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- 悠久のアンコール遺跡! 小回りコースで行くべき7つの寺院
タ・プローム photo:世界遺産イェーイ!
カンボジアのシェムリアップにある世界遺産「アンコールの遺跡群」は、9~15世紀にかけて栄えたクメール朝の繁栄を伝える都市遺跡。カンボジアの国旗にも描かれている「アンコール・ワット」や、四面仏塔が印象的な「アンコール・トム」は代表的なものです。
世界遺産「アンコールの遺跡群」を構成する遺跡は、なんと600以上!有名なアンコール・ワットやアンコール・トムは必ず訪れるとして、それ以外は一体どの遺跡に行けばよいのか悩んでしまいそうですね。実はアンコールの遺跡群には「小回りコース」と「大回りコース」という、有名な遺跡を効率良くまわる定番コースがあるのです。今回の記事では、巨木が遺跡にからみついた景観が印象的な「タ・プローム」を含む小回りコースで訪れたい7つの寺院をご紹介します。
小回りコースと大回りコースとは
小回りコース(Small Course)と大回りコース(Grand Course)とはフランス植民地時代に開発された、アンコール・トム周辺にある遺跡を効率よく観光するための定番コースです。小回りコースは、アンコール・トムの中を通って近くにある遺跡をぐるっと回るルート。クメール王朝の初期、中期、後期に造られた遺跡が含まれるため、各時代の遺跡の違いを見ることができます。有名な「タ・プローム」が含まれるため、滞在日数が少ない方には小回りコースがおすすめ。
どちらのコースも起点となるのはアンコール・トム photo:世界遺産イェーイ!
大回りコースも起点はアンコール・トムですが、小回りコースよりも少し北東部にある遺跡を回ります。こちらはクメール王朝後期の遺跡が多いことが特徴。小回りコースも大回りコースも所要時間は4時間程度です。カンボジアは暑いため両方のコースを1日でまわろうとすると、ちょっとハードかもしれません。
それでは小回りコースで訪れたい7つの寺院をご紹介していきます。
1. タ・プローム
中央祠堂近くにある血管のような枝は人気のスポット photo:世界遺産イェーイ!
まず1件目にご紹介するのは、アンコール・ワット、アンコール・トムに次いで有名な「タ・プローム」。1186年にジャヤヴァルマン7世が、母の菩提を弔うために建てたもの。ジャヤヴァルマン7世は、アンコール・トムを建てた王でもあります。
巨木はガジュマルの一種。カンボジア語ではスポアン photo:世界遺産イェーイ!
遺跡を巨木がのみこんでいる景観は神秘的で、映画「トゥーム・レイダー」の舞台にもなりました。長い間ジャングルで放置され、発見当時のままの状態が残されているため、熱帯植物の成長の力を目の当たりにすることができます。
タ・プロームはもともと大乗仏教の僧院として建てられ、大勢の僧侶などが住んでいたと言われています。東西1km南北600mの壁に囲まれた広大な敷地には、三重の回廊があり、塔や祠堂が回廊で結ばれています。
発見当時の状態を維持しながら補強 photo:世界遺産イェーイ!
とても人気のある遺跡なので、1日中大勢の観光客が訪れています。人気スポットは写真を撮るのに並ぶこともあるので、時間に余裕をもって訪れましょう。
2. バンテアイ・クデイ
塔門の四面仏塔 photo:世界遺産イェーイ!
アンコール・トムやタ・プロームと寺院の造りが似ている遺跡。塔門にある四面仏塔は、アンコール・トムを思い出すものです。
迷路のように入り組んだ造り photo:世界遺産イェーイ!
「バンテアイ・クデイ」は増改築が繰り返されており、内部は迷路のように複雑な造りになっています。もとはヒンドゥー教寺院として建てられたものを、アンコール・トムやタ・プロームを造ったジャヤヴァルマン7世が仏教寺院として改築。その後も改築が繰り返され13世紀に現在の姿になったと言われています。
アプサラ photo:世界遺産イェーイ!
見逃せないのは東側に位置する「踊り子のテラス」の柱に掘られた、蓮の花の上で踊るアプサラのレリーフ(浮き彫り)。アプサラは天女を意味し、その踊りは神への祈りとして捧げるものでした。それぞれの柱に躍動感あふれる姿が残されています。
連子窓やデヴァダー像も見ることができる photo:世界遺産イェーイ!
バンテアイ・クデイは、アンコール遺跡の権威でもある上智大学、石澤教授の調査団が2001年に274台の仏像を発掘したことでも知られています。発掘された仏像はシェムリアップ市内にある「プリア・ノロドム・シハヌーク・アンコール博物館」に展示されているので、こちらも訪れてみて下さい。
バンテアイ・クディの東門を抜けると王のための沐浴の池と言われている「スラ・スラン」が見えてきます。こちらは日の出スポットとしても人気です。
スラ・スラン photo:世界遺産イェーイ!
3. タ・ケウ
photo:世界遺産イェーイ!
