photo : Kohei Nishiyama
タイが好きで何度も訪れているリピーターの中でも、“タイ料理”に目がない人に今、断然おすすめしたいのが、食をテーマにタイの地方を巡る旅。
日本と同じく地方によって郷土料理が存在し、多種多様な食文化が育まれているタイ。その土地ならではの食材が使われていることはもちろん、隣国の影響を受けた郷土料理も多く、定番料理とはまた違った魅力をもつタイ料理に出合えるはず。
そこで「タイの地方都市を巡る美食の旅」を大特集! 第一弾は、メコン川流域の北イサーン4県を巡る旅をフィーチャー。おすすめのレストラン&食堂も一挙ご紹介する!
メコン川沿いの4県を巡る
今回ご紹介するのは、イサーン(東北)地方の中でも、メコン川を挟んでラオスと隣接するルーイ県、ノーンカーイ県、ブンカーン県、ウドーンターニー県の4県。
photo : Kohei Nishiyama
そもそもイサーン地方で食されるのはイサーン料理と言われる郷土料理で、唐辛子の辛味が強い料理が多く、野菜やハーブがたっぷり盛りつけられるのも特徴。主食は蒸したもち米(カオニャオ)で、代表的な料理はガイヤーン(炭火焼き鶏)、ソムタム(青パパイヤのサラダ)、ラープ(肉や魚をハーブで和えたサラダ)、発酵した米を用いたサイクローク・イサーン(イサーン・ソーセージ)などがある。
1県目:ルーイ県
ルーイ県ならではのイサーン料理を食べる
チェンカーン・ウォーキング・ストリートのカオクリアップワーウ屋台 photo : Kohei Nishiyama
北イサーン・グルメトリップのスタートはルーイ県から。「ピーターコーン祭り」で知られるルーイ県は山岳地帯に位置する風光明媚な場所。グルメトリップで目指すは、メコン川を挟んで対岸にラオスの国土が広がる小さな町、チェンカーン。ルーイ県では特にラオスの影響を受けた料理を食べることができるが、ことチェンカーンにおいては、ラオスの古都・ルアンパバーンの影響を受けた料理を味わうことができるのが面白い。
ラオス・ルアンパバーンの影響を受けた料理を楽しむ
photo : Kohei Nishiyama
ルアンパバーンの影響を受けた料理を味わうなら、チェンカーンの目抜き通りであるウォーキング・ストリートに位置するレストラン「フアン・ルアンパバーン」へ。
発酵魚のフライ photo : Kohei Nishiyama
ナムプリック・ルアンパバーン photo : Kohei Nishiyama
必食メニューは、イサーンとルアンパバーンの料理が融合された逸品「発酵魚のフライ」。メコン川で獲れた魚を発酵させたものを揚げた料理だ。ルアンパバーン・チリペーストに茹で野菜や豚の皮を揚げたものをつけて頂く「ナムプリック・ルアンパバーン」も前菜にぜひ。さらに、お店オリジナルの「豚足と豆の煮込み」も忘れずにオーダーしたい。イサーン料理の定番、ラープムー(豚肉とハーブのサラダ)は、豚肉の旨味と爽やかなハーブの香りや唐辛子の辛味、ライムの酸味が合わさりカオニャオ(もち米)との相性抜群だ。店の奥はメコン川を望む特等席で、特に2階がおすすめ。
■Huen Luang Prabang(フアン・ルアンパバーン)
http://www.heonluangprabang.com/index-Eng.html
photo : Kohei Nishiyama
photo : Kohei Nishiyama
ちなみに、ウォーキング・ストリートは夕方頃からローカルフードや伝統菓子を出す屋台が軒を連ねる食べ歩きが楽しい通り。のんびり散策してみて。
朝食で食べる!イサーンスタイルのクイッティアオ
カーオ・プン・ナム・チェオ 40THB(約140円) photo : Kohei Nishiyama
チェンカーンで朝食に訪れたいのが、地元の人で連日賑わいをみせるクイッティアオ食堂「ラーン・バー・ブア・ワーン」。ここではイサーン地方特有のクイッティアオであるカーオ・プン・ナム・チェオを味わうことができる。カーオ・プン・ナム・チェオは、豚骨ベースのスープに、豚の内臓や野菜、ハーブがたっぷり入った麺料理で、麺はもち米粉と米粉をブレンドしている。スープは、プレーンなスープに加えて、ナムトック(豚の血入りスープ)も。タイ料理上級者はチャレンジしてみるのも一興。
photo : Kohei Nishiyama
