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ソウルから日帰りで訪れたい8件の世界遺産

昌徳宮(チャンドックン)にある敦化門(トンファムン) photo:世界遺産イェーイ!

韓国の首都ソウルといえば、グルメにショッピング、エステを楽しむというイメージがありますが、実はソウルを拠点にして日帰りで訪れることのできる世界遺産が8件もあるのをご存知でしょうか?韓国には現在世界遺産が14件あるので、その半分以上となります。今回の記事では、ソウルから訪れることのできる世界遺産8件をご紹介します。

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1. 宗廟


正殿 photo:世界遺産イェーイ!

まず1件目にご紹介する宗廟(チョンミョ)は、朝鮮王朝の歴代の王と王妃の位牌が奉られている霊廟で、1395年に朝鮮王朝の太祖(テジョ) 李成桂(イソンゲ)によって建てられました。儒教の影響を受けて造られた正殿や永寧殿(ヨンニョンジョン)は、独特の横長の建築様式が印象的です。


正殿の柱 photo:世界遺産イェーイ!

15世紀から歴代王朝の祭祀が行われていることでも知られており、現在でも李王家の末裔の方々が「宗廟大祭(チョンミョデジェ)」と呼ばれる祭祀を毎年5月に行います。宗廟は1995年に世界遺産に登録され、宗廟大祭は2009年に無形文化遺産に登録されています。自由に見学できるのは、土曜日のみで、土曜日以外は無料のガイドツアーで見学することができます。ガイドツアーは日本語もあり、とても詳しく教えてくれるのでおすすめです!


photo:世界遺産イェーイ!

宗廟

分類 文化遺産
登録 1995年
登録基準 「建築技術」
アクセス 地下鉄1、3、5号線 鐘路3街駅から徒歩5分

 

2. 昌徳宮


仁政殿(インジョンジョン) photo:世界遺産イェーイ!

昌徳宮(チャンドックン)は現在ソウルに現存している中で最も原型が残っている朝鮮王朝時代の宮殿。朝鮮王朝の太宗(テジョン)が、正宮である景福宮(キョンボックン)の離宮として建てました。正門の敦化門(トンファムン)や、正殿である重層入母屋造の仁政殿(インジョンジョン)など貴重な木造建築が見どころです。


秘苑(ビウォン) photo:世界遺産イェーイ!

また、宮殿の北半分を占める秘苑(ビウォン)という庭園も訪れて頂きたいスポットのひとつ。美しい宮殿と、豊かな自然が残された庭園を堪能できます。

昌徳宮(チャンドックン)、宗廟(チョンミョ)に、景福宮(キョンボックン)、昌慶宮(チャンギョングン)、徳寿宮(トクスグン)を加えたものがソウルの五大宮と呼ばれています。ソウルの五大宮の中で2件が世界遺産に登録されています。

昌徳宮

分類 文化遺産
登録 1997年
登録基準 「文化交流」、「文明の証拠」、「建築技術」
アクセス 地下鉄3号線安国駅から徒歩5分

 

3. 水原の華城


八達門 photo:世界遺産イェーイ!

ソウルから南に約40kmの水原(スウォン)にある華城(ファソン)は、朝鮮王朝の正祖(チョンジョ)がソウルからの遷都を計画し築かれた美しい城郭です(実際は遷都されませんでした)。周囲約5.5kmの城郭内にある東西南北の4大門(八達門、華西門、長安門、蒼龍門)を含めた40箇所以上の建造物が世界遺産として登録されています。華城を見学した後は、水原名物の炭火で焼いた大ぶりのカルビを味わってみてはいかが?


華西門 photo:世界遺産イェーイ!

水原の華城

分類 文化遺産
登録 1997年
登録基準 「文化交流」、「文明の証拠」
アクセス ソウル駅から水原駅まで鉄道で約30分(地下鉄なら約1時間)。水原駅から華城までバスで約10分。

 

4. 高敞、和順、江華の支石墓跡


photo:世界遺産イェーイ!

