近畿
ホテル/宿泊
京都の伝統文化と現代デザインが交差する

祇園白川に佇む隠れ家的ラグジュアリーホテル「THE SHINMONZEN」

最上階のスイート「SUISHO」(68㎡)。広々としたプライベートバルコニーを有し、家族連れも多く滞在するという。 ©︎TRIPPING!

 
ワールドクラスのホテルブランドが続々と進出を遂げている京都に2021年、「THE SHINMONZEN(ザ・シンモンゼン)」がオープンした。南仏プロヴァンス「ヴィラ・ラ・コスト」の姉妹ホテルとしても話題のホテルは、建築家・安藤忠雄氏が設計・デザインを手掛けた。京都の伝統と現代的なデザインが織りなす洗練されたホテルに今、世界中から注目が集まっている。

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祇園白川を臨む優美なスモールラグジュアリーホテル

通りからは街並みに溶け込むよう2階建に見える造り。実は4階建の建物。 ©︎THE SHINMONZEN

「THE SHINMONZEN」があるのは、古美術の街として知られる新門前通り。傍らには祇園白川が流れ、落ち着きのある優雅な場所に隠れ家のごとくひっそりと佇む。「日本の旅館からインスパイアされたホテル」のコンセプトの通り、京都らしい日本古来の伝統文化を守りながらも、旅行者がリラックスできる西洋のライフスタイルに合わせたホテルを作り上げた。


祇園白川を臨むテラス。目の前には白鷺や青鷺などの野鳥も。 ©︎TRIPPING!

さらに館内には、現代アーティストによるアート作品が至るところに展示されていてまるで現代ミュージアムよう。すべてオーナーであるパディ・マッキレン氏のプライベートコレクションというから驚きだ。エントランスから繋がるコリドーの壁面には、イギリス人現代アーティストのダミアン・ハースト氏の「Cherry blossoms(桜)」を展示。すでに名声を得ているアーティストの作品のみならず、ベトナムや日本の新進アーティストの作品が多く展示されているのも魅力のひとつ。


(左)各フロアごとに様々なアーティストの作品が展示されている。こちらは安藤忠雄氏の建築写真作品。椅子はパディ氏がデザインしたオリジナル。(右)日本人アーティストの作品も多くみられる。名和晃平氏の作品も。 ©︎TRIPPING!


(左)世界的なアートコレクターでもあるパディ・マッキレン氏は若手の発掘にも尽力している。こちらはベトナム人作家の刺繍作品。(右)英国人フォトグラファー、メアリー・アンナ・マッカートニー氏による作品「GEISHA」が並ぶ。 ©︎TRIPPING!

 

和洋で織りなす全室スイートの客室

©︎THE SHINMONZEN

客室は9つのスイートで、そのすべてに祇園白川の煌きが眼下に広がるバルコニー付き。連なる障子やヒノキ風呂といった日本の伝統的な趣と、一枚岩の大理石カウンターをはじめとする自然物を用いた設えがアクセントのコンテンポラリーなインテリア……それらが美しく調和した空間からは「古都の伝統を忠実に守りつつ、現代の新たなライフスタイルに合うような空間を創ることを意図した」という建築家・安藤忠雄氏のメッセージが感じられる。

©︎THE SHINMONZEN

客室の扉を開けると、広々としたエントランススペースと、それに繋がるように開放的なクローゼットが配され、その先にリビングとベッドルームが続く。どこもゆったりと落ち着いた雰囲気で、心安らぐ空間。日頃の疲れ、街の喧騒を忘れてプライベートな時間を過ごすことができる。


(左)海外のハネムーナーに人気の「WASHI」(40㎡)。二人で過ごすのにぴったりなミニマムな1ベッドルーム。(右)9つのスイートの中で唯一畳の部屋がある「KINU」(80㎡)。モダンな日本の旅館スタイルをヒントに作られた一室。布団には京都を代表する高級寝具ブランド「イワタ」の布団を採用している。©︎THE SHINMONZEN


(左)ソファや椅子には、ベトナムを拠点とするライフスタイルブランド「District Eight」のものを採用している。(右)エントランスからシームレスに繋がる大容量のウォークインクローゼット。こちらは「KIKU」。©︎THE SHINMONZEN

室内にも至るところにアート作品が展示されている。部屋ごとに異なるアーティストの作品はどれもユニークで美意識に語りかけるものばかり。


(左)アニー・モリス氏によるキャンバスと糸のみの作品。(右)DD(Do not disturb)カードの代わりに用意されているのはベトナムのアーティストの作品。©︎TRIPPING!

