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- ミャンマーのパゴダ。拝観マナー&面白スポットはこれ!
パゴダに始まりパゴダに終わると言っても過言ではないミャンマー観光。
そもそもパゴダって何? 寺とどう違うの?
拝観にマナーってあるの?
パゴダによくある「アレ」は何?
今回は、そんなパゴダにまつわるあれこれについて解説します。
パゴダ、パヤー、寺院…いったい何が違うの?
ミャンマーにやってくる旅行者の方によく聞かれる質問がこれ。
「パゴダと寺院って何が違うの?」。
ガイドブックや旅行パンフレットを見ると、「シュダゴンパゴダ」、「アーナンダ寺院」などと、パゴダと寺院がごちゃまぜになっていて、違いがよくわかりません。
ミャンマー仏教の総本山、シュエダゴン・パゴダ 著者撮影
実はビルマ語では、これらすべてを「パヤー」という同じ単語で呼んでいます。パヤーとは「聖なるもの」という意味で、宗教施設をはじめ仏像や僧侶もミャンマーではパヤーなのです。そのうち、一部の建物については「ゼディ」とも呼ぶこともあります。パヤーとゼディの違いはミャンマー人自身もよくわかっておらず、「中へ入れるものがゼディ、入れなければパヤー」というのが一応の基準にはなっていますが、バガンのアーナンダは中に入れても「アーナンダゼディ」とは言わず、「アーナンダパヤー」です。
その上、イギリス人がビルマ語と英語を結び付ける際、ビルマ語のパヤーは「Pagoda」、ゼディは「Temple」、仏像は「Budda Image」としましたが、現地での曖昧な呼び分けをそのまま継承したため、現地の英語表記もごちゃごちゃです。巨大寝釈迦仏で有名なヤンゴンの「チャウッタージー・パヤー」の英語表記は、「チャウッタージー・パゴダ」と「チャウッタージー・ブッダイメージ」が混在しています。
チャウッタージーは英語表記では「Pagoda」ではない場合も 著者撮影
日本語ではさらに混乱しています。同じパヤーでも、パゴダと訳したり寺院と訳したりバラバラなのです。バガンのブーパヤーに至っては、「ブーパヤー・パゴダ」と書かれていることもあるほどです。最近ではすべてパヤーのままにしてあるガイドブックもありますが、最終的にはそこへ統一するしかないのかもしれません。
ではパゴダと僧院の違いは?
もうひとつ押さえておきたいのが、パゴダと僧院の違いです。基本的に日本では寺院には僧侶が住んでいますが、ミャンマーのパゴダには僧侶は常駐していません。ミャンマー仏教において、僧侶はすべての欲望から切り離されるべき存在で、生涯にわたって伴侶も私有財産も持つことはありません。その修行の場が僧院なのです。
一方パゴダには、たくさんの人びとが様々なお願い事に来ており、むしろ世俗的な欲望うずまく場所とさえいえそうです。ですからミャンマーでは、僧院とパゴダはまったく別のものなのです。
僧院は僧侶たちがストイックな生活を送る場所だ 著者撮影
拝観マナーの肝は“曜日の祠”
次に拝観の仕方ですが、ミャンマーのパゴダ境内では、仏塔を中心に時計回りで進むのが基本です。大規模なパゴダではたいていの場合、四方に参拝所が設けてありますが、そのすべてで拝む必要はありません。
なお、参拝所で注意するのは、足先が仏像の方向へ向かないように座ること。地元の人は男性なら胡坐、女性なら横座りする人がほとんどです。体育座りは足先を正面の仏像に向けることになるのでNG。正座はOKです。
仏像だけでなく、僧侶に対しても足先が向くのはよくないとされている 著者撮影
何曜日生まれかとチェックは必須
ミャンマー人は自分が生まれた曜日を重要視します。パゴダには必ず各曜日の祠が設けてあり、自分の生まれ曜日の祠に必ずおまいりするのです。曜日の祠では、年齢の数だけ祠の像に水をかけるとよいとされています。
実は生まれ曜日によって、お供えや数珠の種類も異なります。旅行者がそこまで忠実になぞるのは難しいですが、せめて事前にネットなどで自分が何曜日に生まれたかを調べておくと、より参拝を楽しめるはず。なお水曜日のみ、午前と午後で祠が別になりますので、水曜日生まれの人は生まれた時間も両親に聞くなどしてチェックしておきましょう。
自分の生まれ曜日の祠の像に水をかける人びと 著者撮影
功徳を積んだら鐘を鳴らそう
さて、曜日の祠の参拝も終わったら、最後に境内の鐘を鳴らしてみませんか? 鐘は境内の必須アイテム。どこのパゴダにもあるはずです。この鐘は功徳を積んだ人が衝いてよいとされており、1度につき3回ないしは5回が基本です。「今日は何か人のためになることをしたぞ」と思える人は、ぜひトライしてみてください。
鐘を鳴らすことで誰かがが功徳を積んだことを周囲の人に知らせることができ、聞いた人は「誰かが功徳を積めたのだなぁ、よかったなぁ」と幸せな気持ちになれるのだそうです。これにより、鐘を衝いた人はさらなる功徳が積めるのだとか。
ユーモラスな像が鐘をかついでいるパゴダも多い 著者撮影
境内のあれは何? どういう意味?
そしてもうひとつ。境内や参拝所で時々、漬物石ほどの大きさの丸い石がおいてあるのを見かけると思います。シュエダゴン・パゴダなら、境内の南西エリアにあります。これは願いが叶うかどうかを判定してくれる占いの石なのです。
まず石の前に座り、両手で持ち上げて重さを確認します。それから願い事をし、再度その石を胸のあたりまで持ち上げ、石が前よりも軽くなっていたら願いは叶い、重くなっていたら叶いません。見つけたら、是非ためしてみてください。
あなたの願いは叶う? 叶わない? 著者撮影
御朱印ならぬ寄進証明書を集めよう
日本では御朱印集めがブームですが、ミャンマーのパゴダにもコレクション魂を揺さぶるアイテムがあるのをご存知でしょうか? ほぼすべてのパゴダでは参拝所の一画に寄進受付所があり、ここで寄進をすると名前と住所、寄進額を記した領収書のようなものがもらえます。ミャンマー語では「ゴンビュマターンロワ」、「名誉の登録証」という意味です。
観光客が行くようなポピュラーなパゴダでは、たいてい写真をあしらったカラーの証明書を用意してあり、旅の記念にぴったりです。寄進額の過多にかかわらず証明書はもらえますが、地元の人たちは1000~5000チャット(約70~350円)ほどを寄進する人が多いようです。
はっきり言って私の場合、寄進はこの証明書が目当て 著者撮影
いかがでしたでしょうか? パゴダ参拝の折にはぜひ参考にして、ミャンマー式にトライしてみてください。その方が、より願い事が叶うかもしれません。
(text & photo : 板坂 真季)
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