photo : Kohei Nishiyama
■Ran Pa Bua Wan(ラーン・バー・ブア・ワーン)
https://goo.gl/maps/8LqYsxBFm2icArVU9
オリジナルレシピが豊富! 空港近くの人気レストランにも注目
トーンムーヤーン photo : Kohei Nishiyama
ルーイ空港を利用するなら立ち寄りたいのが、イサーンの伝統料理に加えて、タイ全土の料理が味わうことができる、地元で評判のレストラン「バーン・ター・ペー」。必ずオーダーしたいのがルーイ県の郷土料理、トーンムーヤーン(豚グリルと野菜の炒めもの)。ルーイ県では、祝いごとなどに大きな豚の塊を焼いて食べる風習があるが、食べきれなかった豚のグリルを野菜やハーブと一緒に炒めて食べていたのがトーンムーヤーンのオリジナル。「バーン・ター・ペー」では、ガピ(エビの発酵調味料)を入れることで、コクを増している。
バナナのつぼみのサラダ photo : Kohei Nishiyama
photo : Kohei Nishiyama
その他にも、ミャンカム風サラダや、バナナのつぼみのサラダなどオリジナルレシピの料理もおすすめ。
■Baan Tha Pae(バーン・ター・ペー)
https://www.facebook.com/BanThaPaeCafe/
チェンカーンで泊まりたいホテル
photo : Kohei Nishiyama
photo : Kohei Nishiyama
チェンカーンに滞在するなら、チェンカーン・ウォーキング・ストリート沿いに並ぶゲストハウスが人気だが、メコン川の雄大な景観をとことん満喫したい人におすすめなのが「チェンクロン リバーサイド リゾート(Chiang Klong Riverside Resort)
」。14室ある客室は全室リバービューのヴィラタイプ。川岸まで降りれば、メコン川流域ならではの赤く燃えるような夕日も眺めることができる。尚、チェンカーン・ウォーキング・ストリートから車で約10分とアクセスも良好。
■チェンクロン リバーサイド リゾート
https://www.facebook.com/chiangklongriversideresort
ルーイ県の次は、お隣のノーンカーイ県へ!
2県目:ノーンカーイ県
ノーンカーイ県で、特産品に舌鼓
ノーンカーイ県は、ラオス・ビエンチャンと「タイ・ラオス友好橋」で結ばれた国境の町。さらに、メコン川沿いに住む人々の文化や伝統が今も色濃く残っているエリアだ。
特産品のバナナを使ったバナナチップスの工房を訪ねる
photo : Kohei Nishiyama
農業が盛んなノーンカーイ県の中でもサンコム群の特産品と言えばサンコムバナナ。日本でよく見るバナナよりも短いフォルムで、甘味と酸味のバランスがいいのが特徴だ。バナナの町で訪れたいのは中心地にあるバナナ加工品の工房「メーアーラック」。バナナチップスや干しバナナを作っていて、直売所では様々な種類のバナナ加工品を購入することができる。もちろん味見もOKなので、お気に入りを見つけたい。編集部のおすすめは、バナナチップスのバターフレーバー。バナナのほのかな甘みと酸味、さらにバターの芳醇な香りが重なり、食べる手が止まらなくなるほど絶品。日本では手に入らない味なので、まとめ買いが吉。
photo : Kohei Nishiyama
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■Mae A-Rak(メーアーラック)
https://www.facebook.com/Maearak/
変わり種ピザと、地鶏のスープが美味
photo : Kohei Nishiyama
ノーンカーイ県でユニークなピザが評判なのがタイ料理レストラン「フアン・ハード・カム」。イサーンの調味料であるユープラー(魚の味噌)をたっぷり使ったピザは必食メニュー。その他にもノーンカーイ県の地鶏と地元の野菜を少量の水と味噌でじっくり煮込んだオーム・ガイや、イサーン特有のハーブであるバイ・ヤー・ナーンの葉が入った3種のマッシュルームスープもおすすめ。イサーン・ソーセージやムーヨ(タイのハム)が一度に楽しめるイサーン・オードブルは前菜にぴったり。
photo : Kohei Nishiyama
photo : Kohei Nishiyama
