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旅の準備期間に読みたい

今こそアンコール遺跡を学ぼう!アンコール遺跡本 5冊


アンコール・ワットの第三回廊 著者撮影

海外旅行に行けない今は、次の旅への準備期間。せっかくなので「アンコール遺跡」について学んでみませんか?
アンコール遺跡群は規模が大きく遺跡の数も多いことから、複雑でわかりにくい印象を持つ方もいるかもしれません。それでも、少し勉強しておくだけで、現地へ行った時の楽しさはぐんとアップ。より充実した観光になることは間違いありません。
数ある遺跡本の中から、ビギナーでも比較的手に取りやすい本をセレクトしました。来たるアンコール遺跡観光に備えて、参考にしてみてください。

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【難易度 ★☆☆】ガイドブックの次はこれ!副読本におすすめの一冊
『アンコールワットへの道 クメール人が築いた世界遺産』


左/最新版は表紙の背景が赤色(写真は旧版) 右/6面を使っている「乳海攪拌」のレリーフ写真 著者撮影

ガイドブックでは物足りないけど、専門書は敷居が高い…という方は、『アンコール・ワットへの道 クメール人が築いた世界遺産』(JTBパブリッシング)はいかがでしょうか?

著者はアンコール遺跡研究の第一人者である、上智大学の石澤良昭教授。アンコール・ワット、アンコール・トムから周辺の小遺跡、アンコール時代の建築、歴史や文化までバランスよく網羅されています。
全体的に写真が多く、グラビアガイドのようなつくり。アンコール・ワット第一回廊の壁面レリーフ写真は、3つ折り綴じ込みで圧巻。特に見開き6面に渡る「乳海攪拌」は必見です。

軽く持ち運べるので、観光に持参してもよさそう。ガイドブックの他にもう一冊……という時に勧めたい、遺跡の総合案内的な本です。

 

【難易度 ★☆☆】わかりやすさNo.1!マンガで学ぶアンコール遺跡
『アンコールワットのサバイバル1、2』


著者撮影 

遺跡ってなんだか難しそう…と尻込みしている方にぴったりなのが『アンコール・ワットのサバイバル1、2』(朝日新聞出版)。楽しみながらアンコール遺跡を学べる、小学生向けの学習マンガです。

ストーリーは、少年ウジュが両親とアンコール遺跡旅行に出かけ、遺跡を巡りながらカンボジアの歴史や文化に触れていく…というもの。一部フィクションも交えたドタバタアドベンチャーですが、内容はかなり本格的です。
遺跡のみならず、プレ・アンコール時代や王朝建国の物語、ヒンドゥー神話の『ラーマーヤナ物語』『乳海攪拌』なども解説。「アンコール遺跡」を多面的・根本的に理解するための要素がしっかりと詰め込まれています。

これから出かける方はもちろんのこと、過去に訪問された方は「おさらい本」として楽しめるでしょう。「あのレリーフにはこんな意味も隠されていたのか!」など、意外な発見があるかもしれません。

  

【難易度 ★★☆】なぜ太陽が後ろから昇るの?アンコール・ワットの謎解きミステリー
『アンコール・ワット 旅の雑学ノート―森と水の神話世界』


著者撮影 

観光の人気コース「アンコール・ワットの朝日鑑賞」。アンコール・ワットは数ある遺跡の中で、唯一、正門が西向きに建てられていて(他は東向き)、春分・秋分の日には、太陽が中央塔の真後ろから昇るように設計されています。一体なぜ、このように造られたのでしょうか?

そんなアンコール・ワットの謎に迫ったのが『アンコール・ワット 旅の雑学ノート―森と水の神話世界』(ダイヤモンド社)です。アンコール・ワットは太陽の動きを計算し、緻密に設計された神殿。創建王・スーリヤヴァルマン2世の「スーリヤ」が太陽を意味することからも、何かしらの意図があったと想像できます。

アンコール・ワットにはたくさんの「仕掛け」がありますが、本書を読み進めると、その奥深さやスケールの大きさが実感できます。
知れば知るほどハマりそうな“アンコール・ワットの謎沼”。とっぷりと堪能してみませんか?

  

【難易度 ★★☆】美しい図版の宝庫!仏領時代のアンコール遺跡クロニクル
『アンコール・ワット 密林に消えた文明を求めて』


著者撮影

19世紀半ば、フランス人探検家のアンリ・ムオによって「発見」されたアンコール・ワット。この「アンコール・ワットの発見」から約100年に渡る、主にフレンチ・コロニアル期のアンコール遺跡とそれにまつわる事象・出来事が記されているのが『アンコール・ワット 密林に消えた文明を求めて』(創元社)です。

著者は1960年代にアンコール遺跡修復に携わった、元フランス極東学院のフランス人研究者。ムオを始めとする、アンコールを訪れた冒険家たちのストーリーやパリ万博に出展したときの様子、フランス極東学院による遺跡保存活動などを年代順に追っていきます。

遺跡の解説本というより、美しい歴史書といった雰囲気。貴重な図版が多用されており、画家による精細なデッサン画やアール・ヌーヴォー調のイベントポスターなど、当時の空気感が伝わってきます。

 

【難易度 ★★★】アンコール地域外の大遺跡に特化した専門書
『カンボジア 密林の五大遺跡』


著者撮影 

「アンコール・ワットはもう行ったし、今度は遠くの遺跡に行ってみようかな」というリピーターは必読の『カンボジア 密林の五大遺跡』(連合出版)。「アンコール地域」外に点在する「五大遺跡」をフィーチャーした専門書です。

紹介するのは、2017年に世界遺産登録されたサンボー・プレイ・クック、巨大ピラミッド寺院のコー・ケー、タイ国境近くのバンテアイ・チュマーなど。いずれも規模は大きいものの観光のメインコースにないため、ガイドブックではさらっと触れるのみに留まっています。
本書では上記3遺跡とベンメリア、大プリア・カンを加えた5つの遺跡を徹底解説。広範囲に及んだアンコール王朝の全体像が垣間見える内容です。

いずれの遺跡も、シェムリアップからの日帰り観光が可能。(大プリア・カンは乾季のみ。)見応えたっぷりの「密林の大遺跡」を、旅の計画に入れてみてはいかがでしょうか?

 
(Photo & Text:矢羽野 晶子)

【連載】シェムリアップてくてく散歩 〜楽しくて、ちょっとディープな街歩き~



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