東南アジア
カルチャー
私たちに求められる

「世界遺産への責任と義務」

旅の目的のひとつに、「世界遺産を見に行こう!」と考える人は多いのではないでしょうか。東南アジアにも特徴的な世界遺産の数々があります。せっかく旅に出るなら正しい「世界遺産の見方」も知っておきたいもの。NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員の目黒氏は世界遺産の「個性」に注目してほしいと言います。

本文を読む

 
02v-19-38
©ASEAN-Japan Centre 古都ホイアン(ベトナム)
 

大切なのはそれぞれの世界遺産が持つ「個性」

「世界遺産には『ナンバーワン』ではなく『オンリーワン』の価値が必要です。オンリーワンの価値はその世界遺産の『個性』になります。『個性』を知るには、世界遺産の『登録基準』を見るとわかりやすいでしょう。」

7-2
photo:yoko honda アユタヤ遺跡(タイ)

 

世界遺産は10項目の登録基準によって定められていて、例えば自然遺産の登録基準は「地球の歴史」「自然の景観美」「固有の生態系」などの項目があります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
©ASEAN-Japan Centre コモド国立公園のコモド大トカゲ(インドネシア)
 
「気になる世界遺産がどんな基準によって登録されたのかを前もって知っていれば『綺麗な景色を観に来たのに想像していたのと違った…』なんていうこともなくなりますよね。また『個性』がわかれば、現地に行った際に世界遺産を壊すようなこともなくなるでしょう。是非これからは、『登録基準』で世界遺産を見てほしいですね」

 

「危機遺産」と私たちがやるべきこと

世界遺産に登録されたものの、なんらかの理由で「個性」が壊れてしまった遺産があるのも現状です。そんな世界遺産を「危機遺産」と言います。
 
02p-13-79
©ASEAN-Japan Centre コルディリェーラ山脈の棚田(フィリピン)
 
危機遺産の原因のほとんどは「人間の行い」。内戦や観光開発、都市開発、密漁などがその原因です。人間の勝手な行動が、せっかく登録された世界遺産を危機遺産に変えてしまっているのです。
 

「日本でも富士山や富岡製紙場が世界遺産登録され盛り上がっていますが、その一方で『これから世界遺産を保全するための大きな責任と義務が、日本国民に生じた“スタート”』であるということを忘れてはいけません。世界遺産の本来の意味、向き合い方を知り、みんなで世界遺産を守っていかなければなりません」

 

※東南アジアの危機遺産はコルディリェーラ山脈の棚田(フィリピン)とスマトラの熱帯雨林遺跡(インドネシア)の2つ(2014年12月現在)

 

(text:Tomomi Kimura)

 

PROFILE
目黒正武 MEGUROMasatake

NPO法人 世界遺産アカデミー主任研究員。明治大学商学部卒。旅行会社に就職後、国内外多数の世界遺産で現地経験を積む。2005年より現職。青山学院大学・文化学園大学・八洲学園大学非常勤講師。メディア出演:TBS『みのもんたの朝ズバッ!』、テレビ朝日『そうだったのか!学べるニュース』、フジテレビ『知りたがり!』、フジテレビ『アゲるテレビ』等で世界遺産について解説。

DSC_9640

 

こちらも合わせてCheck!
私たちが知らない。世界遺産の登録基準とは
私たちが知らない。世界遺産の本当の目的
私たちが知らない。世界遺産を知れば東南アジアが分かる

 

何をむ?

国名・都市名、ジャンルを選ぶと、読みたい記事を絞りこみできます