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グルメ
ポルトガルの香り漂うクディチン旧市街の一軒

バンコクで「サイアムポルトガル料理」を堪能できる隠れ家レストラン

今回はバンコクリピーターやタイ料理上級者におすすめしたい、隠れ家中の隠れ家レストランをご紹介!
チャオプラヤー川の対岸、トンブリーと呼ばれる地区にあるクディチン旧市街は、200年以上前、カンボジアとの紛争地帯から逃れて来たポルトガルやフランスからの宣教師たちが移り住み栄えた場所。今でもその頃の香りを残すクディチン地区で知る人ぞ知る名店としてひっそりと営業しているのが、「サイアムポルトガル料理」を出すここ、Baan Sakhulthonです。1日1組限定、週末しか営業しないスペシャルな空間で、ここにしかない特別な料理を堪能しましょう!

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オーナー家族が暮らす古民家でアットホームなおもてなし
「Baan Sakhulthon」


コースには前菜4品、メイン4品、デザート1品が含まれる 著者撮影

ここ数年、バンコク在住日本人の間でもその名前を耳にすることが増えたクディチン地区。かつてポルトガルからの宣教師が布教することを許されていた地区で、独特のポルトガル文化が栄えていたと言われる旧市街です。当時はポルトガルのほか、中国圏やイスラム圏の人たちも多く暮らしていたため、タイの文化とそれらの文化が混ざり合い多様性に富んだ独自の文化が育まれていったのだとか。

著者撮影

教会や寺、博物館などが点在しさまざまな文化の歴史に触れられるとあり、日帰り観光地のひとつとしてタイ人の間でも人気が高まっているクディチン地区ですが、意外と知られていないのが、サイアムポルトガル料理が食べられるBaan Sakhulthonの存在。ポルトガルとタイ、中国にルーツを持つオーナー家族が、自宅の2階をプライベートダイニングとして1日1組限定で開放。ファミリーに伝わるレシピで作るオリジナルコース料理でおもてなししてくれます。


前菜4品盛り合わせ 著者撮影

こちらのレストランでサイアムポルトガル料理として提供しているのは、宮廷料理にルーツを持つ伝統的なタイ料理に、ポルトガル料理、さらに中華系タイ料理のテイストを加えたもの。オーナーの先祖がタイ国王の料理人だったことや祖母がタイとポルトガルのハーフだったこと、そして祖父は中華系タイ人だったことから、3つの文化が混ざり合った独特のレシピが家族の味として受け継がれているそう。


カノムチーン ゲーンガイクア 著者撮影

タイ宮廷料理でもおなじみのメニューが並ぶ前菜とうって変わって、メインの4品はポルトガル色が感じられるものばかり。発酵させて作る米麺、カノムチーンにトマトとチキンのソースをかけて食べる「カノムチーン ゲーンガイクア」は、トマトソースのパスタをルーツに生まれた一品。タイでよく食べられているカノムチーンのソースに比べるとクセがなく、食べるほどにしみるその味わい深さは、まさに家庭料理そのもの! 添えられたチリソースを加えると、キリッと洗練された味わいに変わるのも印象的です。


ムートムケム 著者撮影

トムマファット 著者撮影

そして、2品登場する煮込み料理も絶品! トマトとジャガイモが入ったムートムケムは、ポルトガルのスープがルーツ。ほろりと柔らかく煮込まれた豚肉の旨みをブラウンシュガーやシユダムのコクと甘みがしっかりと引き立てて、後を引くおいしさです。また、キャベツなどの野菜を長時間煮込んだトムマファットは、タイ中華のジャップチャーイをベースにしているのだとか。野菜の甘みをしっかりとまとった豚バラと鶏肉が、なんとも奥深い味わいに。どちらも日本の煮物とも通ずる滋味深さで、タイ米が怖いくらいに進みますよ!


オーナー家族が暮らす古民家の2階がダイニング 著者撮影

著者撮影

前菜、メインはもちろん、デザート、添えられたソースに至るまで、すべてホームメイドにこだわるBaan Sakhulthonは、クディチン地区ならではの料理を堪能できる場所。タイ北部や南部など地方料理のレストランはいくらでもあるバンコクですが、こういった独特の文化を感じられる店はなかなかないので、普通のタイ料理では満足できない!という方はぜひ訪れてみてくださいね。ご紹介したコースは1人700THB(ただし少人数の場合は別料金あり)、2日前までに要予約(英語可)、基本的には週末のみ営業です。もう少し軽めのコースもあるので、気になる方は問い合わせてみてください。


Baan Kudhichin Museum 著者撮影

Baan Kudhichin Museum 著者撮影


街のあちこちに多文化の影響が感じられる 著者撮影

食事の前後は、ぜひクディチン地区の散策も楽しんで! クディチン地区の歴史がわかる博物館や教会、寺など、興味深いスポットや絵になる場所が点在しているので、歴史好きや写真好きなら半日くらいは時間を取って訪れることをおすすめします。


クディチン地区のシンボル、サンタ クルーズ教会 著者撮影

 
(text & photo : 白石路以)



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