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- 観光前に読めばもっと楽しめる!世界遺産「プランバナン」を解説
photo:ひさほ ゆう
天を突くような仏塔が印象的な「プランバナン寺院群」は、インドネシアを訪れたら必ず見たい遺跡の1つ。世界最大級の仏教遺跡ボロブドゥールと合わせて、インドネシア観光のハイライトとなる世界遺産です。
世界遺産の正式名称は「プランバナンの寺院群」で、ヒンドゥー教と仏教の2つの宗教にまつわる複数の寺院で構成されています。どのような歴史的背景を経て2つの異なる宗教が混在するようになったのを解説していきたいと思います。
「プランバナンの寺院群」を構成する寺院
はじめに世界遺産「プランバナンの寺院群」を構成する主な寺院をご紹介します。
・プランバナン寺院(別名:ロロ・ジョングラン寺院) 『ヒンドゥー教』
・セウ寺院 『仏教』
・プラオサン寺院 『仏教』
・カラサン寺院 『ヒンドゥー教』
・サンビサリ寺院 『ヒンドゥー教』
※参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 世界遺産検定公式テキスト』
遺跡公園 photo:世界遺産イェーイ!
観光のメインとなるプランバナン寺院の周辺は整備され遺跡公園となっています。遺跡公園内にはプランバナン寺院とセウ寺院が、それ以外の寺院は少し離れたところにあり、それぞれ入場料が別途必要です。徒歩では難しいので車などのチャーターがおすすめです。
仏教とヒンドゥーは共存していました!プランバナンの歴史
プランバナンの寺院群があるインドネシアのジャワ島は、古くから国際貿易や政治経済の中心地として発展し、仏教やヒンドゥー教も海を通じて伝来しました。
賑わうプランバナン寺院 photo:世界遺産イェーイ!
8世紀から9世紀にかけてのジャワ島中部をみると、その北部は大乗仏教を信仰するシャイレンドラ朝に、そして南部はヒンドゥー教を信仰するマタラム朝によって統治されていました。ヒンドゥー教のプランバナン寺院はマタラム朝のピカタン王によって9世紀に建設されたと考えられています。
ボロブドゥールの仏像 photo:世界遺産イェーイ!
シャイレンドラ朝時代の傑作である仏教寺院ボロブドゥールは、プランバナン寺院よりも少し前、770年ころから820年ごろにかけて築かれています。
実は、仏教王国シャイレンドラ朝と、ヒンドゥー教国マタラム朝は、王族同士の婚姻により縁戚関係にありました。プランバナン寺院を建設したマタラム朝ピカタン王の妃は、シャイレンドラ朝の王女プラモダワルダーニ姫。プランバナン寺院は、二つの王朝の婚姻を記念して建てられたという説もあります。
プラオサン寺院 photo:世界遺産イェーイ!
近くにある仏教寺院プラオサンは、プラモダワルダーニ姫の父であるシャイレンドラ朝の王が嫁いだ娘のために建てた寺院だと言われています。
プランバナン寺院は、マタラム朝の宗教儀式などに使われていましたが、火山の噴火、遷都、地震などにより崩壊し廃墟となってしまいます。長い時を経て1733年に再発見され、修復が進められ現在のような姿になりました。ボロブドゥールは、1814年に発見されたので、その約80年前に発見されたことになります。
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プランバナン寺院(ロロ・ジョングラン寺院)
9世紀にマタラム王国のピカタン王によって建てられたプランバナン寺院。別名をロロ・ジョングラン寺院とも言います。
中央左大きな丸がシヴァ堂 上がヴィシュヌ堂 下がブラフマー堂 photo:世界遺産イェーイ!
高さ約2mの基壇の中心にシヴァ堂、北にヴィシュヌ堂、南にブラフマー堂がならび、それぞれの正面には各神様の乗り物であるナンディ(牡牛)、ガルーダ(神鳥)、ハンサ(白鳥)の堂があります。基壇は約110m四方で、同じく基壇の上に建てられたボロブドゥールを意識しているとも。まわりには100以上の小祠堂があります。
ボロブドゥールのストゥーパに似ている彫像 photo:世界遺産イェーイ!
シヴァ堂
シヴァ堂 photo:世界遺産イェーイ!
想像と破壊の神シヴァを祀ったシヴァ堂は高さ47m。シヴァ像がある部屋の他に3つの部屋を有し、南室にアガスティア(インドの聖者でシヴァの師とも)、西室にガネーシャ(学問と商業の神様、シヴァの息子で象の頭を持つ)、北室にシヴァの妻ドゥルガーの像があります。
ドゥルガー photo:世界遺産イェーイ!
