フィリピン
カルチャー

【旅予習MOVIE】テーマで選ぶフィリピンMOVIE&BOOK

東京から首都マニラまで、飛行機でわずか4時間。その近さも手伝って、観光地としてだけでなく最近では簡単に行ける英語留学先またはロングステイ先として訪れる人が増えているフィリピン。ラテン譲りの陽気で明るくフレンドリーな国民性も訪れる者を魅了する。今回の「旅予習MOVIE」では、そんなフィリピンの魅力を様々な角度で探る作品を紹介!

 

1.いまを感じる『SHIFT~恋よりも強いミカタ~』

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大学卒業後、数年経っても仕事も夢もままならず、私生活では友情と愛情の間で揺れて…そんな等身大の若者のもがきを描いたフィリピンの“いま”のムービー。

 

舞台はメトロ・マニラ北部にある商業都市・ケソン市。フィリピン国内には米国企業の下請けのコールセンターが多く展開しているが、本作の主人公であるミュージシャン志望のエステラと彼女の一番の理解者である青年トレヴァーも、その一社で働く若者たちだ。仕事場ですっかり意気投合した二人は休みになれば一緒に街に繰り出し、その仲を深めていくが、二人の関係には越えられない壁があり…。

 

自身もコールセンターで働いたのち映画の道に進んだ新人女性監督シージ・レデマが、エッジの効いた感性を見事に花開かせた本作。マニラのお買い物スポットの一つであるケソン市のクバオ・エキスポ内で撮影された主人公たちの“デートシーン”はカラフル&スタイリッシュなのが印象的。人によってはフィリピンに対して抱いていたイメージが変わるかもしれない。おしゃれなカフェやギャラリー、アンティークショップ、所狭しにアイテムが並ぶ靴屋やネイルサロンなど、散策に訪れてみたいスポットの数々に、心ときめかせながらご注目あれ。

 

【Travel info】
ケソン市
http://www.quezoncity.gov.ph/index.php

 

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『SHIFT~恋よりも強いミカタ~』
2014年10月25日(土)より新宿シネマカリテにてレイトショーほか全国順次公開
http://picturesdept.com/jp/titles/shift
© 2013 Cinema One Originals

 

2.歴史の1ページをめくる『イメルダ』

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フィリピンの歴史を語る上で欠かせない人物、故フェルディナンド・マルコス元大統領。市民が決起した86年のピープル・パワー革命で国外に追放されるまで、20年ものあいだ独裁政治を執った男である。本作は、彼の相方として政治手腕を振るったイメルダ夫人が自らの人生を語ることを承諾した、初めてのドキュメンタリー。

 

贅の限りを尽くした華やかな生活を支えた膨大な不正蓄財、政敵アキノ氏の暗殺疑惑、アメリカへの亡命など、イメルダ夫人を取り巻くスキャンダルは数知れず。それでも鉄壁の顔を崩さない彼女がカメラの前で語った言葉とは…。

イメルダ夫人と言えば、市民が大挙し追い出されたかつての住処、マラカニャン宮殿(大統領官邸)から発見された「3,000足の靴と6,000着のドレス」が有名だが、そのうちの800足の華麗なる靴は「マリキナ靴博物館」にいま展示されている。博物館があるマリキナ市は100年以上前から靴産業が栄えた町で、イメルダ夫人もマリキナ靴を多く愛用していたとか。一方、マラカニャン宮殿は現在、外観の見学のみに限定されているが、併設されている大統領記念博物館と図書館は事前に予約をすれば訪れることができる。ここでは歴代大統領の貴重な資料が展示されているので、フィリピンの激動の政治の歴史に触れたい方はぜひ訪れてみては?

 

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【Travel info】
マリキナ靴博物館
住所:Marikina City Hall, Shoe Avenue, Sta. Elena, Marikina City 1800
営業時間:月曜-日曜8:00~17:00(12:00~13:00は閉館)、祝日休
入場料金:P50
http://www.marikina.gov.ph/#!/Museum

 

大統領記念博物館・図書館
営業時間:月曜-金曜9:00~12:00、13:00~15:00、祝日休
入場料金:一般P50、学生・シニアグループP30
※訪問の1週間以上前までに事前予約が必要。
http://malacanang.gov.ph

 

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『イメルダ』
販売元:ジーダス
価格:¥2,857+税
www.imelda.jp
© Cinediaz Inc.All Rights Reserved.

