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妙なる美の布に出会う旅 〜インドネシア ジャワ島中部〜

Amanjiwo - Lobby
©Aman

日本では、ジャワ更紗とも呼ばれる、ろうけつ染めの布バティック。古くからインドネシア各地で作られ、2009年には、ユネスコの世界無形文化遺産に指定されている。

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バティック  著者撮影

主産地のジャワ島でも、各地に、それぞれの歴史を誇るバティックがある。より深く知り、良いクオリティのものを手に入れるなら、旅立ちたいのは、ジャワ島中部の古都ソロとジョグジャカルタへ。

 

老舗の工房「グナワン・スティナワン」を訪ねて

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「グナワン・スティナワン」の女性職人   著者撮影

ソロは、今も、のんびりとしたよい風情を残す街。人力車ベチャが、まだ人々の足として機能している。カスナナン王宮の近く、細い路地が縦横に続くカウマン地区のバティック村は、王宮御用達のバティック職人たちが集まっていたエリア。ショッピングができる工房も多い。老舗の工房「グナワン・スティナワン」では、バティック製造の様子を見学できる。女性の手描き職人が、チャンティンという筒状の銅製の道具に熱いロウを入れ、細かな点や線、面を、正確にゆっくりとロウ置きしてゆく様子は、まるで何かの修行のようでもある。

 

深い意味を持つバティックの紋様

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ダナール・ハディ アンティーク・バティック博物館   著者撮影

ソロで、ぜひ訪れたいのは、「ダナール・ハディ アンティーク・バティック博物館」。インドネシアの三大バティック企業のなかでも、中国系ではなくジャワ系オーナーによる経営で知られ、館内には、貴重な古いバティックが数多く展示されている。中部ジャワを中心に、インドネシア各地のバティックの歴史を、クロニクル的に知ることができるのが興味深い。中部ジャワの伝統紋様は、ジャワ王家に由来する幾何学模様が多いのが特徴。短剣クリスを図案化した、王権を象徴するS字の連続模様『パラン』。若芽や発芽を意味する『スメン』は、ジャワの精神世界観を表現し、植物の芽を様式化した点描とともに、霊山、炎、玉座、船、生命の樹などが描かれている。すべてのバティックの紋様は、美しいだけではなくて、深い意味を持っている。

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ダナール・ハディ アンティーク・バティック博物館   著者撮影

 

ジャワ美術の中心ジョグジャカルタへ

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ジョグジャカルタの王宮   著者撮影

ソロから車で約1時間のジョクジャカルタは、伝統的なジャワ美術の中心地。まずは、ジョグジャカルタ王宮を訪ねてみよう。王宮内には、インドネシア独立に貢献した名君ハメンク・ブオノ九世の博物館のほかに、バティック博物館もあり、王家とバティックの関連性がよくわかる。ショッピングなら、繁華街のマリオボロ通りへ。クラシカルなものから、伝統柄をポップにアレンジしたものまで、通りの左右に数多くの店が並び、目移りしながらの買い物も楽しい。

バティックビジネスが盛んなジョグジャカルタでは、工房もどんどん進化している。伝統を踏まえながらも、ファッション性の高い高級バティックを生産する注目ブランドが、「バティック・ニョニャ・インド」。天然染料と科学染料とを巧みに用いた、鮮やかで華やかな布は、なかなかにファッショナブル。ジャワ、ヒンドゥー、中国、イスラムなど、さまざまな文化が融合する、今のインドネシアを具現化するかのような、優雅なバティックだ。

 

神聖な雰囲気に包まれる「アマンジウォ」にステイ

Amanjiwo - Exterior at Dusk
©Aman

王宮や博物館を訪れて、美しい布を見て、触れて、ジャワ文化の片鱗を感じたら、ステイは、「アマンジウォ」で。

Amanjiwo - Dalem Jiwo Suite
©Aman

ボロブドゥール寺院遺跡群に近く、断崖絶壁の山々の側に建つ「アマンジウォ」は、リゾートとは言え、どこか神聖な雰囲気に包まれている。鬱蒼と繁る密林の中に現れる、ボロブドゥール寺院の建築様式を取り入れた建物。銀色に輝く天井を備えた、荘厳な円形の本館は、どこか儀式の場のようでもある。施設のそこそこに配されたバティックも、もちろん美しく、本物の価値を放つものばかり。

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©Aman

翌日、「アマンジウォ」の宿泊者だけに許された特権として、早朝まだ暗いうちからボロブドゥール寺院へと入ることができる。世界最大級の仏教寺院から拝む朝日は、心身を浄化し、新しいエネルギーで満たしてくれるようだ。

 
ジャワ島中部で美を探す旅は、自己の内面へと気持ちを向ける旅でもある。

 
AMANJIWO(アマンジウォ)
住所:Ds. Majaksingi, Borobudur, Magelang , Central Java, Indonesia
電話:(+62) 293 788 333
HP :www.aman.com/resorts/amanjiwo/

 
(text : 坪田 三千代)

 
大人の東南アジアご褒美旅 〜テーマとスタイルのある旅〜
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