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勝手にベトナム観光開発局

憑かれても責任は持ちません!ベトナムの心霊スポットめぐり

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著者撮影

いきなりですが!あなたは幽霊を信じますか?
あ、大丈夫です。私はそういう商法の者ではありません。ネルソン水嶋です。

そもそも私はいてもいなくてもどっちでもいいんですが、ベトナムでは日本と同じくらい、いやもしかしたらもうちょっと強めに?幽霊は信じられているようです。ベトナムの幽霊観はほぼ日本と同じ、しいて言えば恨めしく襲ってくるというよりは生前の姿でブラブラしているという印象らしい。

そして、「あそこは出る」と言われる、いわゆる心霊スポットもあります。全国各地に点在しているので、時間のある方は清め塩でも片手に、北から南に(はたまた逆に)巡ってみても良いかもしれません。

 
はい、そんな訳で今回はベトナムの心霊スポットをご紹介!
わざわざ樹海や廃屋に立ち入る必要もありませんよ!観光ついでにサクッとTA-TA-RA-RE!

 

噂が先行?市民で賑わう公園の夜の顔|ホーチミン

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夜のタオダン公園。左端にいる人影は何を隠そう、私です。幽霊じゃありません。著者撮影

ホーチミン市のど真ん中にある公園。朝は体操やスポーツに健康的な汗を流す人々で溢れ返っており、一見すると平和な雰囲気が漂っております。しかしここ、「夜な夜な、別れた恋人を探し彷徨う男の幽霊が現れる」…という噂が存在するのです。

噂の出どころは、イギリスの旅行ガイドブックのサイト上で公開された「世界の注目するべき心霊スポット」という記事なのですが、されども残念!地元の新聞記者が周辺住人たちに聞いたところ、「聞いたこともないわそんなん」といった回答を得られたとのこと。

十中八九、根も葉もない噂話だと思いますが、もしかしたら地元住人全員が隠し通しているという、推理小説のテンプレート的な可能性も捨て切れません!?ちなみに、実際に夜に行ったことがありますが、ベンチでイチャつくカップルたちしかおらずとってもイラッとしました。それにしても、そんな中で別れた恋人を探しているって、なかなかハートの強い幽霊ですね。心臓あるのか?幽霊。

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タオダン公園
住所:Tao Dan Park, Nguyen Thi Minh Khai, P.Ben Thanh, TP.HCM

 

実在しないはずの娘の幽霊が出る美術博物館|ホーチミン

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心霊スポットだと気付かず訪れている人も多い?ホーチミン市美術博物館   著者撮影

ベンタイン市場から徒歩5分圏内にある美術博物館。至って普通に、チケットを買って入館でき、外国人でも1万ドン(53円程度)とお安いらしい。ここが心霊スポットと言われるようになった経緯は非常に至ってシンプルなものであり、それは…ホラー映画の題材となったから。

それも今から40年以上前の作品で、下手に時間が経ったがためにフィクションとノンフィクションが混同してしまったのでしょう。幽霊については「主人の娘が病に倒れて亡くなり、今でもアオザイ姿で廊下を歩く…」ともっともらしく語られていますが、そもそも館の主人には娘がいなかったことが判明しています。じゃ、一体誰なんだ。絶対にアオザイ姿の一般人だよ。

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ホーチミン市美術博物館
住所:97 Pho Duc Chinh, P.Nguyen Thai Binh, TP.HCM

 
と、ここまでは噂の域は出ないスポット、というよりほぼガセだと言い切ってもいいでしょう。
しかし、ここから少しずつ、「本当に出るかも…感」が増してきます。

 

雰囲気満点!霧深い森の中にある廃館|ダラット

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ヨーロッパ調の建物が並ぶダラットの街並み   著者撮影

ダラットはベトナム中部の高原地帯にある街で、ハネムーンの旅行先としても知られています。南国のイメージが強いベトナムとは違って、季節と時間によってはダウンジャケットが必需品になるほどの気候。山間部にあるため一年を通して霧深く、ホラー映画のロケ地としても向いているでしょう。

ダラットはベトナムがフランスに統治されていた時期に、フランス人の避暑地として開発されました。その歴史のためか、今では使われなくなった洋館の多くが朽ち果てたまま残っています。中でもふたつの廃館が心霊スポットとして有名で、夜中には子どものすすり泣く声や行進する足音が聴こえてくるとのこと。ベトナムのYou Tuberたちにとってもロケ地として人気があるようです。

今回紹介するスポットの中で、ここだけ実際に立ち寄ったことのない場所なのであいにく写真がありません。その代わり、ベトナム人You Tuberの肝試し動画をどうぞ!紹介しておいてなんですが長いです。

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ダラットの廃館
住所:10 Nam Ky Khoi Nghia, P.1, TP.Da Lat
住所:Tran Hung Dao, P.10, TP.Da Lat(番地不明)

