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【旅予習MOVIE】アジアの最新映画が集結!東京国際映画祭の楽しみ方

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秋の色も深まり、芸術鑑賞に耽るのにぴったりな時機が到来! アジア最大級の国際映画祭「東京国際映画祭(TIFF)」の季節がやってきた。国内外から厳選された作品を上映し、毎年新たな試みをもって映画ファンを楽しませてくれる本映画祭。27回目を迎える今年は、日本も含めたアジア映画の豊富なラインナップが注目されている。その見どころの一部をTRIPPING!視点で紹介します。

 

①いま熱い!バラエティ豊富なタイ映画

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(左上から時計回りに)『タイムライン』、『先生の日記』、『36のシーン』、『タン・ウォン~願掛けのダンス』

今年のTIFFの目玉の一つとして注目されるのが、新部門「CROSSCUT ASIA」。この部門では、独立行政法人国際交流基金との協力で、2020年までの7年間にわたって、毎年1つのテーマに焦点を当ててアジアのいまを切り取る映画が紹介されていく。第1回となる今年のテーマは「魅惑のタイ映画特集」。めざましい進化を遂げるタイのいまが楽しめる作品8本が揃った。

 

バラエティに富んだラインナップの中でも目立つのは、青春&ラブストーリー系。会ったことのない女性に思いを募らせる青年教師を主人公にした『先生の日記』や、佐賀の唐津くんちでも撮影が行われた『タイムライン』など甘酸っぱい恋愛模様を描いたものから、タイ伝統舞踊のコンテストに挑む高校生たちを描いた『タン・ウォン~願掛けのダンス』のようなコミカルな作品、男女の恋をワンシーン・ワンショットの36の場面で綴る『36のシーン』など斬新なセンスが光るものまで、様々なテイストを楽しむことができる。

 

他にもタイの農村を映したドキュメンタリーや、若手監督によるオムニバス・ホラーなど、ジャンルは多岐にわたる。劇場ではなかなか観られない、タイ映画の魅力にとことん浸ってみよう。

 

②東南アジアの新鋭をチェック!

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『雲のかなた』

アジアの新鋭クリエイターの作品を世界へ発信するべく、昨年、第2のコンペティションとして新設された「アジアの未来」部門には、今年は10本の映画がラインナップ。ニューウェーブが台頭してきているフィリピンからは、弱冠27歳の監督ペペ・ジョクノによる喪失と希望の物語『雲のかなた』が出品されている。デビュー作『Clash』でヴェネチア映画祭新人監督賞を受賞し、一躍注目を集めた新鋭が、自らの体験を基に描いた旅のストーリーとは?

 

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(左から)『あの頃のように』、『ノヴァ~UFOを探して』

シンガポールからは、幼なじみの男女の出会いと別れを3パートに分けて描いた『あの頃のように』、マレーシアからは、少年時代の仲間たちがUFOを探すために旅に出る青春ロードムービー『ノヴァ~UFOを探して』が登場。若手監督ならではの型破りな勢いと青春スピリッツを感じさせる二本だ。マレーシア映画と言えば、映画祭の主要部門であるコンペティションに同国から初めてノミネートされた『破裂するドリアンの河の記憶』(最上写真/左上)も注目したい一作。タイトルも相当インパクトが大きいが、高校生たちの視点で、等身大の恋愛物語だけでなく社会問題に切り込んでいくスタイルが印象的だ。

 

③女性たちの生きざまを感じる新世代ムービー

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(左から)『太陽を失って』、『遺されたフィルム』

同じく「アジアの未来」部門の出品作の中から、等身大の女性たちの生きざまをフィルムに収めた作品をご紹介。一本目は、インドネシア新世代を牽引する一人、ラッキー・クスワンディ監督の長編2作目『太陽を失って』。初めてのドキュメンタリー作品『At Stake』(ベルリン国際映画祭出品)で性の不平等と葛藤する女性たちの姿を捉えた監督。今回は、経済の急成長で大都会となった首都ジャカルタを舞台に、同性愛のテーマも盛り込みながら、3人のアラサー女性たちの恋愛や葛藤を見つめていく。

