タイ
観光
世界文化遺産3件を時代ごとに紹介!

タイの歴史を世界遺産で追う

ワット・ヤイ・チャイ・モンコン@アユタヤ   photo:世界遺産イェーイ!

微笑みの国タイには、遺跡などの文化遺産が3件、国立公園などの自然遺産が2件、合計5件の世界遺産があります。なかでもタイの文化遺産3件はもちろんどれも歴史的に重要なものばかり。今回はタイの文化遺産を時系列でご紹介していきます。タイの歴史の流れが点ではなく線でつながってくるかと思います。


 

グルグル~の渦巻き模様がキュート!古代の土器を見に行こう
バンチェンの考古遺跡

photo:世界遺産イェーイ!

最初にご紹介するのは、タイの夜明け前、先史時代から古代を代表する世界遺産「バンチェンの考古遺跡」。こちらは、何とハーバード大学の学生が転んだときに地表に出ていた土器を偶然に発見したというミラクルな遺跡なのです!

「ワット・ポー・シー・ナイ」というお寺の境内の中にある発掘現場   photo:世界遺産イェーイ!

その後発掘を進めると「青銅器」や「彩文土器」が発見され、東南アジアの古代文明を伝える貴重な遺跡と位置づけられています。

土器などの出土品が展示されている国立博物館   photo:世界遺産イェーイ!

この付近の集落では、お米を作っていた跡が残されており、世界史上でも早い段階から稲作が行われていたとされています。日本と同じく、お米が主食のタイのルーツがうかがえる遺跡でもあります。

バンチェンの拠点となる街ウドン・ターニーは、タイ東北部イサーン地方の主要都市。ショッピングモールなどの商業施設も多く旅行しやすい街です。バンチェン以外にも先史時代の壁画が残された国立公園など観光スポットもたくさんあります。またソムタム(パパイヤサラダ)などに代表されるピリ辛イサーン料理を味わえるのも魅力のひとつ。ぜひ足を延ばしてみて下さい。

バンチェンの考古遺跡 (文化遺産)
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・登録:1992年
・登録基準:「文明の証拠」
・アクセス
日本からバンコクまで直行便で約6時間。バンコクからウドーン・ターニーまで飛行機で約1時間。ウドン・ターニーからバスで約1時間のバス停からトゥクトゥクで10分ほど。

 

巨大世界遺産で保存状態の良い遺跡を楽しみ尽くす!
スコータイと周辺の歴史地区

奥に見える仏塔はスリランカ様式 ワット・スラシー   photo:世界遺産イェーイ!

土器の時代から時は流れ、5世紀頃から様々な王朝がタイを地方ごとに治めてきました。代表的なものは、メコン川周辺に発展したクメール族のアンコール朝、中部で仏教を厚く信仰したドヴァーラヴァティー国、南部で勢力を伸ばしたシュリーヴィジャヤ国に、北部を治めたハリプンチャイ王国などです。

最も重要な王室寺院 ワット・マハータート   photo:世界遺産イェーイ!

そんな中13世紀前半、クメール族に代わって力をつけてきたタイ族が、初めての統一王朝を建国!都は「幸福の夜明け」を意味する「スコータイ」と名付けられました。そのスコータイ朝の遺跡が、次にご紹介する世界遺産「スコータイと周辺の歴史地区」です!

仏陀の歩く姿を描いた遊行(ゆぎょう)仏   photo:世界遺産イェーイ!

メインとなるスコータイ遺跡公園は、広大な敷地内に城壁があり、城壁内と城壁外に保存状態の良い遺跡がたくさん残されています。城壁内には、スコータイ最大の王室寺院「ワット・マハータート」や、クメール様式の仏塔が特徴の「ワット・シー・サワイ」などがあります。

トウモロコシのような仏塔 ワット・シー・サワイ   photo:世界遺産イェーイ!

城壁外の見所で有名なのは、タイ国内最大級の仏像、アチャナ仏が鎮座しているワット・シー・チュム。

高さ約15mのアチャナ仏! ワット・シー・チュム   photo:世界遺産イェーイ!

