ラオス
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ラオスの歴史を世界遺産で追う

古都ルアン・パバンのワット・シェントーン photo:世界遺産イェーイ!

メコンの恵みに支えられたラオスは、心静かに癒しのひとときを過ごせると、注目の旅先。街には由緒ある寺院が点在し、今なお残された東南アジアの原風景を見ることができます。フランスの植民地だった歴史をもつため、コロニアルな建築物や、お洒落なカフェが並んでおり、その名残を感じさせる風景も旅人を魅了します。

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今回の記事では、ラオスにある世界遺産2件に注目してラオスの歴史を簡単に振り返ります。

  • チャムパーサックの文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺跡群
  • 古都ルアン・パバン

 

ラーンサーン王国成立以前

1,353年にラオス初の統一国家ラーンサーン王国が成立するまで、ラオスには、ラーオ族、クメール族、モン族、漢民族など、多くの民族が居住していました。

5世紀頃、ラオス南部チャンパーサック平原に、ベトナム中部のチャンパー王国が都を築きました。その後10世紀頃から、アンコール王朝(現在のカンボジア)を作ったクメール族が、チャンパーサックに進出しました。

 

(世界遺産)チャムパーサックの文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺跡群

ここで、アンコール・ワットでもお馴染みのクメール族の遺跡をご紹介!

ワット・プー 参道からはカオ山を望める photo:ひさほ ゆう

チャムパーサック平原に住んでいたクメール人は、カオ山を神の宿る地として信仰していました。そのカオ山のふもとに建てられたヒンドゥー教寺院、ワット・プーを中心とした遺跡群と、カオ山やメコン川を含む広い範囲が文化的景観の広がる地域として、世界遺産に登録されています。

ワット・プー 南北宮殿 photo:ひさほ ゆう

チャンパーサック観光のハイライトは、10世紀~12世紀に建立されたヒンドゥー教の巨大な寺院、ワット・プー。

カオ山からは全体を見渡せる photo:ひさほ ゆう

ワット・プーは、参道、聖池から成る山麓部、南北宮殿、大回廊十字型テラスなどがある中間部、そして本殿を擁する山腹部に分かれています。

アンコール様式の本殿 photo:ひさほ ゆう

そろばん玉のような連子窓は、クメール建築の特徴的なスタイル。アンコール・ワットでも、連子窓をたくさん見ることができます。

本殿にまつられている仏像 photo:ひさほ ゆう

現在ワット・プーは、仏教寺院として、カオ山と共に人々の信仰を集めています。秘境と言われているラオスの中でも秘境ですが、ラオスのクメール建築に触れてみてはいかがでしょうか?

チャムパーサックの文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺跡群

登録 2001年
登録基準 「文明の証拠」、「建築技術」、「出来事や宗教、芸術」
アクセス 日本からタイのバンコクまで飛行機で約6時間半。バンコクからルアン・パバンまで飛行機で約1時間半。ルアン・パバンからパークセーまで飛行機で約1時間40分。パークセーからワット・プーまで、車で約2時間

 

ラーンサーン王国時代 (1,353年 ~ 1,707年)

クメール王国(現在のカンボジア)やタイの支配を受け続けていたラオスですが、ついに独立の時を迎えます。

古くからメコン川流域にはラーオ族が定住し、それぞれが定住した地で「ムアン」と呼ばれる小さな都市国家を作っていました。1,353年、ラーオ族のファーグム王が各地にあった「ムアン」をひとつにまとめてラーンサーン王国を建国。ラオス初の統一国家が誕生します。「100万頭の象」を意味するラーンサーン王国の都は、ルアン・パバンにおかれました。

 

(世界遺産)古都ルアン・パバン

ラーンサーン王国時代を代表する世界遺産「ルアン・パバン」をご紹介!

ワット・シェントーンのモザイク画「マイ・トーン」(黄金の木) photo:世界遺産イェーイ!

ラーンサーン王国の初代国王ファーグムは、上座部仏教を国教に定め、王都ルアン・パバンは、仏教信仰の中枢の地となり繁栄しました。由緒ある寺院が点在する風景と、フランス植民地時代のコロニアル様式が融合したルアン・パバンは、街自体が世界遺産として登録されています。

王宮として使われていたコロニアル様式の国立博物館 photo:世界遺産イェーイ!

ファーグム王は、上座部仏教の信仰が盛んだったクメール王国(現在のカンボジア)から、多くの僧を迎え入れ、寺院を建てました。

早朝の托鉢風景 photo:世界遺産イェーイ!

セイロン(現在のスリランカ)からは、黄金の仏像「パバン」を取り寄せます。東南アジアにおける上座部仏教は、セイロン経由で伝わったもの。セイロンから仏像がもたらされたというのは、由緒あることなのです。

ワット・シェントーン photo:世界遺産イェーイ!

ルアン・パバンのシンボル的存在、ワット・シェントーンは、16世紀に建てられたラオスでも有数の美しさを誇る寺院。境内にはいくつか建物があるのですが、こちらは本堂。ラオスにあるお寺の屋根は、こんな感じでカーブが大きく2段3段と重なっているのが特徴で、これを「ルアン・パバン様式」といいます。

ワット・マイ photo:世界遺産イェーイ!

こちらもルアン・パバン様式。5段に重なった屋根が美しいワット・マイは、18世紀に建てられた比較的新しい寺院です。

レリーフは必見! photo:世界遺産イェーイ!

ワット・マイの入り口の壁面にある黄金のレリーフ。古代インドの有名な物語「ラーマヤナ」が描かれています。

ラグジュアリーなホテルがオープンし、旅行雑誌などでも取り上げられることが増えてきたルアン・パバン。世界遺産の街並みを散策しながら、癒しのひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか?

古都ルアン・パバン

登録 1995年
登録基準 「文化交流」、「建築技術」、「伝統的集落」
アクセス 日本からタイのバンコクまで飛行機で約6時間半。バンコクからルアン・パバンまで飛行機で約1時間半。ベトナムのハノイを経由することも可能

 
再びラーンサーン王国時代のお話です。1,560年、ビルマからの侵攻を避けるために、ラーンサーン王国は、都をルアン・パバンから現在の首都であるビエンチャンに移します。

ビエンチャンのシンボル タート・ルアン photo:世界遺産イェーイ!

遷都した時に、王室の守護寺院として造られたのが、タート・ルアン。現在も敬虔な仏教徒たちが訪れます。

 

三国分裂時代~フランス植民地時代~近代

1,707年、ラーンサーン王国は、ビエンチャン王国、ルアン・パバン王国、チャンパーサック王国に分裂します。その後3王国は全てシャム(タイ)の支配下におかれてしまいます。

ラオスはフランスパンが美味しい photo:世界遺産イェーイ!

そして1,893年、今度はインドシナの植民地化を開始していたフランスに支配されフランス統治時代が始まります。宗主国フランスの影響を受けたため、ラオスではフランス文化を垣間見ることができます。本場仕込みのフランスパンやコーヒーを味わうのも、ラオス旅行の楽しみのひとつです。

パリの凱旋門を模して建てられた戦没者慰霊塔 photo:世界遺産イェーイ!

第二次大戦後、1953年にフランスから独立してラオス王国ができますが、内戦に突入。1,975年に内戦が終わり、現在のラオス人民民主共和国が成立しました。

 
(text : 鈴木かの子)

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