タイ
カルチャー
熱帯写真家フォトエッセイ

夜の街、バンコクパッポン通りが眠るとき

露店が撤去されがらんとしたパッポン通り   著者撮影

バンコクのパッポン通りといえば、言わずと知れたバンコクの歓楽街。


 
全盛期には細い路地の両側にゴーゴーバーが軒を連ね、中には怪しい店もあったが、今ではかなり健全化され、通りの真ん中には露店が並びナイトマーケットとなっている。

通りをあるけばここそこから客引きの声がかかる   著者撮影

露店の売り子は、行き交う日本人に「シャチョサン(社長さん)」と声を掛けてきたりする。露店の商品は買う価値があるかと言えば微妙だが、売り子とのやりとりを楽しむのも良いだろう。ゴーゴーバーの数は昔に比べて減ったとはいえナイトエンターテイメントは健在だ。

ネオンも消えひっそりと静まりかえったバー   著者撮影

そんな賑やかな通りも深夜1時を過ぎた頃から露店の撤収が始まり、深夜2時を過ぎるとバーのネオンも消え始める。店内の明かりが灯り、1日の売り上げを計算しているママさん。店内では近くの露店で夜食を買ってきて食べているスタッフもいる。迎えに来た彼氏のバイクの後ろに乗り帰って行く女性もいれば、泥酔して路上に座り込み、同僚たちに介抱されている女性もいる。西洋人たちが奇声をあげ、もう乗れんばかりとトゥクトゥクに乗り込み去って行く。パッポンの夜はこうして更けてゆく。

合理的に片づけられてゆく露店   著者撮影

通りを埋め尽くしていた露店もすっかり撤去されがらんとしたパッポン通り。ゴーゴーバーから流れる大音響のダンスミュージックはもう無い。さっきまでの熱狂はどこに消えてしまったのかとおもうほど静かだ。そんな通りの一角でフォークリフトが慌ただしく動いている。蒸し暑い深夜のパッポンにフォークリフトのエンジン音が響く。撤去した露店は通りの一角にある倉庫に片付けられるのだ。朝4時近くには片付けも終わり、この通りで働く人たちは家路へと向かう。

閉店間近になると移動販売がやってきて、働く者の胃袋を満たす   著者撮影

 
(text & photo : 中島貴義)

 
熱帯写真家フォトエッセイ「アジアの街角から」
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