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熱帯写真家フォトエッセイ

アジアの街をゆく 〜カンボジア カンポット&ケップ 後編〜

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カンポットの市場。狭い通路いっぱいに商品が並べられている

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ケップからカンポットに戻り夕方の街に出た。カンポットの中心街は100年以上の歴史を持つ古い町で、フランス植民地時代の面影を残す建築物も少なくない。コンポンバーイ川の東側を川に沿ってそぞろ歩く。太陽が対岸の山の奥に沈もうとしていた。川沿いのベンチは市民の憩いの場となっているようで、楽しそうに語らう恋人たち、キャッキャッと黄色い声を上げながらはしゃぐ高校生たち、ゆっくりとあるく年配の人たち。その何事もない平和な風景を見ていると「カンボジアも平和になったな」と思った。すっかりと闇に包まれた街にはバイクの走行音が響く。

 
橋を渡り川の西側に向かった。賑わっている東側と比べると明かりもほとんど無く、川沿いに数件レストランがある程度だった。比較的賑わっているレストランに入ったのだが、ローカル向けのレストランで英語がほとんど通じなかった。席に着くなりビアガールがやって来た。ビアガールとはビールの販促をする女性のことだ。ビール会社から派遣され、カンボジアのローカルのレストランには多く見られる。自分が売った本数に対してコミッションがもらえるらしく、注意しないと次々にビールの栓を開けてしまうのだ。カタコトのクメール語でメニューを見ながら注文していると、学生風のウェイトレスがやって来て、これまたのカタコトの英語で説明してくれた。料理は一品数ドル程度。屋台よりは高いが、メニューはクメール語だったので一般的な価格なのであろう。店内ではローカルのバンドが流行のポップスを歌っているのだろうけど、日本人からするとちょっとコミカルに見えてしまった。

 
翌朝、早起きして街の中心部にある市場へ向かう。朝の市場は活気がある。アジアのどこに行ってもそうだ。まだ、日本のように大型スーパーマーケットが一般的でないのと冷蔵庫が普及していないため、買い物は毎日市場でするのが当たり前なのだ。野菜や肉、魚、日用品、全てのものが市場で揃う。野菜も日本にあるものは、カンボジアの市場にもほとんどあった。お米もジャポニカ米のような短粒米もある。「お兄さん、何買うの?」「この魚安くしとくわ!」と声をかけられる。声をかけられたついでにカメラを向けると今まで威勢の良かったおばちゃんが急に照れ笑いをして顔を隠してしまう。何とも可愛らしい。何をするわけでもなく、カメラを持ってブラブラと歩いているだけで楽しい。市場で朝食を食べた後、プノンペンへと向かった。

 
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市内を流れるコンポンバーイ川に架かる橋

 
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川沿いは若者たちのデートスポット

 
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バイクもトラックやバス代わりになってしまうのだ

 
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カンポットの夜 ローカル向けのレストラン

 
(text & photo : 中島貴義)

 
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