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東南アジアから野球強豪国が生まれる日も遠くない!?

日本プロ野球の「名球会」が東南アジアで野球少年を指導

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経済の成長とともに急速に変化を見せ始めている東南アジアのスポーツ界。オリンピックやサッカーのワールドカップといった大きな国際大会においても、少しずつ東南アジア諸国の存在感が増してきている。

 
だが、そんななかでも日本のメジャースポーツである野球は依然としてマイナースポーツ。アメリカ統治の歴史を持つフィリピンを唯一の例外として、東南アジアは野球においては「不毛の地」といえる。

 

東南アジアの野球を盛り上げる、日本プロ野球界

その状況を変えようと今、日本のプロ野球界が動き始めている。韓国、台湾、中国と東アジアには一定の競技力を持つ国々がそろう一方で、その他のエリアでは野球が根付いているとは言えない状況にあるアジア。そのなかで、日本はまず地理的にも近い東南アジアでの普及に力を注ぐことにした。

地理的に日本から近いこと以外にも、東南アジアがターゲットとして選ばれた理由がある。多くの日系企業が進出していることもあり日本と深いつながりのある東南アジアでは、現地在住の日本人指導者が野球の普及に尽力していることが珍しくない。そのため、インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポールといった国々では日本人指導者のもとで現地の子どもたちが野球をしている土壌があり、普及活動を行いやすいのだ。

 

名選手たちが集う「名球会」による野球教室

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今、具体的な活動として行われているのが「名球会ASEANベースボールプロジェクト」。プロ野球界において投手であれば通算200勝、もしくは250セーブ、野手であれば2000本安打を達成した名選手たちが集う「名球会」のメンバーが、東南アジア諸国をまわって野球教室を開くなど普及のための活動を行っている。

名球会による野球教室は、すでに多くの国々で行われてきた。これまでにフィリピン、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナム、カンボジアで開催されており、先日は7カ国目となるタイでも教室が開かれた。今後は残るミャンマー、ラオス、ブルネイでの開催も検討されており、東南アジア全域をカバーするプロジェクトとなっている。

 

タイの野球教室に東尾修氏と立浪和義氏が登場

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11月19日、20日の二日間、バンコク郊外のグラウンドで行われたタイでの野球教室には東尾修氏と立浪和義氏の二人が指導を担当した。現役時代は西武ライオンズ(前身の西鉄ライオンズ、太平洋クラブライオンズ、クラウンライターライオンズを含む)で通算251勝を挙げた東尾氏が投手陣を、同じく中日ドラゴンズで2480安打を放った立浪氏が野手陣の指導にあたった。

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国によって指導する子どもたちの年齢には幅があるが、今回、両氏の指導を受けたのはバンコクで活動する日本人、タイ人混成の少年野球チーム「バンコクサンダース」の選手たち。初日の19日には計30名ほどの子どもたちが参加し、そのうち3分の1ほどがタイ人の野球少年だった。野球教室は終始なごやかな雰囲気で行われ、子どもたちは約2時間に渡って往年の名選手のアドバイスを受けながら汗を流した。

投手陣を指導した東尾氏は「思ったよりもバランスよく投げている」と、タイの子どもたちの投げ方が想像していたよりもいいことに驚いた様子。野手陣を指導した立浪氏も「いいバッティングをしている子もいた」と賞賛していた。一方で、両氏ともに「今日だけでは身につかない」、「家でも毎日練習することが大事」などと今後のためのアドバイスも送っていた。

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野球は2020年の東京オリンピックで五輪種目として復活することが決まっており、4年に1度行われる世界大会「ワールド・ベースボール・クラシック」も来年で4回目を迎える。もちろんサッカーなどに比べればまだまだ国際的にはマイナー競技ながら、一歩ずつ国際化が進められている段階だ。

東南アジア勢もフィリピンとタイがワールド・ベースボール・クラシックの予選に出場するなど、少しずつ野球の認知度は高まっている。プロ野球名球会による活動が軌道に乗れば、さらなる普及を進められる可能性もあるだろう。さまざまな面で交流が盛んな日本と東南アジアだが、野球においても有益な関係が構築されることを期待したい。

 
(text & photo : 本多 辰成 )

 

スポーツコラム「スポーツが繋ぐ! 東南アジアと日本の新時代」
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