プランバナン寺院の別名は「ロロ・ジョングラン」。この地に伝わる伝説に、美しい王女「ロロ・ジョングラン」が大男によって石像に変身させられてしまったというお話があるのですが、こちらのドゥルガー像が「ロロ・ジョングラン」ではないかと言われています。ドゥルガー像に触ると美しくなれるそうで、訪れる女性達が触るため黒く光っていました。
「ロロ・ジョングラン伝説」についての詳しいお話は、こちらをCheck!
ヒンドゥー教の理解が深まる!ジョグジャカルタの世界遺産「プランバナン寺院」
シヴァ像 photo:世界遺産イェーイ!
シヴァ堂の正面の小さなお堂の中には、シヴァの乗り物である聖牛ナンディの像が納められています。
ナンディ photo:世界遺産イェーイ!
ヴィシュヌ堂
シヴァ堂の北側にあり、宇宙の維持を司るヴィシュヌ神を祀るお堂。堂内は1部屋で内部にはヴィシュヌ像が安置されています。
左手にほら貝、右手に円盤を持つヴィシュヌ photo:世界遺産イェーイ!
ヒンドゥー教の神話「ラーマーヤナ」の主人公ラーマ王子と、美青年な神様クリシュナは、ヴィシュヌの化身。ヴィシュヌ堂の回廊にはヴィシュヌ第8の化身であるクリシュナの物語のレリーフが施されています。
ヤムナー河で毒龍を退治するクリシュナのレリーフ photo:世界遺産イェーイ!
ブラフマー堂
宇宙を創造した神ブラフマーを祀るお堂でシヴァ堂の南側にあります。ヴィシュヌ堂と同じく1部屋のみで、4つの顔を持つブラフマー像が安置されています。
ブラフマー像 photo:世界遺産イェーイ!
回廊には、シヴァ堂から始まるラーマーヤナのレリーフの続きが描かれています。
「ラーマーヤナ」とは、ヒンドゥー教の神話の1つで、ヴィシュヌ神がコーサラ国の王子ラーマとなって、魔王ラーヴァナを退治する物語。ラーマ王子と妃シータ、双子の息子のレリーフが詳細に残されているので、回廊をじっくりとまわってみて下さい。
双子を生んだシータ photo:世界遺産イェーイ!
ラーヴァナの弟を戦地に行くために起こす photo:世界遺産イェーイ!
ラストシーン:ラーマ王子とシータの双子が成長しコーサラ国を治める図 photo:世界遺産イェーイ!
その他の寺院
セウ寺院『仏教』
ゴルフカート photo:世界遺産イェーイ!
プランバナン遺跡公園内にある仏教寺院。公園内にあるのですが、プランバナン寺院から歩くと結構あるので、ゴルフカート(20,000ルピア 約170円)で向かいましょう。
セウ寺院 photo:世界遺産イェーイ!
セウとは千を意味する言葉。本堂を中心に240以上の小仏堂が建てられています。ここで注目したいのは、クペラと呼ばれる門を守る神像。
プラオサン寺院『仏教』
プランバナン寺院から車で約5分の仏教寺院。シャイレンドラ朝の王が、マタラム朝のピカタン王へ嫁いだ娘プラモダワルダーニ姫のために建てたと言われています。
プラオサン寺院 photo:世界遺産イェーイ!
プラオサン寺院は正面を西向きに作られています(仏堂の正面入口は東が一般的)。姫の故郷であるボロブドゥール方面を正面としたのではないかという説もあります。
カラサン寺院。仏教寺院だが蛇の彫像はヒンドゥーの神様 photo:世界遺産イェーイ!
その他にも8世紀に仏教寺院として作られたけれど、9世紀にヒンドゥー教寺院に改修された「カラサン寺院」や、1966年に火山灰の中から発見されたヒンドゥー教寺院「サンビサリ寺院」も見逃せません。
サンビサリ寺院。深さ6mの地中から掘り起こされました! photo:世界遺産イェーイ!
プランバナンの寺院群(文化遺産)
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・登録:1991年
・登録基準:「人間がつくった傑作」、「建築技術」
・アクセス
日本から首都ジャカルタ、またはバリ島のデンパサールまで直行便で約7時間。ジャカルタ、またはデンパサールからジョグジャカルタまで飛行機で約1時間。プランバナン寺院は、ジョグジャカルタから車で約45分。プラオサン寺院など他の寺院をまわる場合は、車のチャーターが便利。
4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラム
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INFORMATION
名称 | プランバナンの寺院群 |
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