■Huan Haat Kam (フアン・ハード・カム)
https://goo.gl/maps/GNyvZjHj8hQ1R71q9
ノーンカーイ県で泊まりたいホテル
photo : Kohei Nishiyama
ノーンカーイ県では、町の中心に宿泊するのが便利。「アマンタ ホテル ノーンカーイ(Amanta Hotel Nongkhai)」はメコン川近くに佇むスタイリッシュな一軒。ノーンカーイの長閑な風景を見下ろすルーフトップバーが人気。
■アマンタ ホテル ノーンカーイ
http://www.amantanongkhai.com/
ノーンカーイ県の次は、イサーン地方最北の県・ブンカーン県へ。
3県目:ブンカーン県
思わずほっこり! コミュニティーヴィレッジで食べる“お母さんの味”
photo : Kohei Nishiyama
ブンカーン県は77番目に誕生したタイで一番新しい県。こちらも主な産業は農業で、特にカボチャの栽培で知られている。
photo : Kohei Nishiyama
photo : Kohei Nishiyama
ブンカーン県の素朴な文化に触れるならぜひ訪れたいのが「ライフ・コミュニティー・ミュージアム・ブンカーン」。村の人々が運営するコミュニティーでは、人々の昔ながらの暮らしや文化を学ぶことができ、さらにメコン川の泥を用いた染め物や、クラーという食物を用いたカゴなど、自然素材を用いた環境に優しいプロダクトを生産し販売している。
photo : Kohei Nishiyama
お楽しみは、村のお母さんたちによる家庭料理のランチ。トムセープ(豚肉や牛肉のホルモンとハーブなどを煮込んだスープ)や自家製クンチェオ(イサーン風の甘いソーセージ)、コーンのソムタムといったイサーン料理から、自家製ナムプリック(タイ風ディップ)やハーブ入りのカイチアオ(卵焼き)など、全て手作りの温かい家庭料理が並ぶ。どの料理も滋味深く優しい味わいで、レストランで食べるタイ料理とはまた違った魅力あり。“おふくろの味”にすっかり癒されてしまう。
■Life Community Museum Bueng Kan(ライフ・コミュニティー・ミュージアム・ブンカーン)
https://www.facebook.com/LifeCommunityMuseumBuengkan/
ブンカーン県の次は、旅の最終地点ウドーンターニー県へ。
4県目:ウドーンターニー県
ローカルレストランからおしゃれカフェまで美食の街で食べ歩き
ウドーンターニーの市民の憩いの場「ノンプラジャック公園」 photo : Kohei Nishiyama
北イサーンを巡るグルメトリップもいよいよ終盤。最終目的地であるウドーンターニー県へ。ウドーンターニー県は、北イサーンの商業中心都市。ウドーンターニー県は、食通の間で「グルメの街」と言われる隠れた美食の宝庫。地元で話題の名店を巡るのも楽しいはず。
“蟻の卵”を使った料理も! 昔名ながらのイサーン料理を味わう
蟻の卵のカイチアオ photo : Kohei Nishiyama
ちょっと変わった珍食材にチャレンジしてみるのもグルメトリップの醍醐味。「昔ながらのイサーン家庭料理」をコンセプトに2018年にオープンしたイサーン料理レストラン「チャバー・バーン」では、雨季の時期に蟻の卵を使った料理を味わうことができる。ぜひトライして欲しいのが、蟻の卵を使ったカイチアオ(タイ風卵焼き)やラープ(ハーブサラダ)。プチっと弾ける食感の後に、白子のようにとろりとした味わいを感じる蟻の卵。意外と料理に馴染み、違和感がないので、珍食材が初めての人でもトライしやすい。ちなみに、レストランにはガイヤーンやソムタム、ラープなどのイサーン料理もラインアップしているので、ご安心を。郷土料理のひとつ、イサーンの山菜「パッティウ」を使った魚のスープも是非味わってみて。
photo : Kohei Nishiyama
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■Chabaa Barn(チャバー・バーン)
https://www.facebook.com/chabaabarn/
イサーン定番の朝ご飯が人気の食堂
photo : Kohei Nishiyama
