カンボジア
グルメ
おうちで楽しむカンボジアvol.3

世界一の香りと味わい!「カンボジア産コショウ」を使って、ローカル料理を作ってみよう

著者撮影

かつて、その香りと深い味わいより「世界一」と賞賛され、ヨーロッパ人を虜にしたカンボジア産コショウ。内戦で一時は途絶えたカンボジアのコショウ栽培ですが、今は復活して、再び良質のコショウが生産されるようになりました。
日本ではあまり出回っていないカンボジア産コショウですが、最近はオンラインでも購入できるようになりました。そこで今回は、カンボジア産コショウを使ったカンボジア料理のレシピをご紹介。「世界一のコショウ」とともに、香り豊かなひとときを過ごしてみませんか?

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「世界一」と賞賛された、香り高いカンボジア産コショウ


写真提供:カンボジアノゴハン

レシピに入る前に、カンボジア産コショウについて簡単に解説。
カンボジアのコショウ栽培は、13世紀のアンコール時代まで遡ると言われています。19世紀後半のフランス植民地時代、風味がよくパンチの効いたカンボジア産コショウはヨーロッパ人に大評判。「世界一のコショウ」として名を馳せ、20世紀初頭には南部カンポット産を中心に、年間8000トンが出回っていたそうです。
しかし1970年代からの内戦で、コショウ畑は壊滅的な被害を受けます。畑は焼かれ、多くのコショウ農家が土地を追われました。1990年代の内戦後に生産が再開されますが、収穫量はわずか数トン足らず。700年の歴史を持つコショウ農業は、ゼロからの出発を余儀なくされました。

それから復興が徐々に進み、2000年代に入ると各地で栽培が盛んに。国が安定して多くの観光客を受け入れるようになると、国産コショウはカンボジアの特産品として注目されるようになりました。コショウを使った創作料理や食品みやげも登場し、その魅力を広めようと、さまざまな取り組みがなされています。

 

カンボジアに行ったら食べたい!コショウがメインのご当地料理


イカの生コショウ炒め 写真提供:カンボジアノゴハン

カンボジアでは、乾燥させる前のコショウの実が「野菜」として料理に登場します。ごく一般的な食材として、市場やスーパーでは束になった青コショウが販売されています。
最も有名な青コショウ料理といえば、「イカの生コショウ炒め」。柄付きのコショウとイカをオイスターソースで炒めただけのシンプルな料理ですが、ソースのコクとコショウの風味が、淡白なイカを引き立てて絶品。実がプチッと弾ける食感は、一度食べたらやみつきです。
日本ではお目にかかれない青コショウ料理。現地へ行ったときには、ぜひ味わってみてください。

 

黒コショウたっぷり!カンボジア版・豚の角煮「コーサイチュルック」を作ってみよう

それでは、コショウをたっぷり使ったカンボジア料理を作ってみましょう!
今回ご紹介するのは、カンボジア版の豚の角煮「コーサイチュルック」。家庭料理としてとてもポピュラーな一品で、食堂やレストランでもよく見かけます。私も日常的に食べていましたが、今回初めて作ってみて「こんなにもコショウを使っているのか…!」と驚きました。


粒コショウをたくさん使います! 著者撮影 

レシピはこちらの記事に登場した、「カンボジアノゴハン」のToyomi先生に伝授していただきました!


著者撮影

<材料> 4人分
豚バラ肉(ブロック):400g
卵:4〜5個
厚あげ:1枚
ゆでたけのこ:200g
粒コショウ(黒):大さじ1と小さじ1
ニンニク:5〜6かけ
パームシュガーまたは砂糖:大さじ2〜3
ナンプラー:大さじ1
オイスターソース:大さじ1
塩:大さじ1/2
水:1〜2カップ


著者撮影

小さな鍋に湯を沸かし、ゆで卵を作ります。
豚肉、厚あげは一口大に、ゆでたけのこは拍子木切りをします。


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粒コショウとニンニクをすり鉢に入れて、すりこぎで潰します。硬いコショウを潰すのは大変ですが、がんばって!ゴリゴリと少し粒が残るくらいまで擦って、粗いペースト状にします。(コショウはフードプロセッサーで荒く挽いてもOK)


著者撮影

鍋にパームシュガー(または砂糖)と少量の水(分量外)を加え、かき混ぜながら煮立たせます。コショウとニンニクのペーストも加え、しっかり飴色になるまで煮詰めます。
ナンプラー、オイスターソース、肉、塩の順番に加えて炒め、そのまま5〜10分ほど火を通します。

肉に火が通ったら、ゆでたけのこ、厚あげ、ゆで卵を加えて混ぜ合わせます。
水をカップ1〜2程度加え、肉が柔らかくなるまで煮込んだら完成です!


著者撮影

パームシュガーは普通の砂糖に比べて甘みが強いので、砂糖の場合は少し多めに入れてもいいかもしれません。ちなみに、カンボジアではつゆだくにしてスープ代わりに食されます。水の量も、お好みで調節してみてください。

日本の豚の角煮より、ちょっとスパイシーでボリュームのあるコーサイチュルック。コショウとニンニクがガツンと効いているので、お酒のつまみにもぴったりですよ。

 

カンボジア産コショウの販売サイト

カンボジア産コショウはこちらのサイトで購入することができます。いつもの食卓を華やかにする、「世界一のコショウ」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

■Kurata Pepper(クラタペッパー)
http://kuratapepper.com
1997年よりコショウ農業の復興に尽力している、倉田浩伸さんによるコッコン産有機コショウ。カンボジア農家に代々伝わる、自然農薬・自然肥料にこだわった伝統農法で栽培されたコショウは、味も香りも抜群。カンボジアオーガニック農業協会による「国内オーガニック認定」を取得しています。

■La Plantation(ラ・プランテーション)
https://www.kampotpepper.jp
「コショウのブランド産地」として名高い、カンポット州で栽培しているコショウを販売。フランス人オーナーの元、国際標準に基づいた栽培方法で、質の高いコショウを生産しています。唐辛子やハーブとブレンドしたミックススパイスや、塩漬けの生コショウなど、ユニークな商品も多数あります。

(text: 矢羽野晶子)

【連載】シェムリアップてくてく散歩 〜楽しくて、ちょっとディープな街歩き~


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