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旅行地に出発するその前に観ておきたい映画たち。今回の「旅予習MOVIE」では、カンボジアから生まれたストーリーの数々を紹介します。
この国を知る上で避けては通れない内戦やクメール・ルージュの歴史、戦争が遺した負の遺産について。数多くの映像作品ではその真実が伝えられる一方で、不変に刻み込まれるのは太古の遺跡や自然の美。人々を惹きつけてやまない、この土地の風景とストーリーをこちらの作品の中から知るのはどうだろう?
1.『おばあちゃんが伝えたかったこと カンボジア・トゥノル・ロ村の物語』(2011年)
カンボジアへ行くなら、知っておかなければならない歴史がある。200万人もの犠牲者を出したと言われるポル・ポト政権(1975~79年)が崩壊してから今年で35年目。クメール・ルージュ支配下の壮絶な時代を生き延びた人々が自ら制作に参加し、自身の記憶と対面していく姿を収めた本作がこの夏、渋谷・ユーロスペースにて限定公開される。
あの時代に、カンボジアで本当に何が起きていたのか? 様々な土地でフィールドワークをしてきたローマ出身のエラ・プリーセ監督らが、処刑地“キリング・フィールド”近くのトゥノル・ロ村へカメラや機材を持ち込み敢行したワークショップ。そこで、若者たちに伝えられた言葉とは——。
同作に先駆けて現在公開中の『消えた画 クメール・ルージュの真実』もまた、過酷な時代を生き延びたカンボジア人監督リティ・パニュが初めて自らの記憶を辿る作品。カンボジアの歴史の1ページを、ぜひ映画で学ぼう。
2014年8月2日(土)よりユーロスペースにて1週間限定公開
http://thnollok.jp
2.『僕たちは世界を変えることはできない。』(2011年)
カンボジアに小学校を建てるために学生サークルを立ち上げ、チャリティに奔走した葉田甲太氏がその体験談を著した原作の映画化。ありきたりの毎日に悶々とする中で、とあるきっかけでカンボジアへの支援を志すようになった彼らが、実際に現地へスタディツアーに訪れた先で見て、感じたものとは――?
実際にカンボジアで撮影を行った本作には、観光地としても人気の高いシェムリアップや首都プノンペンの街の様子が映し出されており、朝から夜まで続く街の活気が伝わってくる。「子供が3人も4人もバイクに乗って疾走する街」という主人公・甲太の表現も印象的。そして、彼らが訪れるのがかつて政治犯の収容所であったトゥール・スレン虐殺犯罪博物館。地元の学生たちも多く訪れる場所だ。プノンペンを訪れたなら、貴重な資料が残るこの場所に足を運んでみては?
【登場スポット】
アンコールワット、シェムリアップ州立病院、トゥール・スレン虐殺犯罪博物館など
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トゥール・スレン虐殺犯罪博物館(Tuol Sleng Genocide Museum)
Corner of Street 113 and Street 350
営業時間:8:00~17:00 ※年中無休
料金:$3
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DVD『僕たちは世界を変えることはできない。But, we wanna build a school in Cambodia.』
価格:¥3,800+税
Blu-ray『僕たちは世界を変えることはできない。But, we wanna build a school in Cambodia.』
価格:¥4,800+税
発売元・販売元:キングレコード
©2011「僕たち」フィルムパートナーズ
3.『トゥー・ブラザーズ』(2004年)
フランス統治下のカンボジア。アンコールのジャングル奥地の寺院跡に誕生した2匹のトラの兄弟の絆の物語を中心に、美しい自然と遺跡に囲まれた未開拓の地をめぐる当時の人間模様を描いた感動作。最初こそ大金になる遺跡物の発掘や野生動物の猟に野心を向ける一人の若きハンターだが、この地に生きるものに触れ、彼の心に変化が芽生えていく。
神秘的な魅力が宿る自然が見どころの一つでもある本作だが、撮影地の一つである山地プノンクーレンは、当時まだアクセスのルートも少なく地雷の撤去が必要な場所で、準備だけで2か月を要したという。また、劇中には王子一行が象に乗って猟を楽しむシーンがあるが、この象たちもはるばるシェムリアップから50キロの道のりを歩いて連れてこられたというから驚きだが、アンコール発祥の地と言われるこの土地へのこだわりが感じられる。