客室には、滞在中にゲストの心を掴むものがさまざま用意されている。Pedersoli社のオーガニックリネンとタオルは姉妹ホテルの南仏「ヴィラ・ラ・コスト」で使われているもの。バスローブとパジャマにはPloh社のアイテムを採用。さらにオリジナルのオーガニックバスアメニティには、京都の草花から精製されたアロマオイルを香り付けに配合している。品選びには、オーナー・パディ氏と支配人・カトリーナ氏の強い想いが込められていて、とにかく時間がかかったそう。高品質であることはもちろん、京都らしいもの、環境に配慮されているもの……こだわり抜かれた品々に囲まれ、心地いい滞在を堪能できるはず。


(左)バスルームアメニティには日本古来の美容法に着想を得て開発された「DAMDAM」を導入。米ぬかやこんにゃく、しそといった自然由来の成分が配合されている。 (右)デンタルアイテムはイタリア「MARVIS」と竹製歯ブラシ「BAMBOONE」がラインナップ。ラグジュアリーホテルの中でいち早く「BAMBOONE」採用を決めたのがTHE SHINMONZEN。©︎TRIPPING!


(左)ミニバーには厳選された京都の銘菓、銘茶が並ぶ。(右)家族旅行に嬉しいキッズ用のアイテムも充実。左から食器&カトラリー、ヴィラ・ラ・コスト オリジナルのぬりえ。ファミリアのぬいぐるみはプレゼント。©︎TRIPPING!

 

モダンフレンチの巨匠ジャン・ジョルジュ氏による京都初のレストラン

©︎TRIPPING!

2023年には、ホテルのシグネチャーレストランとして、モダンフレンチの巨匠ジャン-ジョルジュ氏による「Jean-Georges at The Shinmonzen(ジャン-ジョルジュ アット・ザ・シンモンゼン)」がオープンした。「地元の食材をふんだんに使用し、フレンチ、アメリカン、アジアンを融合させた季節ごとに常に変化する、繊細で優美な逸品を提供すること」をコンセプトにかかげ、京野菜をはじめ地元京都の食材、さらに日本の良質な食材が厳選されていて、世界各国に展開する「Jean-Georges」の中でも、京都ならではのメニューを楽しむことができる。


ディナーは月替わりまたは季節替わりのおまかせコース(6皿22,000円〜、8皿28,000円〜)に加え、アラカルトメニューも。宿泊客以外も利用可能。©︎TRIPPING!


朝食も「Jean-Georges at The Shinmonzen」が提供する。「Jean-Georges」の朝食が食べられるのはロンドンの「Jean-Georges at The Connaught」とここだけ。レストランもしくは客室で。©︎TRIPPING!

ほっと一息つくなら、サイフォンコーヒー日本チャンピオン(世界第2位)のバリスタ・矢橋伊織氏が入れるサイフォンコーヒーを。コーヒー豆は京都発祥のブランド「%アラビカ」によるオリジナルブレンド。時間の経過とともに、香りと味わいの変化を楽しめる一杯を楽しめる。

 

京都らしい体験を特別な思い出に

京都ならではの特別な時間を提供しているのがゲストエクスペリエンスチーム。寺院での坐禅体験や花街のお茶屋さん体験、町屋の見学など、貴重なアクティビティを用意している。昨年の夏には「祇園祭ツアー」を実施。大迫力の神輿渡御を間近で見学したり、八坂神社からの神輿の出発に立ち会ったりと、祇園祭をより深く知り伝統を楽しむ、今までにない催しを実施した。

 
「緊張してしまうようなラグジュアリーは目指していないんです。」そう語ってくれたのはゲストエクスペリエンスマネージャーのルナ氏。滞在中に印象的だったのは、また会いに来たくなるフレンドリーで笑顔が素敵なスタッフの方々ばかりだったこと。スタッフの多くに外国人を迎えていて、“気遣い”の日本のおもてなしと同時に、“心遣い”に溢れるサービスの数々に触れることができた。「THE SHINMONZEN」での滞在は、特別な旅の記憶として心に刻まれることに間違いない。

 
取材・文/田中亜衣 写真/曽我美芽

 
■THE SHINMONZEN(ザ・シンモンゼン)
〒605-0088京都市東山区新門前通西之町235
https://theshinmonzen.com/
075-533-6553

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