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本当は誰にも教えたくない……!

かわいくておいしい! バンコク隠れ家レトロ食堂

著者撮影

ガイドブックやSNSに頼らず、旅先でたまたま見つけた小さな食堂が「当たり!」だった時、自分だけの秘密の場所を見つけたみたいでちょっと幸せな気持ちになりますよね。今回はそんな風に出合い、どこにも書かずに隠れ家的に愛用していた旧市街の小さな食堂2軒を思いきってご紹介します!

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どちらも丁寧に作られたタイ料理がおいしいのはもちろん、バンコクの喧騒を感じさせない静けさや家族経営らしいアットホームな接客、昔ながらのレトロな雰囲気も含め、トータルでとでも気に入っている食堂。まるで数十年前から時が止まっているような空間で静かに食事をしていると、「あぁ、遠くまで来たんだな」と、しみじみと旅情に浸れるのも魅力。

本当は誰にも教えたくない気持ちもありますが(笑)、ひとりでこっそりと楽しむのはもったいないくらいに素敵なのでレトロな食堂が好きな方はぜひ訪ねてみてくださいね!

 

タイ人観光客にも大人気! 築130年越えのタイ版古民家食堂
『バーン ワンナゴーウィット』

ガラスの入っていない木枠の窓もレトロかわいい 著者撮影

民主記念塔のある大通りから、お世辞にも柄がいいとは言えない雰囲気のおじさまたちが集う宝くじ売り場の横を通り抜け、地元の人しか行き来していない細〜い路地に佇む一軒家。家の門にはタイ語の看板があるだけで外からは食堂とはわからないので、外国人観光客がふらりと訪れることはまずなさそう。

一見してかなり古いとわかる木の家は、なんと築130年以上経っているのだとか。靴を脱いで階段を上ると、そこには幾つかの小さな部屋が。あちこちに家族の写真やタイの王族の写真が飾られた部屋からは家族が過ごしてきた時間や歴史の積み重なりが感じられ、まるでタイの友だちの家に遊びに来たようなリラックス感があります。それもそのはず、ここはもともとオーナーファミリーが暮らしていた家で、王族のレシピの流れを汲んでいるというメニューの数々もファミリーが代々日常的に食べていた料理を元に生まれたものだそう。

メニューは全部で10種類ほどと少なめですが、タイ人が昔から日常的に食べていた体に良くて優しい味わいの本格的な家庭料理を楽しめるとあり、実はタイ人に大人気。外国人観光客の姿はほとんど見かけませんが、バンコクの旧市街巡りを楽しむタイ人の団体客は多く訪れます。

カオクルックガピ 90B 著者撮影

ここでぜひ味わってほしいのがこれ。ガピというタイのシュリンプペーストを混ぜたごはんに、豚の甘煮や青いマンゴー、卵焼き、シャロットなどを添えたもので、全体をよく混ぜ、ライムを絞っていただきます。シュリンプペーストの香ばしさに、豚肉の甘さ、青マンゴーの酸味や食感が加わり、さまざまな味わいと食感のハーモニーを楽しめる、タイ料理らしいひと皿。素朴な見た目とは裏腹にお米はふっくらと柔らかく、味わいのバランスも絶妙。シンプルながらも味わい深いカオクルックガピは、またすぐにでも食べたくなるほどの完成度の高さです。

カノムチーン サオナーム 90B著者撮影

ほかではなかなか味わえない料理を試したい方は、ぜひこちらを! カノムチーンというそうめんに似た食感の発酵させた米麺に、濃厚なココナッツミルクやパイナップル、ショウガ、干しエビの粉などをよく混ぜて食べる、タイの定番麺料理のひとつです。意外な組み合わせに思えるかもしれませんが、ショウガの爽やかさやパイナップルとココナッツミルクの甘み、ライムの酸味などの味わいを干しエビの旨みがうまくまとめてくれるので、全体はすっきりとした印象に。ツルッといける軽い食感で、暑さで食欲がない時でもあっさりといただけます。日本のタイ料理店ではなかなか味わえないので、ぜひ現地で試してほしいメニューのひとつです。

ローティー ゲーンキアウワーンムー 著者撮影

日本でもおなじみのグリーンカレーですが、添えてあるのはライスではなくローティーと呼ばれる薄いパイのようなもの。これがサクッと軽やかで、甘みのある濃厚なグリーンカレーとよく合うんです。タイカレーにローティーを合わせるのはタイでは一般的な食べ方のひとつ。焼きたてのローティーは何もつけずに食べたいくらい香ばしくサクサクで、止まらないおいしさです!