イサーン地方を訪れたら忘れてはならないのが、イサーン特有の朝ごはん、カイガタ(タイ式目玉焼き)。カイガタは、目玉焼きの上に豚挽肉や人参のみじん切り、クンチェン(イサーン地方の甘いソーセージ)、ムーヨ(タイのハム)などの具材が乗っていて、アルミの小さなフライパンで提供されるのが特徴。『ウドーンターニーでカイガタを食べるならここ!』と、地元の人におすすめされたのが中心地に位置する食堂「キング・オシャー」。100席近く席数があり広くて清潔感のある食堂なので、旅行者がイサーン地方の朝食を体験するのにもおすすめの一軒。カイガタの他に、フランスパンにムーヨなどを挟んだサンドイッチや、厚みのある卵焼きも人気だ。
photo : Kohei Nishiyama
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■King Ocha(キング・オシャー)
https://goo.gl/maps/FYEzXfinz82QjV398
可愛すぎるケーキに心躍るカフェへ
photo : Kohei Nishiyama
中心地から車で約30分という郊外にも関わらず、ウドーンターニーを訪れる旅行者の多くが足を運ぶのが、レストラン&カフェ「バーン・ナー・カフェ」。もともと農園だった場所に、かつて留学していたカナダのファームをイメージしてレストランとカフェを作ったのは、オーナーのジャムさん。ウェディングパーティーの会場としても人気というファームの倉庫をモチーフにしたレストランも然ることながら、併設されているカフェにも注目が集まっている。
photo : Kohei Nishiyama
その理由は、美しいデコレーションとレベルの高い味わいのケーキ。ショーケースには季節のフルーツを使ったケーキや、タイらしいココナッツケーキ、チョコレートトフィーをたっぷり使ったケーキなど毎日何種類ものケーキが並ぶ。もともと花が好きというオーナーのジャムさんが、自ら農園で育てたエディブルフラワーが惜しげも無く使われているケーキには、思わず心ときめいてしまう。自然豊かな環境でのんびりティータイムを満喫しよう。
photo : Kohei Nishiyama
photo : Kohei Nishiyama
■Barn Naa Café(バーン・ナー・カフェ)
https://www.facebook.com/barnnaacafe/
ウドーンターニー県で泊まりたいホテル
©Brownhouse Hotel©Brownhouse Hotel
大型商業施設やレストラン、ショップが集まるウドーンターニーの中心地には、他県に比べて様々なタイプのホテルが点在。「ブラウンハウス ホテル(Brown House Hotel)」は、ノン湖のほとりに佇むお洒落なブティックホテル。ホテルの中庭にはレイクビューのインフィニティープールがあり、リゾート感を演出している。
■ブラウンハウス ホテル
http://www.brownhousehotel.com/en/home/
グルメをテーマにタイの地方を巡るグルメトリップの第二弾は、北部ナーン県にフィーチャー。自然豊かな田舎町で素朴な郷土料理に出合う旅を満喫。
第二弾はこちら
■取材協力:タイ国政府観光庁
https://www.thailandtravel.or.jp/
エアアジア AirAsia エアアジアは成田、関西、中部、新千歳、4つの空港※からバンコク(ドンムアン空港)まで直行便を運航し、運航便数は合計49便/週で、日本=タイを運航するLCCでは最多。タイ国内線は合計35路線のネットワークを持っていることから、地方都市への旅行に便利な航空会社だ。
今回の旅では、往路はバンコク(ドンムアン空港)=ルーイ、復路はウドーンターニー=バンコク(ドンムアン空港)の路線を利用。尚、ルーイの目的地であるチェンカーンまでは、ルーイ空港から移動サービス「シティ・トランスファー」を利用することができる。「シティ・トランスファー」は、航空券と現地での移動手段がオールインワンになった新しい旅行プランで、アクセスのしにくい街までもスムーズに移動できるのが嬉しいポイント。
※7/4より福岡=バンコクが新規就航予定で、合計5つの空港からバンコクまで直行便を運航します。
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