世界遺産「スコータイと周辺の歴史地区」に登録されているのは、スコータイ市内だけではありません。郊外にあるシー・サッチャーナライとカンペーン・ペットという二つの都市遺跡も世界遺産なのです。

シー・サッチャーナライにあるワット・プラ・シー・ラタナー・マハータート   photo:ひさほゆう

スコータイからバスで約1時間20分のシー・サッチャーナライは、スコータイ朝時代には、第二の都市として発展した街で、数多くの遺跡が残されています。またシー・サッチャーナライは、日本でも茶道などで重用されている宋胡禄焼(すんころくやき)の発祥の地でもあり、窯跡を見学することもできます。

スコータイの遺跡はれんがで造られた寺院や仏像が多く、また過去に破壊されることも少なかったため、保存状態が良いのが特徴。次にご紹介するアユタヤと比べると観光客がそれほど多くないので、のんびりとした雰囲気の中で遺跡を楽しむことができます。

スコータイ朝は、第3代の王様「ラームカムヘーン王」の時に最盛期を迎えます。ラームカムヘーン王は、タイでも有名な王様の1人で、現在のタイ文字の創始者と言われています。このように文化的にも繁栄を誇ったスコータイ朝ですが、1438年、アユタヤ朝によって滅ぼされてしまいます。

スコータイと周辺の歴史地区 (文化遺産)
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・登録:1991年
・登録基準:「人間がつくった傑作」、「文明の証拠」
・アクセス:バンコクからスコータイまで飛行機で約1時間半

 

バンコクからアクセス良好な世界遺産で遺跡を堪能
アユタヤと周辺の歴史地区


photo:世界遺産イェーイ!

最後にご紹介する世界遺産は、バンコクから車で約1時間のアユタヤです!「平和な都」という意味のアユタヤは、14世紀半ばから400年以上も栄えた王朝。3つの川の合流地点にあったアユタヤは、東南アジア最大の貿易の都として繁栄を誇りました。

ワット・プラ・シー・サンペット 仏塔の先端が尖っているスリランカ様式   photo:世界遺産イェーイ!

アユタヤの歴代の王たちが建設した寺院は見どころ満点!代表的な寺院は、3つの川に囲まれた中州内に集まっています。3人の王が眠るアユタヤ最大の寺院「ワット・プラ・シー・サンペット」や、クメール様式の丸みを帯びた仏塔が美しい寺院「ワット・ラチャブラナ」などは必見です。

ワット・ラチャブラナ   photo:世界遺産イェーイ!

ワット・ロカヤ・スター 涅槃像は全長28m!   photo:世界遺産イェーイ!

また中州の外側も見所満載!座仏像がずらりと並ぶ「ワット・ヤイ・チャイ・モンコン」や、保存状態が良い遺跡「ワット・チャイ・ワッタナーラーム」なども訪れたいところ。

ワット・ヤイ・チャイ・モンコン   photo:世界遺産イェーイ!

ワット・チャイ・ワッタナーラーム   クメール様式の仏塔   photo:世界遺産イェーイ!

15世紀にクメール族のアンコール朝を滅ぼし、その後スコータイ朝を併合、17世紀には、東南アジア最大の貿易港として繁栄し、水の都とも呼ばれたアユタヤですが、終焉の時を迎えます。

1767年、ビルマ軍の侵攻によってアユタヤ朝は滅び、絢爛豪華な寺院は、ビルマ軍によって徹底的に破壊され廃墟となりました。

ワット・プラ・マハタート   photo:世界遺産イェーイ!

アユタヤ朝の人々の信仰の中心であった、ワット・プラ・マハタートの象徴とも言える仏頭。ビルマ軍によって切り落とされた仏像の頭部が、長い年月をかけて菩提樹の木の根に取り込まれてしまいました。アユタヤで必ず訪れたい神秘的なスポットです。破壊され朽ちた遺跡で佇み、華やかな時代に思いを馳せるのもアユタヤならではの過ごし方です。

バンコクから日帰りできるアクセスの良さが魅力のアユタヤですが、最近は川沿いに増えているラグジュアリー・ホテルに泊まるのも人気。夜には、遺跡がライトアップされロマンチックな姿を見せてくれます。

アユタヤと周辺の歴史地区 (文化遺産)
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・登録:1991年
・登録基準:「文明の証拠」
・アクセス:バンコクから車で約1時間

 
アユタヤ朝が滅ぼされた後、短いトンブリー朝を経て、現王朝でもあるラッタナコーシン朝の時代になります。プミポン前国王ご崩御により、昨年ラーマ10世ワチラーロンコーン国王が即位されました。

 

タイ国内の遺跡がバンコクに集結!ムアンボーラン

スコータイのワット・スラシーのミニチュア   photo:世界遺産イェーイ!

タイ国内を旅行する前に、バンコクで行っておきたいのが、ミニチュア版遺跡公園「ムアンボーラン」。タイの「東武ワールドスクエア」とも言われており、タイ全土にある遺跡のレプリカが大集合している公園なのです。

本物さながらの遊行仏   photo:世界遺産イェーイ!

歴史を学べるとあって、タイの修学旅行生にも大人気!とにかく広大なので見所を絞ってまわりましょう。タイ旅行の最後に復習で行ってみるのも良いですね。

 
4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラム
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