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- 納豆も食べる!日本と共通性が高い、ミャンマーの発酵食文化
ミャンマーには納豆があります。
特に、ミャンマー東部にあたるシャン州の納豆は日本のものにそっくり。シャン州きっての観光地インレー湖周辺で開かれる五日市では、竹の籠に入った糸引き納豆を量り売りする女性たちの姿が目に付きます。
大豆が少し小さめですが、他は完全に日本人が見慣れた納豆です。 著者撮影
シャン州以外でも大豆の発酵食品を食べますが、見た目や味が日本とは少し異なります。
ヤンゴンの市場でよく見かけるのは、糸は引かないものの、香りはまさに納豆の「ペーガピ」や、平たく煎餅状に伸ばして乾燥させた乾燥納豆「ペーボッ」。これらは煮込み料理の調味料としてよく使います。
こちらはペーボッ。香りは日本の納豆そっくり。 著者撮影
ミャンマーの食堂で、時々「あれ?納豆みたいな香りがする」と感じることがあれば、これらが入っていると考えてよいでしょう。
日本とミャンマーを含む「納豆の大三角形」
1970年代に文化人類学者の中尾佐助博士らが提唱し、現在にわたるまでアジア文化を語る上で大きな影響を与えてきた理論に、照葉樹林文化論というのがあります。日本から東南アジア、さらにはヒマラヤにかけての照葉樹林帯には、同じ植生ゆえによく似た食文化が生まれ、類似した文化が発展してきた、という考え方です。
中尾博士は照葉樹林文化の典型例として発酵食品をあげ、とりわけ納豆は日本、ジャワ、ヒマラヤを結ぶ三角形内に分布するとして、このエリアを「ナットウの大三角形」と名付けました。ミャンマーは、まさにこの三角形にすっぽりと入っており、納豆以外の様々な発酵食品の文化も発達しています。
シャン州の五日市で納豆を売る女性。 著者撮影
ミャンマーの魚醤=日本の味噌?
ミャンマーの発酵食品の中でも、人びとの生活に最も根ざしているのは、魚や海老などを発酵させて作る調味料「ガピ」ではないでしょうか。ミャンマー版魚醤です。煮込み料理やサラダなど、あらゆる料理に頻繁に使います。
ローカル市場に行けば必ずガピ専門店があり、店先の大きな樽に山盛りにしたガピを量り売りする光景に出会えます。昭和中期までに子ども時代を過ごした人なら、商店街の味噌店を思い出すことでしょう。
ガピはこのようなスタイルで売る店が多い。 著者撮影
他にもいろいろある発酵食品
ミャンマーの発酵食品にはこれら以外にも様々なものがあります。中でも、海老のすり身をかまぼこ状にして発酵させた「パズンチン」や、その魚版である「ガチン」はポピュラーな食材で、細かく切って玉ネギなどと和え、サラダにして食べます。
パズンチンのサラダをごはんにのせて食べる人も。 著者撮影
変わったところでは、茶葉を発酵させ、ピーナッツ油などと和えた「ラペットゥ」もあげられます。ミャンマーのほとんどの家庭が常備しているお茶請けで、来客時には揚げ豆や干し海老などを添えて出します。
ラペットゥに添えるトッピングにはその家庭らしさが出る。 著者撮影
馴れ鮨も日本とそっくり
様々な種類があるミャンマーの発酵食品ですが、見慣れた姿で日本人を驚かせるのは納豆だけではありません。ミャンマーには馴れ鮨もあるのです。
馴れ鮨には、米と魚や海老を一緒に発酵させただけのものもあり、これらは日本人にはただの魚の発酵食品にしか見えませんが、やはりシャン州で作られている馴れ鮨には、青い葉で巻き、魚の乗せ方など、風情そのものが日本とそっくりなものもあります。
シャン州の馴れ鮨。見た目も味も日本の馴れ鮨に本当に似ている。 著者撮影
こうして発酵食品をいろいろと見てみると、日本とミャンマーが、実はかなり近い文化圏にある国なんだと実感させられます。
(text & photo : 板坂 真季)
隅から隅まで!魅惑のミャンマー探検
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