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未来の世界遺産もご紹介!

タイで6件目!「ケーンクラチャン国立公園」が世界遺産に登録

ケーンクラチャン国立公園 写真提供:タイ国政府観光庁

2021年7月26日、中国福建省福州市(オンライン)で開催されたユネスコの第44回世界遺産委員会は、タイの「ケーンクラチャン国立公園(Kaeng Krachan Forest Complex)」を世界自然遺産に登録することを発表!タイに6件目の世界遺産が誕生しました(文化遺産3件、自然遺産3件)。今回の記事では、新規世界遺産となったケーンクラチャン国立公園や、今後登録されるかもしれない未来の世界遺産についてご紹介します。

「世界遺産委員会」は毎年1回、6~7月頃に開催され、この会議の中で、事前に各国から推薦された世界遺産への新規登録候補の物件を審議し、世界遺産への登録可否を決定します。

今年の世界遺産委員会は例年とは少し異なります。2020年の世界遺産委員会がコロナ禍で延期になったため、2021年の世界遺産委員会は、2020年に審議される予定だった物件と、2021年に審議される物件、両方が審議されました。

 

ケーンクラチャン国立公園:タイ


写真提供:タイ国政府観光庁

今回の世界遺産委員会で登録が決定したのが、タイのマレー半島に位置する「ケーンクラチャン国立公園」。タイ王室の保養地として知られるリゾート地「ホアヒン」から、車で約1時間のところにあり、アクセス良好な国立公園です。


写真提供:タイ国政府観光庁

マレー半島のテナセリム山脈に位置するタイ最大級の国立公園で、常緑樹や落葉樹、熱帯植物など多種多様な植物が分布しています。また多くの絶滅の危機に瀕している動物、野生のトラやヒョウ、アジア象、ワニ、テンなどが生息しています。


写真提供:タイ国政府観光庁

トレッキングや、カヌーで、動物を探しながらダイナミックな景観を楽しんだり、色鮮やかな鳥や蝶を探したりと、自然を体感できる国立公園。アクセスも良いことから、最近ではタイ国内でも注目を集めています。

 
世界遺産委員会が終わったばかりなのですが、今後、世界遺産に登録されるかもしれない東南アジアの注目スポットもご紹介!世界遺産登録を目指している物件は「暫定リスト」という国別の候補リストに記載されます。このなかから条件が整ったものが推薦されて様々な審議を経て世界遺産に登録されることとなります。この「暫定リスト」の中からいくつかのスポットをあげていきます。

 

シーテープ歴史公園:タイ


写真提供:タイ国政府観光庁

現在タイでは暫定リストに6件の物件が掲載されています。そのうちのひとつ「シーテープ歴史公園」は、スコータイ王朝の前の時代、ドヴァーラヴァディー王朝時代やクメール王朝時代の遺跡が残されています。


写真提供:タイ国政府観光庁

5世紀頃から様々な王朝がタイを地方ごとに治めていましたが、その中でも代表的なものが、中部で仏教を厚く信仰したドヴァーラヴァティー王朝です。現在タイには文化遺産が3件あるのですが、ドヴァーラヴァディー王朝時代が中心となる世界遺産はまだないので注目したいところです。


写真提供:タイ国政府観光庁

クメール王朝の影響を受けたとも考えられる、精緻なレリーフ(浮き彫り)なども、かなり良い状態で見ることができ、遺跡めぐりが楽しい世界遺産になりそうです。アクセスは、バンコクから車で約3時間半。ペッチャブーン県に位置しています。

 

パノム・ルン遺跡:タイ


写真提供:タイ国政府観光庁

タイ東北部カンボジアとの国境近くに位置するパノム・ルン遺跡は、クメール王国の神殿跡で、こちらも暫定リストに掲載されています。クメール建築の傑作で、カンボジアにある世界遺産アンコール・ワットとほぼ同じ時期である12世紀頃に作られたもの。パノム・ルンとはクメール語で「大きな丘」という意味です。


@TRIPPING!

アンコール・ワットなどクメール建築の特徴でもある、太陽の動きを考えられた設計はここでも見ることができます。年に2回太陽が門を通して光る現象は神秘的な瞬間!例年は、国内外から多くの観光客が集まります。

 

コー・ケー遺跡:カンボジア

現在カンボジアで暫定リストに掲載されている物件は、全部で8件あります。その中から7段ピラミッド寺院が見事なコー・ケー遺跡をご紹介!

コー・ケー遺跡も、アンコール・ワットやタイのパノム・ルン遺跡と同様にクメール王朝時代に作られた遺跡です。アンコール・ワットがあるシェムリアップからは車で約3時間と、少し離れたところにあるのですが、実は10世紀前半コー・ケーには都が置かれていました。

都が置かれていたため、コーケー遺跡は都城となっており、多くの寺院や貯水施設が広い範囲に点在しています。その中心となる寺院が高さ約35m の7段ピラミッド寺院プラサット・トム。その他にも象の彫像や、木の根が巻き付いた遺跡の神秘的な景観など見どころ満載の遺跡です。後に、都は現在のシェムリアップに移されコー・ケーは放棄されてしまいます。少々郊外にありますが、アンコール・ワットよりも200年以上前に作られたコー・ケー遺跡はカンボジアを訪れたら外せない遺跡になりそうです。

 
以上、世界遺産委員会についてご紹介してきました。タイの世界遺産が1件増えたことにより、東南アジアの世界遺産は全部で42件になりました。内訳は文化遺産が27件、自然遺産が14件、複合遺産が1件と文化遺産が半分以上となっています。

また東南アジアには、来年以降も世界遺産が続々と誕生しそうな予感もしています。未来の世界遺産を先取りしてまわる旅も面白そうですね!

(text : 鈴木かの子)

【連載】世界遺産のプロが教える! アジア イェーイな旅

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