また、トラ親子の感動シーンが撮影された、シェムリアップの源流クバールスピアンの透き通るような景色も印象的。この川底や川辺にはヒンドゥー教の神々などの彫刻が無数に施されており、プノンクーレンと合わせての観光で訪れる人も多いという。シェムリアップからは片道約70分、さらに約40分の登山が必要と、少しハードな道のりではあるが、カンボジアの大自然を楽しみたい方はぜひ。
【登場スポット】
プノンクーレン、クバールスピアン、アンコール遺跡など
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プノンクーレン
http://www.tourismcambodia.com/attractions/angkor/phnom-kulen.htm
クバールスピアン
http://www.tourismcambodia.com/attractions/angkor/kbal-spean.htm
※ベストシーズンは6月~12月、15時以降は入山禁止。
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DVD『トゥー・ブラザーズ スタンダード・エディション』
発売元:株式会社KADOKAWA 角川書店
販売元:東宝
価格:¥3,800+税
4.『トゥームレイダー』(2001年)
カンボジア+ハンターときたら、このアクション大作もよく知られる作品。アンジェリーナ・ジョリー扮するトレジャー・ハンター、ララ・クロフトがミステリアスなアンコール遺跡を舞台に見せる爽快なアクションを憶えている方は多いのではないだろうか?
ここに登場するのが、クメール時代最大の都城があったとされるアンコールトムと、遺跡に根を張り巡らすガジュマルの巨木が象徴的なタ・プローム。古の人間と自然が織りなす迷宮のような美しさは、万国共通で人々を魅了した。主人公を演じたアンジェリーナ自身もその一人。映画の撮影で初めてカンボジアを訪れた彼女は、これがきっかけで人道支援や環境保護活動を行うようになり、カンボジア孤児院から養子を迎えたことは有名である。
【登場スポット】
アンコール・トム、タ・プロームなど
DVD『トゥームレイダー スタンダード・エディション』
発売元:東宝東和
販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
価格:¥2,381+税
©TOHO-TOWA
5.『地雷を踏んだらサヨウナラ』(1999年)
1972年、内戦の激化するカンボジア。銃撃の飛び交うなか、機関銃の代わりにカメラを抱えてシャッターを押し続ける男がいた。25歳のフリー・ジャーナリスト、一ノ瀬泰造である。
ロバート・キャパや沢田教一に憧れて戦場カメラマンを志し、自らの生きる道を追い求めに戦火の広がるインドシナ半島を駆け巡った伝説のカメラマンの生き様を追った名作。その命を投げ打ってでも彼がフィルムに収めることに執着したのは、解放軍の“聖域”であったアンコールワット。いまや世界中の人が参拝に訪れる世界遺産には、長きにわたる歴史の中で様々な思いが込められている。ちなみに、8月17日には、この世界遺産を眺めながら走るチャリティ・マラソン大会も初めて開催されるとのこと。旅の新たなチャレンジを探している方には、ぴったりの機会かもしれない。
【登場スポット】
アンコールワットなど
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第1回アンコールエンパイア・フル&ハーフマラソン
開催日:2014年8月17日(日)
http://angkorempiremarathon.jp/
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DVD『地雷を踏んだらサヨウナラ』
発売元:ショウゲート
販売元:アミューズソフトエンタテインメント
価格:3,129円(税込)
©TEAM OKUYAMA 1999
カンボジアの美しい景色を切り取った映画では、他にはマット・ディロン主演の『シティ・オブ・ゴースト』(2002年)などもある。プノンペンの喧騒や巨大仏像が立つ古都・ウドン、フランス統治下の上流階級のリゾート地として栄えたボコール丘など、本作にもカンボジアの様々な顔が垣間見れる。あなたのまだ知らないカンボジアを映画から学んでみるのはいかが?
(text: Izumi Kakeya)
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