「タ・ケウ」といえば、ごつごつとした石がピラミッドのように積み重なった姿が印象的。これには理由がありタ・ケウは王の死によって建造途中で中止になった寺院なのです(諸説あり)。アンコール・ワットの配置に似た5つの塔があるのが特徴で彫刻はほとんどありません。
中央祠堂 急勾配の階段を登るのは大変! photo:世界遺産イェーイ!
タ・ケウは10世紀末頃ジャヤヴァルマン5世によって建設が始まったのですが、彼の死去に伴い未完成のままになってしまいました。タ・プロームやバンテアイ・クデイよりも少し前の時代に造られた寺院です。
photo:世界遺産イェーイ!
緑色砂岩という硬い石で造られたため、彫刻を掘るのが難しかったのではないかという説も。直線的なデザインがモダンアートにも見えてしまう、アンコールではちょっと異色の遺跡です。
4. プノン・バケン
頂上にある主祠堂 photo:世界遺産イェーイ!
アンコール・ワットの美しい夕日が見られるスポットとして知られる「プノン・バケン」も、小回りコースに含まれる遺跡のひとつ。標高60mの丘の上に建てられているため、このあたり一体では見晴らしが良いです。頂上までの階段は急で登るのが大変ですが、20分ほど登るとジャングルの中に浮かんでいるようなアンコール・ワットの姿が望めます。
photo:世界遺産イェーイ!
プノン・バケンは9世紀末、アンコール・トムの原型となったとされる都城「ヤショダラプラ」の中心的寺院。アンコール時代初期のものです。アンコール・トムから車ですぐなので、小回りコースの最後にまわることにして夕日の時間に合わせて訪れるのもおすすめ。プノン・バケンに登るには、入場制限と服装制限(ノンスリーブや半ズボンはNG)があるのでご注意ください。
5. トマノン
小規模なアンコール・ワット様式の寺院 photo:世界遺産イェーイ!
アンコール・トムの東側にある「勝利の門」を抜けると、道を挟んで左手に現れる寺院が「トマノン」です。トマノンは、アンコール・ワットを建設したスールヤヴァルマン2世によって12世紀に建てられたヒンドゥー寺院。20世紀後半に修復されたため、建設当時のままの姿を見ることができます。
優美なデヴァダー像は必見! photo:世界遺産イェーイ!
6. チャウ・サイ・テヴォダ
photo:世界遺産イェーイ!
トマノンから道を挟んだ向かいにある「チャウ・サイ・テヴォダ」。トマノンと同じくアンコール・ワットと同時期にスールヤヴァルマン2世に造られた小さなヒンドゥー寺院です。
整備されている空中参道 photo:世界遺産イェーイ!
チャウ・サイ・テヴォダの必見スポットは、中央祠堂まで続く空中参道。王が天界を歩く様子を再現したとも言われる空中参道は、実際に観光客が歩いて渡ることもできます。
ナーガ(大蛇) photo:世界遺産イェーイ!
内部にはナーガの欄干や、繊細な彫刻が残されています。アンコール・トムからも近いのでトマノンとセットで訪れましょう。
7. プラサット・クラヴァン
外壁はシンプル photo:世界遺産イェーイ!
レンガで造られた5つの祠堂が、東向きで1列に並ぶ「プラサット・クラヴァン」。クメール王朝初期に造られ、ヒンドゥー教のヴィシュヌ神を祀る寺院です。
中央祠堂の内壁 左:8本腕があるヴィシュヌ神 右:神鳥ガルーダに乗るヴィシュヌ神 photo:世界遺産イェーイ!
こちらで見ていただきたいのが、内部に掘られた神々のレリーフ。中央祠堂にはヴィシュヌ神が、一番北側の塔にはヴィシュヌ神の妻ラクシュミーのレリーフが彫られています。
北側の塔 内壁 ラクシュミーの立像 photo:世界遺産イェーイ!
アンコール遺跡と言えばレリーフが見どころのひとつですが、外壁に掘られているものが多く、建物の内部にレリーフが掘られている遺跡は珍しいです。れんが造りの壁面に掘られた神々の姿を堪能して下さい。
以上、小回りコースで訪れたい7つの寺院をご紹介してきました。実際にまわるルートとしては、アンコール・トム → トマノン → チャウ・サイ・テヴォダ → タ・ケウ → タ・プローム → バンテアイ・クディ → プラサット・クラバン → プノン・バケン → アンコール・トムという順番が効率良いです。逆ルートでもOKですし、時間がない場合は興味のあるところにしぼってまわるのも良いでしょう。
それぞれの遺跡の間は車で2分~7分程度。アンコール・トムを起点、終点とするため、小回りコースの前後にアンコール・トムを観光することをおすすめします。
アンコールの遺跡群
登録 | 1992年 |
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登録基準 | 「人間がつくった傑作」、「文化交流」、「文明の証拠」、「建築技術」 |
アクセス | 日本からプノンペンまで直行便で約6時間半。プノンペンからシェムリアップまで飛行機で約1時間 |
(text : 鈴木かの子)
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