ベトナム
グルメ
上品でいて、個性を感じるベトナム料理

(東京・二子玉川)完全無化調で作り上げる老舗ベトナム料理店「ジャンズ」

著者撮影

東南アジア料理を頂くうえで、避けては通れない化学調味料。化学調味料を「悪」のように捉える風潮が世間にはあるが、筆者は適切な量を巧く使えば許容範囲だと考える。無化調、無化調とこだわっていては、東南アジア料理や中華料理を頂けなくなってしまう。


 
しかし、無化調で美味しく作れるとしたら?それはみだりに使用するよりも遥かに望ましい試みだろう。今回紹介する店舗「ジャンズ」は日本におけるベトナム料理の老舗であり、完全に無化調で作り上げるお店だ。

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シェフのグェン・ティ・ジャン氏はハノイ生まれ、ベトナム南部育ちとの事。ベトナム料理は北と南で結構異なるものだが、こちらでは両方の良いところを楽しむ事が出来る。料理は全体的に繊細な味わいで、塩気を強めに利かせている。徹底した上品さや抑制を感じつつ、それでいても明らかに個性を感じさせる稀有なベトナム料理だ。

 
ゴイドウドウ(青パパイヤのサラダ) 1,400円
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甘みがやや強めたが、柑橘由来の酸味とのバランスが取れているので気にならない。ナッツでアクセントを付け、パンチを付加しているところが上品。青パパイヤの細切り加減も秀逸。ベースにはヌックマムの香りがしっかり利いている。

 
チャジォ(揚げ春巻き) 3本1,050円
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肉の旨味がとても力強く、噛みしめると旨味がこみ上げてくる。肉肉しいので紫蘇との相性が良い。

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バンセェオ(ベトナム風お好み焼き) 1,600円
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パリパリなバインセオで、皮の食感に魅力がある。

 
牛肉しそ巻き 4個1,200円
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名前は一般的だが、味わいは意外性がある。野菜やせんべいと一緒に頂くと美味しさが増加する。ソースは中華の甜麺醤的な風味とコクがある。

 
ミェン・サォクォア(春雨とカニの炒め) 1,300円
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春雨は硬めに戻し、ヌックマムをしっかり利かせている。かなりの塩気だ。しかし、キノコの風味が奏功し、酒肴的な魅力に満ちている。

 
ミサァオ(やわらかい焼きそば) 1,200円
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これもまた結構な塩気!しかし、後を引く味わい。その所以はビーフンを巧く炒めているからだろう。ベタッとしたところが無く、麺に絡まる水気や油分が極めて控えめ。

 
フォーボー(北ベトナム風のうどん) 1,300円
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実直な旨味…!無化調であるか否かは炒めものや麺類を頂けば直ぐに分かる。調味料では出せない自然の旨味に満ちており、これは必食メニューだろう。
フォーは極細で、牛肉もバッチリ旨い。和牛を使っているようで、素材も一味違う。出汁とヌックマムの風味のバランス、もやしのシャキシャキ感など、総合的な魅力が大きいフォーである。

 
コンタイカムー(釜飯) 1,300円
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無化調なのに強い旨味で、海鮮を用いて出汁を取っているのではないかと思われる。優しい味わいのフォーとは裏腹に、塩気も利かせてパンチある味わい。

 
全体的にメリハリをパキッと利かせたお店だと感じる。よって、料理の組み立て方にセンスを要するだろう。

 

著者 : yuya

手料理も愛するタベアルキスト。ハタチの頃からバックパッカー旅行をしており、世界を丸っと食べ歩き。特に東南アジア諸国と中国が大好きで、屋台メシを食べて、現地の市場で調味料や調理器具を買い付けてくるのが旅の楽しみ。日本国内でも、出来る限り現地に近い味わいのお店を探して日々徘徊。

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※店舗情報やメニュー、価格は初回投稿日(2016年12月12日)時点のものです。訪れる際には予めご確認をお願いします。

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