 

同作のように、東南アジアでは急速な変貌を遂げていく社会を背景にした映画が少なくない。その中で、過去に葬られた芸術の再生が着目されているのが、カンボジア映画である。学問や芸術、宗教が一切禁じられたポル・ポト時代の記録映像を手がかりにして、当時の記憶をたどった『消えた画 クメール・ルージュの真実』が今年、日本でも公開となり話題となったが、それに続くのが今回上映される『遺されたフィルム』。本作が監督デビュー作となる女性監督ソト・クォーリーカーは、クメール・ルージュにより幼くして亡くした父親へのオマージュとして、本作を制作。カンボジア映画の再生を試みるヒロインの挑戦を繊細なタッチで描いている。

 

④70’sビルマ音楽映画がお目見え

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『柔らかいステップ』

ワールドプレミアの作品が並ぶ中、デジタル復元により蘇ったヴィンテージ作品の上映も見逃せない。70年代のビルマ(現ミャンマー)で製作された音楽映画『柔らかいステップ』がその一つ。地方を巡回する伝統音楽の楽団のドラマーと、映画女優としてスターダムを駆け上っていく美しいダンサー。二人の男女の恋の顛末が、ビルマの伝統音楽に乗せてロマンティックに描かれる。かつては盛んだったビルマの映画もまた、長年の軍事政権のもとで厳しく制限されていた背景があり、その映画史は不明な部分が多いそうだが、その中で今年のベルリン映画祭でデジタル復元された本作は貴重な一作。白黒の映像から、ビルマ映画の黄金時代に思いを馳せてみるのもいいかもしれない。

 

⑤日本×東南アジアにもご注目

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『紙の月』

最近では、日本人俳優が海外映画に出演したり、日本映画でも海外を舞台にすることは珍しくなくなってきたが、本映画祭でも国境という垣根を越えた作品がいくつかある。

 

その一本目は、コンペティション部門で唯一の日本映画となった『紙の月』。角田光代の同名小説を吉田大八監督、宮沢りえ主演で映画化。不倫相手のために巨額の横領事件を起こした平凡な主婦が、逃亡先として選ぶのがタイ・バンコクということで、撮影も現地で敢行。折しも反政府デモ騒乱の真っ只中での撮影となったが、そんな緊迫感の中で撮ったリアルな空気感がきっと伝わってくるはず。

 

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(左から)『壊れた心』、『ザ・レイド GOKUDO』

二本目は、フィリピンの新鋭監督とワールドワイドに活躍する俳優・浅野忠信がタッグを組んだ『壊れた心』。映像作家としてだけでなく、詩人、ミュージシャンとマルチな才能を発揮するケヴィン監督だが、本作ではフィリピンのスラム街を舞台に、殺し屋の男と娼婦の逃避行を目まぐるしい映像とパンクオペラ的な音楽でもって表現している。撮影はウォン・カーウァイ作品などで独特の世界観を見せてきたクリストファー・ドイルとあって、カオスに満ちたフィリピンの街をどう映しているのか、こちらも楽しみ。

 

そして最後は、インドネシア発のクライム・アクション『ザ・レイド GOKUDO』。シリーズ前作『ザ・レイド』に続いて、潜入捜査官と犯罪集団の壮絶なバトルが繰り広げられるが、その戦いの相手となるヤクザとして、松田龍平、遠藤憲一、北村一輝が参戦。前作よりスケールアップしたアクションが期待できそう。

 

アジア各国から集まった多彩な映画を楽しめる、またとないチャンス。芸術の秋、今年はぜひ映画からアジアへの旅をしてみませんか?

 

第27回東京国際映画祭

期間:10月23日(木)~31日(金)

会場:六本木ヒルズ、TOHOシネマズ 日本橋、歌舞伎座

公式HP:http://www.tiff-jp.net

 

(text:Izumi Kakeya)

 
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