マレーシア
カルチャー
旅を深めるミニ講座

「ごはん」から始まるマレーシア流「カンケイ」〜後編〜

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ごはんとの出会いの数だけ、人との出会いがある。今回の「旅を深めるミニ講座」では、多数の文化が共存するマレーシアでの食事情、ごはんの楽しみ方について「マレーシアごはんの会」代表の古川音さんに話を伺いました。

 

前編はコチラ!>

 

食文化がミックスした絶品グルメ

民族によって食べるものが違っても、共通の話題で盛り上がりながら一緒のテーブルで食事を楽しむ。そんな光景が日常的な一方で、異なる食文化がミックスして出来上がった料理もマレーシアには多くあるという。

「プラナカンのニョニャ料理がジャンルとして確立していますが、それ以外にも他の民族の料理を自分たちの味付けでアレンジした料理は結構あります。例えば中国系マレーシア人が作るインドカレーが美味しかったり、マレー系マレーシア人が作るお粥の屋台があったり。お粥は中国系の料理ですが、マレー流にアレンジされ、ピリっと辛いサラダや魚の干物が具になっています。これもかなり美味しいですよ」

 

マレーシアのハラル事情

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看板右上にあるのがマレーシアのハラル認証マーク

 

マレーシアの食事上を知る上で、知っておくべきなのが「ハラル」。イスラムの教えで許されたもの、食品ではその作法に沿って加工や調理されたものを指し、不浄とされる豚肉やアルコールなどは禁止されている。日本でもここ最近になり、ハラル対応を始める店が増えているが、多民族が暮らすマレーシアでは「ハラル」と「ノンハラル」、どのように共存しているのか?

「マレーシアには様々な宗教の人が暮らしているので、ハラルでないものも市場に出回っています。そのため、個人にもよっても異なりますが、他のイスラム諸国に比べて厳格なイスラム教徒が多いと言われています。マレーシアでは、ハラルが基本です。なので、ハラルでないもの、ノンハラルを表示しています。例えばスーパーでは、ハムやハラル認証のない加工品はノンハラルに陳列され、レジは別会計。中国系屋台で豚肉を使っているところは見れば分かりますが、レストランで分かりにくい場合は店の入り口『ノンハラル』と表示されています。また、お酒は販売しているが、豚肉は扱っていないというレストランもあり、これらは『ポークフリー』『ノーポーク』と表示されています」

 

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カウンター右の壁にハラル認証マークが貼られている。

 

お酒と言えば、日本では「盃を交わす」という言葉があるほどだが、そもそもお酒を飲む習慣がない場での距離の縮め方はどんなものなのか、気になる。

「みんなお酒を飲まなくても、楽しく盛り上がっていますよ。結婚式ではお酒なしで5時間開催されたり、お酒がなくても馴れれば平気です。人との距離を縮めるという意味では、ごはんがその役割を果たしています」

 

知っておきたいマレーシア流テーブルマナー

何より、ごはんは「みんなで食べる」ものだから会話も自然と弾むのだろう。では、その場をより心地良く過ごすために、知っておきたいのがテーブルマナー。

「マレー系だと、女性、男性がまとまって座るので、例えば結婚式の円卓を囲む場合は、女性—男性—男性—女性—女性—男性というように、カップルは男女、他人同士は同性の人が横に座ることが多いです。また、屋台のマナーとして、肉の骨はお皿ではなくテーブルの上に置いて大丈夫。これは行儀が悪いことではありません。食べ終わったら、店員さんがテーブルの上も綺麗に片付けてくれます。テーブルは大きなお皿、ということなのです」

 

これから旅する人へ…

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最後に、これからマレーシアを訪れる人に向けて、「食」のアドバイスをいただきました。

「マレーシア料理は多種多様なので、とにかく色々食べてほしい。また、ごはんを通して、現地の人と会話してほしいです。マレーシアの方は結構英語が通じるので、気になる料理があれば、店員さんや隣に座っているお客さんに『これ何?tasty?spicy?』と聞いてみてください。食=コミュニケーションの国なので、喜んでいろいろ教えてくれることでしょう。美味しそうなものをじっと見つめていると、もしかするとタダでもらえるかもしれませんよ(笑)。ごはんを通して、ぜひマレーシアを体感してみてください」

 

古川さん

古川 音(ふるかわ・おと)
2005~09年、マレーシアの首都クアラルンプールに滞在。日本人向け情報誌の編集を4年間手がける。現在は日本でフリーランスのライター、プランナーとして活動し、総合情報Webサイト「All About」のマレーシア専属ライター、マイナビニュースでのマレーシアレポートを執筆。日本にいながらアジアを感じる体験型イベント、マレーシアごはんの会、料理教室を主催。また、マレーシアでの体験をふまえて、多民族国家マレーシアの食文化講演等も行っている。

http://www.otofurukawa.com/
http://www.malaysiafoodnet.com/

 

(text:Izumi Kakeya)

 

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