 

3.絶景に感動する『世界遺産 フィリピン編』

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バナウエ・ライステラス(PHOTO:日本アセアンセンター)

 

7,107もの島々からなる国、フィリピン。モンスーンや地震などの自然災害と隣り合わせの場所でありながら、太平洋の美しい海に広大な熱帯雨林や山々といった大自然の恵みは、人々の生活を支えるだけでなく訪れる人をもたちまち魅了する。その中でも、一度は目に焼き付けたい二つの景色が本作には収められている。

 

一つ目は、マニラから空路1時間のバラワン島から、さらに船で12時間の場所にあるトゥバタハ岩礁海洋公園。2つの環礁から成るこの世界遺産は、強烈なモンスーンのため人間を寄せ付けずにきたため、海に広がる広大な珊瑚の森は古代の姿そのもの。色とりどりの珊瑚と400種類以上の海洋生物が共存する海の秘境。ここでのダイビングを夢見る人も少なくないのでは? そのダイビング・シーズンは季節風の関係で、3月中旬~6月中旬に限定されている。

 

手つかずの大自然であるトゥバタハ岩礁に対して、2つめの世界遺産バナウエのライステラス(棚田)は大自然と人間の技のハーモニーで出来上がったものだ。マニラから車で約9時間、ルソン島中央のコルディリェラ山脈の中央に位置するイフガオ州にある小さな町、バナウエ。この山間の町で暮らすイフガオ族が山の急傾斜を開墾して作り上げたライステラスは、2000年以上の時を越えて維持され、その美しさは「天国への階段」と称されている。ここを訪れたなら、棚田の景色を眺めながら、ここでしか食べられない香り高いお米を味わったり、くつろぎのコーヒータイムを満喫してみたい。

 

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パラワン島

 

「この景色が見たい!」という思いも旅のきっかけになるもの。息をのむ美しさを放つこちらの映像もまた、見た人をフィリピンへの旅に誘うこと間違いなし。

 

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『世界遺産 フィリピン編』
発売元:TBSテレビ/販売元:(株)アニプレックス
価格:¥3,800+税

 

番外編.人とのふれあいを感じる『バハラナ』

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リサール公園

 

3本の映像作品に加えて、最後はフィリピンの空気感が詰まった旅行記を一冊ご紹介! 気になるタイトル「バハラナ」とは、タガログ語で「何とかなるさ!」という意味。著者の日比野宏氏は、落ち込むことがあっても陽気に明日を生きるこの国の人々への愛情を表して、「フィリピンのおもしろさは、フィリピン人にあると思う」と綴っている。

 

同作ではそんな彼が94年~96年の間に訪れたフィリピン・マニラでの様々な人との出会いが描かれ、人の温もりを感じさせるが、同時にマニラがもつ多彩な顔に好奇心が掻き立てられる。発行から既に20年弱が経つため、街並みや生活事情が大きく変わった部分ももちろんあるだろうが、それでもなお文章から色褪せない魅力を感じるのは、著者のフィリピン愛が伝わるから。ちなみに同作に続いて、フィリピンのほかの諸島での旅行記を綴った「マガンダ」も出版されており、たくさんの出会いエピソードがここでも盛り込まれている。こちらも合わせて読みたい一冊。

 

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(左)ロハス大通り(右)マニラ湾 (PHOTO:TIP一村)

 

『バハラナ フィリピン街道1・マニラ編』
著者:日比野宏
発行:凱風社
価格:¥1,800+税

 

ほかの国では見られない絶景、激動の歴史、そしてニューウェーブを予感させる新たなアートシーン…。様々な角度から、隣国フィリピンをより身近に感じてみては?

 

※渡航・滞在の際には、十分な情報収集や安全対策を心がけるようお願いします。
>>外務省 海外安全ホームページはこちら

 

(text:Izumi Kakeya)

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