カンボジア
グルメ
コロニアルな雰囲気を感じながら

街歩き&食べ歩き!シェムリアップでフレンチを楽しもう


photo: 北山 義浩

今から100年前はフランス領であったカンボジア。当時カンボジアは、ベトナム、ラオスも含む「インドシナ連邦」の一端であり、シェムリアップにもフランスからの入植者が多く住んでいました。今も当時の建物や史跡は点在し、街を彩っています。

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今回は、コロニアルの香り漂うシェムリアップの“街歩き”と、本格的なのにお値段控えめ、絶品フランス料理の“食べ歩き”がテーマ。

さあ、フランスを感じに出かけましょう!

 

まずは歴史をおさらい -コロニアル時代を振り返る


プノンペンに残るコロニアル建築   photo:北山 義浩

カンボジアがフランスの保護領に入ったのは1863年。当時、ベトナムの内政干渉に苦しんでいたカンボジアは、その支配から逃れるようにフランスの保護下に入りました。後に正式にフランスの植民地となり、その時代は20世紀の第二次世界大戦後に独立するまで、100年近く続きました。

 

観光都市として開発されたシェムリアップ


1932年創業のグランドホテルと目の前に広がるロイヤルガーデン   photo:北山 義浩

カンボジアにもフランス総督が配置され、プノンペンを中心にフランス風の都市開発が進められました。当時プノンペンは「東洋のパリ」と呼ばれ、それは美しい街並みだったようです。
一方「未開の地」であったシェムリアップですが、19世紀半ばにアンリ・ムオがアンコール・ワットを「再発見」したことから、観光ブームが沸き起こり、遺跡観光の拠点として街開発が進められていきました。

当時、インドシナ連邦内に5軒のホテル建設計画が持ち上がりましたが、そのひとつがシェムリアップのグランドホテル(現ラッフルズ・グランドホテル)でした。当時の流行であるアールデコ調を取り入れた建築に、贅を尽くしたインテリア。ホテルは多くの西欧人ツーリストを受け入れ、あのチャールズ・チャップリンも1936年に訪問したそうです。
ホテルはその後何度もリノベートを重ねながらも、今もシェムリアップの最高級ホテルとして、当時の風情を湛えながら続いています。

 

フランス風の街並みが残る「フレンチ・クォーター」


一階はショップ、2階はレストランのFCCアンコール。奥はホテルとなっている   photo:著者撮影

グランドホテルを中心に、シェムリアップ川に沿って南北に伸びるエリアを「フレンチ・クォーター」とし、開発が進められました。エリア内には、西欧風に造られた広い庭「ロイヤル・ガーデン」、フランス人知事の元邸宅(現FCCアンコール)やシハヌーク前王の別荘(現アマンサラ)などがあり、雑然とした他のエリアとは一線を画す、往年のヨーロッパ的な雰囲気が感じられます。

フレンチ・クォーターは、南はオールドマーケットまで続きます。今はキャッチーなショップや飲食店が集中するシェムリアップいちの繁華街ですが、マーケットを囲む建物は、よく見るとコロニアル建築。賑やかな雰囲気なのにどこか上品さを感じさせるのは、このためかもしれません。


オールドマーケット近くの路地裏に佇むコロニアル建築   photo:北山 義浩

 

カンボジアに来たらフレンチを食すべし!?

さて、街歩きのあとは、いよいよ食べ歩き!
カンボジアには今もフランス人が沢山住んでいます。私はこれまで西洋人=英語圏の人、という印象を持っていましたが、カンボジアに暮らしてからは、出会うヨーロピアンがあまりにフランス人が多いので、身近に感じるようになりました。

在住フランス人が多いということは、食事場所もそれなりにあるということ。実際、フランス人を唸らせる美味しいフランス料理店も少なくありません。日本では身近とは言いづらいフレンチですが、カンボジアではリーズナブルにしかも本格的なものを食べられるので、ぜひトライしていただきたいですね!

では、今シェムリアップでホットな、おすすめフランス料理店3軒をご紹介します!

 

ミシュランシェフが腕を鳴らす絶品料理の数々
アネックス L’Annexe Restaurant


臭みのないフォアグラのソテー(15US$)はパンとの相性バツグン   photo:北山 義浩

北フランス・アルザス地方出身のフランス人夫婦が経営。ご主人は、ミシュランレストランで働いていたこともあるシェフ歴25年大ベテラン。ラムチョップ(21US$)やチキン・コルドンブルー(9US$)などの定番メニューから、アルザス地方の郷土料理で軽いピザのようはタルト・フランベ(8US$~)まで。凄腕から生み出される正統派のフランス料理は、まさに芸術的!一口食べるたびに「おいしい~!」と思わず漏れてしまいます。


チョコレートでストロベリーアイスを包んだ、酸味と甘みが絶妙のデザート(6.5US$)   photo:北山 義浩

シェフはパティシエでもあり、デザートもすべて彼のオリジナル。ライトアップされたチャーミングなお庭でいただくおいしいお料理&デザート…この上なく幸せで贅沢なひとときです。


全席オープンエアで気取らない雰囲気。在住フランス人も多く訪れる。   photo:北山 義浩


L’Annexe Restaurant
住所:Sok San Rd., Siem Reap
電話:(855)95 839 745
営業:11:00~22:30
URL:www.annexesiemreap.com

 

10年以上続く老舗のガーデンレストラン
アバカス Abacus


ジューシーな肉汁が口の中に広がる子牛フィレのソテー(24US$)   photo:著者撮影

2004年より営業している、老舗のフランス料理店。大切なお客様が来たとき、ちょっと贅沢な女子会をしようとなったとき、必ず候補にあがるお店です。建物は受賞歴のある建築家によるデザインで、エレガントで上品。緑いっぱいのガーデン席も気持ちよく、その時の天候や気分で中か外かチョイスできます。


その日のおすすめは黒板に掲示する“フレンチスタイル”   photo:著者撮影

お料理は見た目も美しく、舌も胃袋もとびきり満足。メイン料理も鴨のコンフィ(13US$)やサーモンステーキ(17US$) などとリーズナブルで、お財布に優しいのも嬉しいですね。


Abacus
住所:National Rd.6, Siem Reap
電話:(855)63 763 660
営業:11:00~22:00
URL:jp.cafeabacus.com

 

口コミで連日満席の、小さなカジュアルフレンチ
マンゴー・クイジーン Mango Cuisine


こぢんまりとした店内   photo: Mango Cuisine

1年半前にオープンしたばかりの小さなフレンチレストラン。ソクサン通りという、バックパッカーや若者に人気の「飲み屋通り」の奥の方にあります。少しわかりづらい場所にありますが、口コミで徐々に知られるようになり、今や連日満席の人気ぶり!コスパ、味、フレンドリーなサービスが人気の秘訣のようです。


トリップアドバイザーではシェムリアップのレストラン部門で1位を獲得(2017年9月現在)   photo: Mango Cuisine

前菜からデザートまでついた2つのコース(19US$と28US$)が人気で、単品でもメイン1品が16US$までという値段設定も魅力。カジュアルにフレンチを楽しみたい人に最適です。


Mango Cuisine
住所:Sok San Rd., Siem Reap
電話:(855)85 878 757
営業:18:30~23:00
URL:mango-cuisine.com

 
(text: 矢羽野 晶子)

 
シェムリアップてくてく散歩
〜楽しくて、ちょっとディープな街歩き
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