ラオス
カルチャー
東南アジアと日本の絆

ラオスを走る日の丸付きバス!タイ国境とヴィエンチャン中心部を繋ぐ

著者撮影

東南アジアの大河、メコン川を挟んで隣り合うラオスとタイ。タイからラオスの首都・ヴィエンチャンに陸路で渡るには、イサーン地方(タイの東北地方)最北部のノンカーイ県が入り口となる。多くの外国人が並ぶイミグレーションを通り、メコン川にかかる全長1キロ強のタイ・ラオス友好橋を専用のバスで渡れば、そこがもうヴィエンチャンだ。

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ラオス側のイミグレーションを抜けると、トゥクトゥクや乗合ヴァンなどの客引きがいっせいに声をかけてくる。ヴィエンチャンの中心部までは20キロほどの距離があり、何かしらの移動手段が必要となるからだ。

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タイ国境とヴィエンチャン市街を結ぶ交通手段の一つに黄緑色の公共バスがある。東南アジアの国々を走るものとしては新しく清潔感を感じるその車体に目をやると、あることに気がつく。フロント部分と両サイドの3箇所にはっきりと日の丸が描かれていることだ。

東南アジア諸国では、日本のODA(政府開発援助)などによって提供されたものに日の丸が描かれているのは珍しいことではない。だが、ヴィエンチャンを走るそのバスにある日の丸は、その中でも特別に日本人の心に響くものがある。全ての日の丸の下に、こんなメッセージが記されているからだ。

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「From the People of Japan」

単に「From Japan」ではなく「the People of 」とあることによって、無機質な印象ではなく私たち日本国民一人ひとりから贈られたものであることをより実感させてくれる。「日本のみなさんから」というその表現から、ラオスの人たちの温かさが伝わってくるようだ。

現在、日本はラオスに対する最大の援助国として良好な関係を築いている。同国への経済協力は1958年10月に行われた日・ラオス間の経済協力協定から始まり、現在までラオスの開発に大きな貢献を果たしてきた。1965年に日本の青年海外協力隊が初めて派遣された国でもあり、両国関係の歴史は長い。

ヴィエンチャンを走る公共バスは、2011年3月に約5億円の無償資金協力として提供された。ヴィエンチャンでは市民の足としてバスの需要が増えていたにも関わらず老朽化した車両での運行が続いていたため、燃費効率がよく環境にもやさしい日本製のバス42台を提供。さらに、整備や修理用機材の調達というかたちでも支援が行われた。

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日本の協力によってヴィエンチャンにおけるバス交通の安全性が確保され、渋滞の緩和や事故の抑制などの面でも効果があらわれている。ヴィエンチャン在住で政府関係の職に就くヴィーナ・ゴーンヴォーララットさんは、日本から贈られた42台のバスについて次のように語ってくれた。

「あれらのバスが日本からいただいたものであることは、市民たちの間でよく知られていると思います。他の交通手段と比べて料金も安く、特に低所得者層にとっては生活に欠かせないものになっています。日本に対しては、いつもラオスに多くのものを提供してくれるフレンドリーな国、という印象を持っています」

このバスに限らず、ヴィエンチャンの街を歩いているといくつかの場所で日の丸を目にすることができる。日本とラオスの両国旗が並べられ、日本の支援に対する感謝の意が記された碑なども建てられており、ラオスの人たちの律儀さが心にしみる。

 
ヴィエンチャンを訪れた際には、タイ国境と市内の中央バスターミナルを結ぶ日の丸付きのバスをぜひ探してみてほしい。そこに記されたメッセージに触れると、ラオスの人たちの温かい気持ちとともに日本人としての誇りも感じることができるだろう。

 
(text : 本多 辰成 )

 
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