この外観を目印に探してみてくださいね 著者撮影

ご紹介したメニュー以外にカオチェーという冷たいお粥のような料理も有名です。ジャスミンの香りのする冷たい水をごはんにかけ、天ぷらと一緒にいただくもので、一般的にはタイ正月の時期に食べる料理ですがこちらでは一年中提供しているので、興味のある方はぜひお試しを! 

看板もメニューもタイ語のみで外国人には少々ハードルの高い店ではありますが、スタッフはみんな親切なのでいつでも温かく迎えてくれるはず。家族の思い出がいっぱい詰まった部屋はどこもレトロかわいくて、インスタ映えもばっちり! ワットポーやワットプラケオからも近いので、寺院周りや旧市街散歩の途中で訪れてみるのもおすすめです。

バーン ワンナゴーウィット

住所 64 Tanao Rd., Bangkok
電話 (+66)81-922-6611
時間 11:00-15:00 ※月休

 

猫とおばあちゃんがお出迎え! 何を食べてもおいしい絶品食堂
『クルア ソムホム』

著者撮影

「こんなにおいしいのに、どうして誰も日本語で紹介してないんだろう」と思いつつ、秘密にしたくて自分もずっと書かずにいたのがここ。旧市街の中でも開発されておらず、古き良きバンコクの面影を色濃く残す地区にひっそりと佇む小さな食堂です。

仲が良さそうな猫とおばあちゃん 著者撮影

小さな店で席がないと困るので、わたしが訪れるのは食事時を外した時間帯。そのせいか、ひっそりとした店内にはいつもおばあちゃんと猫だけで、ゆっくりと時間の流れを忘れてしまうようなひと時を過ごせます。バンコクの小さな食堂は犬や猫が我がもの顔で出入りしていることも多く、こんな光景は日常茶飯事なんです。

カイフー ゲーンガイヘン 70B 著者撮影

ここを訪れたら、絶対に食べてほしいのがこれ! 卵焼きにカレー味のチキン炒めを乗せただけなのですが、これがひと口食べると言葉を失うくらいのおいしさ。外側はさっくりと揚げたような食感ながら、中はフワフワで噛みしめるとジューシィー。そんな卵焼きにすっきりと辛いカレー炒めが本当によく合っていて、まさに絶品! 卵焼きはタイの定番メニューのひとつなのでさまざまな食堂やレストランで食べてきましたが、こんなに感動したのは初めて。近所にあったら毎日でも食べたいくらい、お気に入りの一品です。

クントート ソースマカーム 120B 著者撮影

エビのタマリンドソース炒め。自然な甘みと酸味のあるタマリンドのソースは程よい濃厚さで、サクッと揚げたエビによく絡みます。辛いものが苦手な人でも食べやすく、後を引く味わいです。

ヤムパックブンクロープ 80B 著者撮影

カリカリに揚げた空芯菜のピリ辛和え。空芯菜といえば炒めものが有名ですが、タイではヤムと呼ばれるピリっと辛い和えものにするのも定番の調理方法。タレがかかっているのにも関わらず、サクサク、カリカリとした食感がいつまでも楽しめて止まらないおいしさです。

ゲーンソムクン チャオムカイトート 85B 著者撮影

こちらもこの店の人気メニューのひとつ。甘さと辛さのバランスがいいどろりと濃厚なスープには、エビの旨みもたっぷり。具にはエビのほかに独特の香りと苦味のあるアカシアの新芽入りの卵焼きを加えているので、コクが加わりつつも濃すぎず程よい仕上がりに。食べ進めるごとに好きになる、クセになるひと品です。

地元の人に愛されている素朴な食堂 著者撮影

こんなに完成度の高い料理が数百円で食べられるのは、やはりバンコクならでは。近所には有名な老舗アイスクリーム店などがあるほか、この辺り一帯にはパステルカラーの壁を持つ昔ながらの長屋街が残っているので、レトロなバンコクの雰囲気を楽しみたい人にはピッタリです。観光やショッピングに飽きたら、ゆっくりと静かに流れる時間を感じながら旧市街で食べ歩きや撮り歩きを楽しむのもバンコクでのおすすめの過ごし方のひとつです。

クルア ソムホム

住所 81 Phraeng Phuthon Rd., Bangkok
電話 (+66)2-622-1297
時間 10:30〜21:00 ※土日休

(text & photo : 白石路以)

 

【連載】タイ料理ライターイチオシ! バンコク絶品食堂案内

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