韓国内の3箇所(高敞、和順、江華)に点在している支石墓は、先史時代に造られたものです。支石墓とは巨大な石を別の石で支えたお墓のこと。支石墓は全世界に残されていますが、その半数が韓国にあります。ソウルからアクセスできるのは、ソウルの北西、江華島(カンファド)にある支石墓。バスで片道約2時間なので、日帰りで行くことができます。

高敞、和順、江華の支石墓跡

分類 文化遺産
登録 2000年
登録基準 「文明の証拠」
アクセス ソウルから江華島までバスで約2時間。江華島から支石墓までバスで約15分。

 

5. 朝鮮王朝の王墓群


宣陵(ソルルン) photo:世界遺産イェーイ!

世界遺産に登録されているのは、朝鮮王朝時代の王族のお墓40基。自然との調和が重視された王墓は18カ所に点在していますが、ソウルからのアクセスが良いのは江南地区に位置する宣陵など。王や王妃の遺体は王墓に安置されましたが、霊魂(位牌)は先程ご紹介した世界遺産「宗廟」に祀られました。それぞれの世界遺産の関連も興味深いですね。


石像がお墓を守っています photo:世界遺産イェーイ!

朝鮮王朝の王墓群

分類 文化遺産
登録 2009年
登録基準 「文明の証拠」、「建築技術」、「出来事や宗教、芸術」
アクセス 地下鉄2号線、盆唐線 宣陵駅から徒歩5分

 

6. 南漢山城


敵を監視する「守禦将台」 photo:世界遺産イェーイ!

南漢山城(ナマンサンソン)は朝鮮王朝によって、非常時に臨時の首都として機能するように造られた山城。ソウル市内から25kmほど離れた山岳地帯にあります。要塞としての機能も持つため強固な造りになっています。ハイキングコースも整備されているので、登山を楽しみながら山城を観光している地元の方で賑わっていました。山頂からはソウル市の全景を一望することができます。


堅牢な造りの北門 photo:ひさほゆう

南漢山城

分類 文化遺産
登録 2014年
登録基準 「文化交流」、「建築技術」
アクセス ソウル中心地から地下鉄8号線で山城駅まで約50分。山城駅からバスで約15分

 

7. 百済の歴史地区


公山城跡 門の中には鮮やかな虎の絵が描かれているphoto:世界遺産イェーイ!

5世紀から7世紀にかけての百済王朝後期を代表する8つの遺跡から成る世界遺産。その中でもぜひ見ておきたいのが、かつて百済の都であった「公州(コンジュ)」を守るために建てられた城郭「公山城(コンサンソン)跡」と、武寧王など王族を埋葬した墳墓群「宋山里(ソンサンニ)古墳群」です。この2つを訪れるには、ソウルからバスで約1時間半の公州を拠点にします。


宋山里古墳群の武寧王陵 photo:世界遺産イェーイ!

武寧王陵からは数多くの装飾品が出土しました。宋山里古墳群に隣接した国立公州博物館では、それらの出土品が展示されています。

公州からは次にご紹介する世界遺産「山寺(サンサ):韓国の山岳僧院群」の構成資産の1つ「麻谷寺(マゴクサ)」にも行くことができます。

百済の歴史地区

分類 文化遺産
登録 2015年
登録基準 「文化交流」、「文明の証拠」
アクセス ソウルから公州までバスで約1時間半。公州バスターミナルから公州城まで車で約5分。宋山里古墳群までは車で約10分。

 

8. 山寺(サンサ):韓国の山岳僧院群


麻谷寺 photo:世界遺産イェーイ!

最後にご紹介するのは「山寺(サンサ):韓国の山岳僧院群」です。韓国内にある山の中に建てられた7つのお寺が、2018年世界遺産に登録されました。ソウルから日帰りで行けるのは公州にある「麻谷寺(マゴクサ)」。お寺を取り囲む山との調和が見事な、落ち着いた佇まいのお寺です。


麻谷寺 photo:世界遺産イェーイ!

筆者が訪れた時は、たまたま冬で観光客が少なかったようで、静かな環境でゆっくりと拝観することができました。

山寺(サンサ):韓国の山岳僧院群

分類 文化遺産
登録 2018年
登録基準 「文明の証拠」
アクセス 公州バスターミナルから車で約1時間

以上ソウルから訪れることのできる8件の世界遺産をご紹介してきました。8件の世界遺産を日帰りで訪問できる都市というのは珍しく、恐らくアジアではソウルが最多ではないでしょうか。なかなか8件全ては難しいかもしれませんが、今回ご紹介した世界遺産をぜひ訪れてみて下さいね。

(text : 鈴木かの子)

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