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世界遺産を深く知るために

私たちが知らない。世界遺産の登録基準とは

写真提供:日本アセアンセンター

世界遺産を深く知るなら「登録基準」で見よう

世界遺産を訪れるということは、ときに旅をドラマチックなものにしてくれます。到着するまでのドキドキ感、いざ目の当たりにした時の充実感、そしてそこに流れる空気を肌で感じてしみじみとその遺産に思い巡らす・・・ しかし、そんな感動も束の間、気がついたら写真を撮ることに必死になって、写真を撮ることがメインになっている・・・そんな経験はありませんか?

思い出を写真に残すことも大切ですが、せっかく訪れたなら時空を超えて遺産を旅してみませんか。そのために、その土地や歴史、建物のことを事前に学んでおくのも旅の重要なウォーミングアップ。今回は、そのスターターとも言うべく世界遺産の基本情報をお届けします。

 

世界遺産には、3つの分類がある

一口に世界遺産と言っても、その種類は3つに分かれます。

 

1.文化遺産

人類が生み出した素晴らしい建造物や遺跡、また自然環境に順応しながら人類がつくり上げた文化的景観など。


チョン・ファッ・ツェ・マンション 写真提供:ペナン州観光局

上段のグエン朝の王宮(ベトナム、フエの歴史的建造物群)もそれに当たります。

 

2.自然遺産

地球の歴史や動植物の進化を伝える自然環境や景観などを指します。


ハロン湾 写真提供:日本アセアンセンター

 

3.複合遺産

文化遺産と自然遺産、両方の価値を有しているものになります。

チャン・アンの景観美関連遺産群(ベトナム北部)

 

世界遺産を証明する10項目の登録基準

誰が見ても同じように素晴らしいと感じる価値である「顕著な普遍的価値」を有している世界遺産ですが、これを証明するものとして「10項目の登録基準」が定められています。世界遺産に登録されるには、最低でもこの基準の1つ以上にあてはまることが条件となります。

訪れる世界遺産が、どの分類に属していて、登録基準は10項目の内、どの項目に当てはまっているものなのか?を事前に知っておくことが、あなたを旅通にさせてくれるでしょう。

「顕著な普遍的価値」を証明する10の登録基準

登録基準① : 「人間がつくった傑作」

人間がつくり上げた素晴らしい傑作である遺産に認められる。

登録基準② : 「文化交流」

さまざまな国や地域の間で文化交流が行われてきたことを示す遺産に認められる。交易路や文化・文明の接する場所などにある遺産など

登録基準③ : 「文明の証拠」

文明や特徴的な時代が存在していたことを証明する遺産に認められる。

登録基準④ : 「建築・科学技術」

建築技術や科学技術の発展を伝える遺産に認められる。

登録基準⑤ : 「伝統的集落」

それぞれの文化や気候風土に合った伝統的集落が残っている遺産に認められる。

登録基準⑥ : 「出来事や宗教、芸術」

歴史上の重要な出来事や宗教、芸術などと関係する遺産に認められる。

登録基準⑦ : 「自然の景観美」

美しい自然景観や独特な自然現象が見られる遺産に認められる。

登録基準⑧ : 「地球の歴史」

地球の歴史を伝える遺産に認められる。

登録基準⑨ : 「固有の生態系」

それぞれの環境に合った動植物の進化の過程や固有の生態系を示す遺産に認められる。ガラパゴス諸島など。

登録基準⑩ : 「絶滅危惧種」

絶滅危惧種が生息する地域や生物多様性を示す遺産に認められる。

(参考文献:『『はじめて学ぶ世界遺産50世界遺産検定4級公式テキスト』より)

 

「世界遺産を決める」世界遺産委員会

世界遺産リストに記載する遺産は、一年に一度開催される「世界遺産委員会」で審議され、決定します。
21ヵ国からなる世界遺産委員会は、専門機関の事前審査をもとに、各国から推薦された遺産について話し合い、「① 登録」「② 情報照会」「③ 登録延期」「④ 不登録」の4つのいずれかの決定をします。①の場合、無事に世界遺産登録となります。②と③の場合、翌年以降に再挑戦となりますが、④の場合は、世界遺産になることはできません。

 



初回投稿日:2015年2月13日
情報更新日:2020年7月29日(情報追加更新)

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