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東南アジアの世界遺産 知っておきたい宗教のこと


アンコール・ワット   photo:ひさほ ゆう

37件の世界遺産がある東南アジアのASEAN10カ国!その中には、アンコール・ワットやボロブドゥールなど宗教に関する世界遺産がたくさんあります。

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今回の記事では4つの宗教、仏教、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教に注目して、東南アジアの宗教の柔軟さ、そしてそれぞれの宗教の特徴と代表的な世界遺産をご紹介していきます。宗教のことをちょっと頭に入れておくだけで、世界遺産を観るのがぐっと楽しくなります!

 
1. 東南アジアの宗教:アンコール・ワット、プランバナン

2. 仏教の世界遺産: ボロブドゥール、スコータイ、アユタヤ

3. ヒンドゥー教の世界遺産:ミーソン、プレア・ビヒア

4. イスラム教の世界遺産:マラッカ、ジョージタウン

5. キリスト教の世界遺産:マラッカ、ビガン

6. 宗教の世界遺産を観光する時に注意したいこと

 

東南アジアの宗教

異なる様々な宗教を柔軟に受け入れる寛容性こそが東南アジアの世界遺産の特徴!

例えば東南アジアで一番有名な世界遺産「アンコールの遺跡群」は、実は仏教とヒンドゥー教両方の要素を持っています!「アンコールの遺跡群」は、「遺跡群」という名の通り、1つの遺跡だけではなく、アンコール・ワットやアンコール・トムなど、600を超える遺跡から成る世界遺産。

■アンコール・ワット

アンコール・ワットのレリーフ   photo:世界遺産イェーイ!

世界三大仏教寺院と言われているアンコール・ワットですが、第一回廊には、ヒンドゥー教の神話である「乳海攪拌(にゅうかいかくはん)」のレリーフなどが残されています。こちらはヒンドゥーの神々と魔人が大蛇のしっぽで綱引きをしている有名なシーン。

 
アンコール・トムのバイヨン寺院

4方向にお顔があるバイヨン寺院   photo:世界遺産イェーイ!

一方アンコール・ワットのすぐそばの都城遺跡、アンコール・トムの中にあるバイヨン寺院には、巨大な四面仏顔塔が多数あり、仏教寺院であったことを伺えます。

12世紀にアンコール・ワットを建設した国王はヒンドゥー教を信仰し、後にアンコール・トムを築いた国王は仏教を信仰していたことから、異なる宗教の寺院が隣接しているのです。もともとはヒンドゥー教の寺院だったアンコール・ワットですが、後に仏教寺院として使われたことも!アンコール遺跡の数々は長い年月でみると両宗教で混在して信仰されていたようです。

アンコール以外だけでなく、インドネシアの世界遺産「プランバナンの寺院群」にもヒンドゥー教と仏教が共存しています。

 
ヒンドゥー教のプランバナン寺院

photo:ひさほ ゆう

 
仏教のセウ寺院

photo:ひさほ ゆう

 

仏教の世界遺産

タイやラオスなど現在も多くの人々に信仰されている仏教。東南アジアでは、日本に伝わった大乗仏教とは違い上座部仏教が中心となっているため、日本にある寺院や仏像とは少し異なるものを見ることができます。東南アジアが誇る仏教遺跡の世界遺産から代表的なもの3つをご紹介します。

 
ボロブドゥール@インドネシア

photo:世界遺産イェーイ!

代表的なものは、1000年もの間ジャングルに埋もれていた世界最大規模の仏教遺跡ボロブドゥール。先ほど紹介したアンコール・ワットと共に、世界の三大仏教寺院にも名前を連ねています。

 
スコータイ@タイ

ワット・スラシーにある、ほっそりとして優美なスコータイ様式の仏像   photo:世界遺産イェーイ!

