TRIPPING! トップ × ASEAN × 東京に集結!アジアの若手フィルムメイカーが映画に込める想い
2014.11.7 17:26
この著者の記事 コンクリートの雲 タン・ウォン~願掛けのダンス 太陽を失って 映画 東京国際映画祭 破裂するドリアンの河の記憶 雲のかなた
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©2014 TIFF

アジア最大規模の国際映画祭、第27回東京国際映画祭(TIFF)が先日、盛況のうちに幕を閉じた。国内外からバラエティ豊富な作品が揃う中で、新部門として始まった「CROSSCUT ASIA」など数多くのアジア映画も今年は注目を浴び、若手フィルムメイカーたちが一挙に来日を果たした。映画を通して母国の「いま」を切り取る彼らが残していったメッセージとは――?

 

「ドリアンは、マレーシア人を象徴するもの」

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『破裂するドリアンの河の記憶』©Greenlight Pictures ©Indie Works/エドモンド・ヨウ監督 ©2014 TIFF

TIFFのコンペティション部門にマレーシア映画で初めて出品された『破裂するドリアンの河の記憶』。本作では、マレーシアの海辺を舞台に、自然環境を脅かす工場の建設反対を巡る人々の葛藤、そこに巻き込まれていく地元高校生たちの繊細な心情の交錯が描かれている。

その中で象徴的にたびたび登場するのが、マレーシアを代表するフルーツの一つ、ドリアン。国内でも好んで食す人もいれば嫌う人もいるそうだが、エドモンド・ヨウ監督によると「臭いは強烈だけど味は甘くて美味しいドリアンは、外見はインパクトがあるけど中身は優しいマレーシア人のことを象徴するもの」とのこと。本作を通して「真のマレーシアを味わってもらいたい」という思いがあり、都市部のジョホールバルから自然豊かなキャメロンハイランドまでマレーシア国内を縦断して撮影を行ったという。

また、本作中盤から高校生たちが政府の権力によって弾圧された人々の歴史を学ぶシーンが織り込まれているが、「映画は、政治的な事情で教科書で語られることのない歴史を語り継ぐツールの一つ。同じような歴史が繰り返されてしまうのか、それとも変化していくのか、映画を通して問いかけたい」という監督。この作品も実際に起きた事件を基にしているが、その中で「マレーシア人がどのような希望をもっているか知ってもらいたい」と語っていた。

 

「母国の“忘れ去られたもの”を描きたかった」

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『雲のかなた』©EPICMEDIA, UNLIMITED, 2014/ペペ・ジョクノ監督 ©2014 TIFF

フィリピン映画を代表して「アジアの未来」部門に出品された『雲のかなた』では、2009年に多大な被害をもたらしたケッツァーナ台風にインスピレーションを得て、弱冠27歳のペペ・ジョクノ監督が自然の脅威と隣り合わせである母国における人々の喪失と希望を描いている。
「フィリピンは毎年、台風など多くの自然災害が起きており、ケッツァーナ台風では何百人もの方が亡くなりました。でも私たちはそういう苦難を日々乗り越え、立ち向かわなければなりません」。

その一方で、ジョクノ監督はこうした自然災害が多発する原因について、「フィリピンは自然に恵まれた国ですが、森林伐採のせいで緑地が激減しています。災害が多いのは、環境や文化の保護に対する意識が低いから」と指摘。失われていく自然、そして伝統文化など自国の“忘れ去られた古いもの”に思いを馳せる。

 

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(左)『タン・ウォン〜願掛けのダンス』©Song Sound Production
(右)『太陽を失って』©kepompong gendut and © soda machine films

急速な経済の発展や環境の変化によって変容していく母国のアイデンティティに対する思慕やジレンマの描写は、本作以外にもアジア各国から出品された作品に多く見られた。例えば、タイ発の『タン・ウォン〜願掛けのダンス』では、願掛けをきっかけに初めて伝統舞踊に挑む高校生たちの姿を通して、タイ独自の価値観について観客に問いかけている印象を受けた。

また、海外で映画製作の技術を学び、自国で活躍する若手クリエイターが多いことから、彼らが海外から自国に戻ってきたときに受けた衝撃や逆カルチャーショックから着想を得た作品もちらほら。インドネシア作品の『太陽を失って』では、急激に変化する都会ジャカルタが主人公の一つとなっていたり、『コンクリートの雲』では経済危機の最中に帰国した時の街の変貌ぶりから受けた衝撃が原点になっているという。

 

「若い才能、インディーズの力に期待」

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「タイ映画の現在進行形〜ニューリーダーたちは語る」より ©2014 TIFF

『コンクリートの雲』の監督リー・チャータメーティクン(写真左)は、今回タイの映画プロデューサーであるヨンユット・トンコントーン氏とアーティット・アッサラット氏と共に「タイ映画の現在進行形」というテーマでトークセッションにも登場。アメリカで培った経験をいかに生かして、自国で制作スタジオを設立し活動しているかという経緯などを語っていた。

元々、タイはハリウッド映画のポストプロダクションとして制作環境の土壌を育てていった背景があるが、現在の映画産業事情については、日本と同じように映画人口の減少や、メジャー大作とインディペンデント作品の二極化が課題となっているとのこと。ただ一方で、実はタイ映画に関してはインディペンデント映画の方がメジャー作品よりも劇場動員が良いそうで、壇上のニューリーダーだちは20代の若い映画監督たちが芽を出していることに強い期待を寄せていた。

 

映画を通して自国の文化をアピールしていった若きフィルムメイカーたち。彼らの迷いのない言葉から強いエネルギーを感じた人も少なくないはず。まだまだ日本の劇場で作品を観られる機会は少ないが、今後の彼らの活躍が楽しみだ。

 

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(text:Izumi Kakeya)

 

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