリートビューで予習してから訪れたいですね。


photo:ひさほゆう

第3回廊を超えると、5つの尖塔の前に抜けることができます。中心にそびえる「中央祠堂」は4つの塔とそれをつなぐ第3回廊に囲まれた中心に立っています。こちらの中央祠堂もアンコール・ワットのストリートビューで見ることができます。

 

2.アンコール・トム


バイヨン photo:世界遺産イェーイ!

アンコール・トムは12世紀末、クメール王国最盛期に、ジャヤヴァルマン7世によってつくられたもので、クメール語で「大きな都市」を意味します。その言葉通りアンコール・トムは、1辺が約3km高さ8mの城壁で囲まれ、その周囲には12kmもの環濠を有する、正方形の巨大な都市。この正方形の敷地の中にたくさんの遺跡が点在しており、都の中心に建てられているのが仏教寺院「バイヨン」です。アンコール・ワットからは車で約5分。


photo:世界遺産イェーイ!

何と言っても一番有名なのが、こちらの巨大な四面仏塔。バイヨン寺院中央祠堂のまわりに、たくさんの四面仏塔が立ち並ぶ姿は圧巻!クメールの微笑みとして知られる仏塔は必ず見たいところです。

アンコール・トムもストリートビュー で、中央祠堂のまわりを見ることができるので、実際にどのように仏塔が配置されているのか、またより多くの仏塔をカメラにおさめたい時はどこのスポットが良いのか、などを事前にチェックしておきましょう。

 

3.バンテアイ・スレイ


東洋のモナリザと称されるデヴァター(女神)像 photo:世界遺産イェーイ!

10世紀後半に作られた古くて小さな寺院ですが、紅色砂岩で作られているためアンコール・ワットなどと違って赤みを帯びているのと、びっしりと彫られた細密なレリーフが特徴です。アンコール・ワットからは車で約1時間と少し郊外にあります。「東洋のモナリザ」と称されるデヴァター像は、そのあまりの美しさからフランスの作家アンドレ・マルローが盗み出そうとして逮捕されたという話も残っているほど!そんなデヴァター像なのですが、実は遺跡保護のため現在は近くでみることができないようになっています。しかしストリートビュー だったら、近くに寄ることができるので、こちらでお楽しみ下さい!

 

4.タ・プローム


photo:世界遺産イェーイ!

1186年にジャヤヴァルマン7世が、母の菩提を弔うために建てたもの。ジャヤヴァルマン7世は、アンコール・トムを建てた王としても知られています。遺跡を巨木がのみこんでいる景観は神秘的で、映画「トゥーム・レイダー」の舞台にもなりました。長い間ジャングルで放置され、発見当時のままの状態が残されているため、熱帯植物の成長の力を目の当たりにすることができます。アンコールワットからは車で約10分。

タ・プロームは東西1km、南北600mのこじんまりした遺跡です。ストリートビュー で、自由に歩きまわってみると、1箇所だけではなく、あちらこちらの遺跡に樹木が絡みついていることに驚かれるのではないでしょうか。

 

5.ベン・メリア


photo:世界遺産イェーイ!

密林の中に埋もれた遺跡、ベン・メリア。アンコール・ワットと作りが似ているのですが、修復がほとんどされていないため、崩壊した遺跡の石が散乱しており、神秘的な雰囲気を味わうことができます。ここが一番郊外にあり、アンコール・ワットからは車で約1時間半。


photo:世界遺産イェーイ!

アンコール・ワットにもあった「乳海攪拌」のレリーフ。同じシーンを描いていますが、随分と印象が違うのに驚きます。

ベン・メリアも東西900m、南北800mの遺跡です。現在でも石が散乱しており実際には自由に歩くのが難しい遺跡なので、ストリートビュー で、自由に歩きまわってみて、密林に埋もれていた神秘的な世界を楽しんでみて下さい。

 
以上、アンコールの遺跡群をご紹介しました。実際に現地を訪れた時に「あれ、アンコール・ワットに、大きな顔の仏像がある四面仏塔はないんだっけ?(四面仏塔はアンコール・トム)」ということがないように、基本的な情報はおさえておきたいところです。Googleのストリートビューを使ってのバーチャル散歩も、楽しいので、ぜひやってみて下さいね。

アンコールの遺跡群

登録 1992年
登録基準 「人間がつくった傑作」、「文化交流」、「文明の証拠」、「建築技術」
アクセス 日本からプノンペンまで直行便で約6時間半。プノンペンからシェムリアップまで飛行機で約1時間

(text : 鈴木かの子)

■Googleストリートビュー
アンコール遺跡はこちら

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