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- 東南アジアの汚職ランキング~最も少ないのはどの国?~
出張や赴任の際に、滞在先や交通のほか料理や娯楽について調べることはあっても、政治の汚職度合いを調べるひとはなかなかいないでしょう。
しかし、東南アジアではまだまだ賄賂などの汚職が蔓延している国があり、うっかり汚職事件に巻き込まれる、ということもあり、調べていくに越したことはないと思います。
そこで、今回は国際的な非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)」が毎年発表している「世界汚職ランキング(2014年版)」から、東南アジア諸国の汚職を取り巻く現状をお伝えしたいと思います。
ランク上位は北欧勢 日本は「15位」
このランキングは、世界175カ国・地域の公共部門の腐敗度合いを調査し、清潔度を指数化(最大100)としてランキング付けしています。指数を算出するにあたり用いられるデータソースは12。
ソースの中には、世界銀行が発表している政策評価レポートや世界経済フォーラムのエグゼクティブ・オピニオン調査などが含まれています。こうしたデータソースを分析、評価、重み付けを行い、国ごとの汚職指数を算出しています。
東南アジア諸国のランキングをお伝えする前に、まずは世界のランキングをお伝えしましょう。
世界で最も清潔度の高い国は「デンマーク」でした。デンマークの清潔度は100点満点中92点。次いで、2位がニュージーランド、3位がフィンランド、4位がスウェーデン、5位は同列でノルウェーとスイスでした。このように北欧諸国の上位ランクインが目立ちます。気になる日本は、ベルギーと同列の15位でした。
世界で最も汚職度が低いデンマーク ©VisitDenmark
一方で、世界最下位の国はどこだったのしょうか。北朝鮮とソマリアです。このほか、アフガニスタンやイラクなどの中東諸国、アフリカ諸国が下位となりました。
東南アジアで清潔度が最も高く、世界でもトップクラスの国はここ!
東南アジア諸国の中で最も清潔度が高かったのは、シンガポールです。シンガポールの世界ランクは同列6位のノルウェーとスイスに次ぐ7位です。東南アジアから少し範囲を広げアジア太平洋で見た場合、1位ニュージーランド、2位シンガポール、3位オーストラリア(世界ランク11位)、4位香港(17位)、5位日本という結果となりました。
汚職ランキング世界マップ、赤色が濃いほど汚職度が高く、黄色が濃いほど汚職度は低い ※出典:トランスペアレンシー・インターナショナルのウェブサイトより
筆者はシンガポールに住んでいますが、賄賂でことを済ませるというあまり話は聞いたことがありません。一方で、インドネシアでは交通違反で警察に捕まっても賄賂を渡せば釈放されるという話を聞いたことがありますし、免許を取得するのもお金次第のようです。シンガポールとインドネシアは隣国ですが、賄賂などに関しては状況が大きく異なるようです。
シンガポールで汚職が少ない理由は、政府がクリーンなイメージを維持するためにさまざまな施策を実施しているからかもしれません。最近もシンガポールのリー・シェンロン首相が汚職調査局(CPIB)主催の会議で、汚職撲滅に向け汚職防止法を改正することを発表しています。
東南アジアで最も汚職度が低いシンガポール 写真提供:日本アセアンセンター
この発表では、汚職が少ないクリーンなイメージを維持するために、CPIBの人員を20%強増員(現在120人ほど)するほか、汚職に関する通報を迅速に処理できる施設を設けることが明らかになりました。ただし、リー首相がこの発表を行った背景には、TIの汚職ランキングでシンガポールの順位が下がっていることが背景にあるようです。ちなみにシンガポールの2013年の清潔度ランクは5位だったので、2014年は二つ順位を下げたことになります。
東南アジアで清潔度が2番目に高いマレーシアは2013年の53位から三つ順位を上げています。マレーシアが清潔度をさらに高めるために必要な項目をTIが指摘しているので、それらの一部を紹介しましょう。
それらは、マレーシア汚職摘発委員会が事前調査なしに政治家の資産公開をできる権限を持つこと、すべての事業や契約を一般競争入札により発注すること、政府が契約した全事業をインターネット上で公開することなど。TIが世界銀行の試算を参考に指摘したところによると、腐敗指数が2%上がると経済成長率は2%、投資は4%減るのだそうです。
一方で、東南アジアで最も清潔度が低かったのは、同列でミャンマーとカンボジアでした。世界ランクではともに156位と、アフリカのジンバブエとも同列になりました。
ミャンマーでビジネスをしている関係者らによると、会社設立やビザ取得など、行政がからむことを迅速に進めるためには、政府の担当者役員に賄賂を支払うことがよくあると聞きます。カンボジアはどうでしょうか。カンボジアでも似たような状況だと言われていますので、賄賂でことが動くことが少なくないようです。
ミャンマー、カンボジアに次いで清潔度が低かったのは、同列でラオスとバングラデシュです。両国とも世界ランクは145位でした。次いで、ベトナム(世界ランク119位)、インドネシア(同107位)、タイ(85位)、フィリピン(85位)の順となりました。
ここまで東南アジア諸国の汚職度合いを見てきましたが、総じて個人で汚職事件に巻き込まれることは少ないと思います。しかし国によっては、ビジネスを進めるために賄賂を求められる可能性は十分あると思います。今後ビジネス関連で東南アジアを訪れる際は汚職に関する情報を事前に調べてみてもいいかもしれません。
(text : 細谷 元 )
ビジネスコラム「アジBiz 〜1分で読める東南アジアのビジネス情報」
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