 
さて、それではそろそろ、本当にやばいスポットを紹介します。

ここが「洒落になる」と「洒落にならない」の境界線です。
ベトナム人の友人に話せば、「行くな!」とぶん殴られるかもしれません。それはないか。ないです。

でも、「行かない方がいいよ~」と言われるようなスポットですね。
まぁ、ここまで煽っておいて、俺自身は行ってんだけどさ。

 

肝試しが絶えない!一等地にある元ソ連大使館|ハノイ

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キムマー通り300番地、夜中に見ると威圧感があります。   著者撮影

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蛍光灯がかえって不気味なんだよね。  著者撮影

首都・ハノイのキムマー通りは交通量が多く、ハノイの主要な道路のひとつです。つまりここに沿った土地は一等地という訳ですが、そのど真ん中にハノイ市民が最も恐れる心霊スポットがあります。

もとはソ連大使館だったといわれるこの建物。無骨なコンクリート製ブロックが入り組んだような構造は社会主義国家らしい建築様式です。この建物の何がいわくつきかというと、取り壊し工事のたびに関係者が死んでいるから。まるでツタンカーメンの墓みたいな話ですね。

噂の真偽は分かりませんが、試しに「300 kim ma」のキーワードで検索すると、ほとんどフェイクだとは思うのですが、心霊写真がウジャウジャと出てきます。実際、一枚目の写真の右上にオーブが写っているんですよね。ただ、小雨の中でフラッシュを焚いたという状況だったので…ま、想像にお任せします。

門はシッカリと施錠されているので立ち入ることは出来ないのですが、夜に訪れると蛍光灯で青白く不気味に照らされた様子が伺えます。以前、この建物の前で撮影した30分ほどの間に、ひっきりなしに地元の若者たちが立ち寄っていました。おそらく、肝試しスポットとして人気があるのではないでしょうか。

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元ソ連大使館
住所:300 Kim ma, P.Ba Dinh, TP.Ha Noi

 

二万人の魂が眠る悲哀の島|コンダオ島

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朽ち果てた監獄、有名な拷問檻・タイガーケージもあります。 著者友人撮影

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ズラリと並ぶ囚人のマネキン、何もそこまで再現せんでも…。  著者撮影

ベトナム南部、ホーチミンからさらに南に下った先にあるコンダオ島。「ベトナム最後の秘境」とも言われ、独自の生態系を持ち、国立公園でもあります。ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが訪れたことでも知られるリゾート・アイランドですが、多くのベトナム人にとってここは「悲哀の島」として知られています。

ベトナムはつい40年前まで、フランス抗戦にベトナム戦争とほぼ休む間もない戦いの歴史を辿って来ました。コンダオ島はその戦史で常に、政治犯を中心に収監される監獄島だったのです。島で命を落とした人は「烈士」と呼ばれ(私達にとっては幕末の維新志士が近いかも)、なんとその数は二万人…。

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二万人の魂が眠る集合墓地、夜に来ると空気が冷たい。 著者友人撮影

島内には広大な墓地があり、また実際に使用されていた監獄を見学することも出来ます。当時の状態が保存されているものもあれば、野ざらしで廃墟化している監獄も。幽霊の類は関係なしに、夜中には絶対に行きたくない場所だと思えるでしょう。「コンダオ島に行く」と話したら、ベトナム人から「幽霊が出るからやめた方がいいよ」と返ってくるやりとりは、現地に住む日本人の間でもよく聞かれる話です。

実際に、夜中に島内をバイクで走ったのですが、墓地周辺に近づいた途端にいきなりキーンと肌寒くなりました。小さな島だから温度が変化しやすいだけかもしれませんが、正直に言ってあれは怖かったです。ただ、心霊スポットとは言っても、ここはベトナム人にとって意味深い場所なので、烈士の方々には敬意を以て訪れましょう。そうでないと本当に祟られ…というよりバチが当たるかもしれません、ここだけは。

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ただ、海は目が覚めるほどのコバルトブルーで美しいところですよ! 著者撮影

最近はフーコック島というリゾートが注目されていますが、方向性は同じでもコンダオ島はより素朴な印象です。とはいえ、これから開発が進むと思いますので、美しい海を観ながらゆっくり過ごしたい方は早いうちに。時期によりますが、ホーチミン市から飛行機で往復一万円~二万円ほどの幅で行けます。
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コンダオ島
住所:Con Dao, Ba Ria – Vung Tau

 
さて、いかがでしたか?
本当はまだま~だ!あるのですが、切りが無いのでこのへんで。
いずれも都市部や観光地にあるので、ついでとして楽しむことが出来ます。

 
ただし、日本に連れ帰っちゃダメですよ…。
ちなみにベトナムでの清め方には焚き火の上を跨ぐというものがあるそうです、高度だな。

 
(text & Photo:ネルソン水嶋)

 
ネルソン水嶋の「勝手にベトナム観光開発局」
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