ジャングルに埋もれていたので比較的保存状態の良い寺院や仏像が多いスコータイは、遺跡好きならずとも感動する世界遺産!タイ初の統一国家で、仏教国としても繁栄したスコータイ王朝は、後にアユタヤ朝に滅ぼされます。

 
アユタヤ@タイ

ワット・マハータート   photo:ひさほ ゆう

同じくタイの世界遺産アユタヤは、バンコクから車で約1時間半とアクセスが良いことから世界中の観光客の人気を集めています。スコータイ朝の後に栄えたアユタヤ朝は、18世紀にビルマ軍によって徹底的に壊滅されましたが、その中で残っている仏像や寺院の遺構を見ることができます。

 

ヒンドゥー教の世界遺産

次にご紹介するヒンドゥー教ですが、世界の信者数はキリスト教、イスラム教に次ぐ3番目の宗教となり、信仰の中心はインドとなっています。
東南アジアの歴史では仏教よりも前に盛んに信仰されていた、ヒンドゥー教。最初にご紹介したアンコール・ワットもヒンドゥー教と仏教両方の要素を併せ持つ遺跡です。現在ではヒンドゥー教徒は東南アジアには少なくなってきましたが、インドネシアのバリ島では9割の方々が土着の宗教とヒンドゥー教、仏教が融合したバリ・ヒンドゥー教を信仰しています。

 
ミーソン@ベトナム

photo:世界遺産イェーイ!

ミーソン聖域は2~19世紀までと長い間栄えたチャム人の国「チャンパー王国」の聖地で、ヒンドゥーの神々を祀るために造営された宗教建築遺跡です。緑のジャングルに囲まれた中に神秘的な雰囲気の遺跡がたたずんでいます。

 
プレア・ビヒア@カンボジア

photo:ひさほ ゆう

カンボジアで2番目に登録された世界遺産「プレア・ビヒア寺院」は、タイとカンボジアの国境の山の頂上に6世紀頃にクメール王朝によって建てられたヒンドゥー教の寺院。アンコール・ワットを築いたスーリヤヴァルマン2世らが大改築を行い、王家の寺院として保護されました。その後アンコールの遺跡群の他の寺院と同じように、ヒンドゥー教が衰えると仏教寺院として改築されました!

 

イスラム教の世界遺産

現在多くのイスラム教徒が暮らしている東南アジア。イスラム教は13世紀頃から港町を中心に広がっていきました。15世紀から16世紀にかけてマレー半島で栄えたマラッカ王国は、東南アジア初のイスラム港市国家で、東南アジアにおけるイスラム教の布教の拠点となりました。

 
マラッカ@マレーシア

カンポン・クリン・モスク   photo:ひさほ ゆう

マラッカと共に世界遺産「メラカとジョージタウン:マラッカ海峡の歴史都市」に登録されている、ペナン島のジョージタウンにも美しいモスクが残されています。

 
ジョージタウン@マレーシア

カピタン・クリン・モスク   photo:世界遺産イェーイ!

 

キリスト教の世界遺産

ヨーロッパを中心に信仰されていたキリスト教は、15世紀~16世紀の大航海時代に東南アジアに広まりました。世界遺産としては、ヨーロッパの列強諸国によって植民地化されたマレーシアのマラッカやフィリピンのビガンなどでキリスト教の教会を見ることができます。

 
マラッカ@マレーシア

photo:ひさほ ゆう

こちらの写真は、マラッカのシンボル的存在であるオランダ広場!イスラム教でも登場したマラッカ王国は、オランダに支配されたこともあります。正面はムラカ・キリスト教会、右側の建物がオランダの旧総督邸であるスタダイスです。

ちなみにヨーロッパに植民地化されたことがある街は、ヨーロッパ風の情緒ある街並みとオリエンタルな雰囲気とが絶妙に混ざっているため「街歩きが楽しい街」が多いです。

 
ビガンの歴史地区@フィリピン

photo:ひさほ ゆう

現在、人口の9割以上がキリスト教徒であるフィリピン北部の「ビガンの歴史地区」は、スペイン植民地時代の面影を強く残しています。外観はスペイン風ですが、建築様式はフィリピンや中国の様式が採用されたため、石と木を組み合わせた家屋となっており味わい深い町並みとなっています。

これらの街を訪れる際は日程に余裕を持ってゆるゆると散歩をしてみてはいかがでしょうか?

 

宗教施設を見学する時の注意事項

基本的に現地の人々の信仰を尊重し、最低限のマナーを守りましょう。

・肌の露出や派手な服装は控えましょう(ミニスカート、短パン、ノースリーブは避ける)

・脱帽し、サングラスは外しましょう

・写真撮影は各施設の指示に従いましょう

・写真撮影がOKの施設でも静かに撮影しましょう

・仏教国では、女性が僧侶に触れるのは厳禁なので気を付けましょう

 
※記事中の情報は、全て2017年2月現在のものです。

 
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